HR用語集(G – M)
2014/08/27(最終更新日:2021/12/10)
grade system 等級制度
従業員をその能力・職務・役割などによって区分・序列化し、業務を遂行する際の権限や責任、さらには処遇などの根拠となる制度のこと。また、その組織がどのような人材を必要としているのかというモデルにもなる。いわば人事制度の骨組みともいえるのが等級制度である。
grievance procedure 苦情処理
使用者が企業の円滑な経営を維持するために、従業員の処遇や労働条件に関する不満をあらかじめ定められた手続きに従って処理することである。
日本の労働基準法89条において、常時10人以上の労働者を使用する使用者は、賃金、労働時間、その他一定の事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならないと定めている。また、労働組合がある場合には、労働協約によって労働条件が決定される。しかしながら、これらの協約や規則の解釈、適用をめぐって紛議を生ずることがある(権利争議)。このような紛争は、労働条件の新規決定や改正をめぐる労使紛争(利益争議)とは区別して、団体交渉や争議行為を経ずに円満に解決することが望ましい。そこで、就業規則や労働協約の中には、苦情処理制度を定め、苦情処理手続きを定めている場合が一般である。
20世紀半ばから末にかけての高度経済成長にあった日本では、実際には公式の苦情処理制度よりは、現場管理職等による非公式な問題解決が多かったが、21世紀初頭からは労働契約の個別化が進み、地方労働局や地方公共団体の労働相談にかかる事案が増加した。
HR management system 人事管理
企業その他の組織体における人的資源をいかに有効に管理するかが人事管理であって,組織体全体の経営管理の一環として,また人事管理自身をいくつかの部分システムからなる全体システムとして理解する必要がある。人事管理システムの中心は,配置→評価→処遇→配置のシステムで,日常の人事はこのシステムを中心に動いている。このシステムを有効にするには,配置・評価・処遇の各システムが確立していなければならない。また配置システムの前提には,意欲があり,適性・能力のある必要人員を保持するための要員管理システムが存在し,労働力の量と質および人件費予算の枠が決まる。
HR system 人事制度
人事制度とは、人員管理の効率化を図ったり、従業員のモチベーションやスキルの向上を図るため、社員の処遇や働き方など、人事に関わる様々なルールを定めるものです。主に、評価制度、目標管理制度、等級制度、賃金制度、退職金制度などがあり、また、独自のユニークな制度を採用している企業もあります。
中小企業では、制度そのものが存在しない場合もありますが、組織が大きくなっていくと、企業の運営面からも、従業員と経営者の信頼関係構築という面からも、人事制度の構築は欠かせないものであると言えるでしょう。
大企業では、人事部門の中に人事制度の構築・運用を専門とする担当者が置かれている場合や、人事・組織系のコンサルティングファームなどと協業し、人事制度構築を行っているケースが多くあります。
human resources 人事
1 人間社会の出来事。人世の事件。自然の事柄に対していう。
2 人間の力でできる事柄。人間が行う事柄。
3 社会・機構・組織などの中で、個人の身分・地位・能力の決定などに関する事柄。
4 俳句の季語の分類の一。天文・地理などに対し、人間に関する題材。
improvement 改善
悪いところを改めてよくすること。
incentive 報奨金
勤勉、勤労をたたえ、さらなる努力を奨励する意味合いで贈られる金品。「寸志」などとして贈られることも多い。
industrial relations 労使関係
広くは産業社会における人々および組織体の間に形成される諸関係を意味するが,より狭くは,それらのなかで最も基本的な諸関係がある労働者と使用者または経営者との間の社会関係一般を意味する。その中心となるのは労働組合とその相手方たる使用者または経営者およびその団体との関係である。そのためindustrial relationsの別の表現としてunion‐management relations(〈労働組合対経営関係〉)という用語も使われる。
industrial safety & health law 労働安全衛生法
労働者の安全と衛生についての最低基準を定めた日本の法律である。労働基準法と相まって、労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化及び自主的活動の促進の措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的な対策を推進することにより職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成と促進を目的とする法律である(1条)。労働者の安全と衛生についてはかつては労働基準法に規定があったが、これらの規定を分離独立させて作られたのが本法である。したがって、本法と労働基準法とは一体としての関係に立つ。
in-house training 企業内研修
企業が従業員に対して行う教育のこと
interview 面接
人物像や能力を見たり聞いたりするために、直接会って対話などをする行為をいう。
人材採用の場面においての面接とは、人事採用担当者またはその他の社員が応募者に直接会い、お互いに質疑応答を行うことによって、お互いの意思を確認するとともに、意欲・職務に対する資質と適合性を判定するために行われます。
面接とは、応募者にとって自分自身についてを知ってもらい、職務に対する意欲をアピールできる場でもあります。また人材採用を行う企業にとっても、会社についての理解を深めてもらい、応募者との距離感を縮めることのできる場でもあります。また応募者にとっての面接とは、志望する企業への採用が決まるかどうかの大切な場面でもあります。近年では人材紹介会社などで、面接突破のための対策、面接時のマナーなどを無料でトレーニングしてもらうこともできます。
inventory 在庫
会社が、販売する目的で一時的に保有している商品・製品・原材料・仕掛品の総称のことである。一般的には、「在庫」とも言う。棚卸資産は、貸借対照表の借方項目である「資産の部」の「流動資産」に含まれる。 棚卸資産は、商品・製品として販売されることによって、はじめて会社の収益となる。販売等が遅れることによって棚卸資産が増えることは、保管費用の増加や運転資金を寝かせることとなるため、会社のキャッシュフローにとってはマイナスとなる。逆に、棚卸資産が減少することは、会社のキャッシュフローを改善させる効果がある。
investigation, questionnaire 調査
物事の実態・動向などを明確にするために調べること。
job analysis 職務分析
生産の機械化,工場生産制の発展に伴う生産組織の規模拡大は,労働過程の分業・協業・専門化を進展させ,その結果,組織的な生産に対する個々の労働者の貢献とそれに見合った成果配分の判断基準は,手工業的・生業的な労働形態が少なくなるにつれてあいまいになってきた。こうしたなかで,経営体の人事・労務管理の基本単位として登場してきたのが職務jobという概念である。当時(1900年代初頭)の工場管理は職長に全権が集中し,採用・解雇や賃率の設定が恣意的に行われていたが,その現状を科学的に分析し,大量生産方式による大規模経営の管理に原則を与えたのは,F.W.テーラーである。
job description 職務記述書
ジョブ・ディスクリプションは、職務内容を記載した雇用管理文書である。労働者の職務を明確化することによって「働きの度合い」と「賃金」を繋げる役割がある。成果主義、成果給を導入する際には不可欠なものであり、企業の人事考課方針などに使用される。英語では「job description(ジョブ・ディスクリプション)」といい、評価制度が一般的であるアメリカやヨーロッパでは、雇用管理の土台となる文書として広く用いられている。責任と役割毎に用意され、1つの(「一人の」ではなく)ポストに1つの文書となるのが基本である。ただし、マニュアル管理できるようなパターン職務の場合には、「働きの度合い」 と「賃金」の関係が安定しているので、1つの文書で同一職務担当者に適用することが可能である。働きに伴う「意志」の部分を管理するための文書である。
job enlargement 職務拡大
それまで担当していた仕事に加えて新たな仕事を任せ、仕事の幅を広げること。水平方向に能力を広げていくといえる。 仕事に対するマンネリ感を防いでモチベーションを高めたり、人材を育成する手段の1つとして重視されている。
job enrichment 職務充実
それまで担当していた仕事の範囲内で、よりレベルの高い仕事に挑戦させること。垂直方向に能力を高めていく。仕事に対するマンネリ感を防いでモチベーションを高めたり、人材を育成する手段の1つとして重視されている。
job evaluation 職務評価
職務分析(職務明細書)に基づいて各職務の相対的な価値を評価して,職務間の賃金格差を調整する人事管理上の一技法。職務給導入の前提条件。米国で早くから実施され,第2次大戦後日本へも導入された。
job hunting 求職
求職とは、仕事・職業を探すさまをいいます。
正社員、契約社員などを希望した求職活動を行う場合、
以下のような求職手段が一般的に利用されています。
・ハローワークでの求職者登録を利用した求職申し込み
・求職サイト(転職サイト・求人サイト)を利用した求職申し込み
・人材紹介会社を利用した求職申し込み
求職手段によって、扱う求人情報も異なる傾向があり、希望する仕事や労働条件に合わせて求職手段を使い分けることが大切になっています。
job offer 求人
労働力となる者を収集するために行う告知、及び雇用契約の誘引行為のことである。一般に、企業・団体など事業者が、雇用したいとする者を、一般の市民(学校卒業見込みの者を含む)から募集することを指す。正社員、アルバイトやパートタイマーなど、雇用形態についても、労働条件と共に募集する際に明示する。企業などの事業の展開により、人手が足りなくなることがある。軽微な場合は現有スタッフの勤務時間の増加(残業)などで補うことが多いが、実質的に限度があり、また、労働基準法に基づく労使協定(いわゆる36協定)で定める上限時間を超えることはできない。あるいは、定年退職による欠員の補充、また、事業内容によっては特定分野の能力(スキル)を持った者を必要とすることもある。以上のような場合に、事業者は労働力もしくは一定のスキル・ノウハウの確保のために、労働者の雇用の必要性が生じるのである。
labor; work 労働
社会的存在としての人間が,その生存を維持するために行う活動を,生産と消費に大別することができるとすれば,生産を支える人間の活動が広義の労働であるといえよう。しかしこれはかなり一般化したとらえ方であり,この語の伝統的な用法の中では〈労働〉は〈仕事〉としばしば対置して使い分けられ,それは英語におけるlaborとworkの使い分け方にほぼ一致している。前者は多少とも労苦をともなう活動のニュアンスを,後者は多少とも積極的な成果を展望する活動のニュアンスをもって用いられるといえよう。
labor cost 人件費
人件費とは、給与など現金支給されるもの以外の費用も含む人事関連費用総額で、以下のように計算するものと言える。通常従業員に関する費用のみを指すが、役員を含めることもある。臨時雇員については通常含めない。
計算式: 人件費 = 給与賃金手当+賞与(引当金繰入)+福利厚生費(法定福利費含む)+退職給付費用(引当金繰入)
役員を含める場合には、これに役員報酬、役員退職慰労引当金繰入、役員賞与を含める。
labor dispute 労働争議
労働者が自らの労働条件の向上を目指して行う様々な活動である。日本法である労働関係調整法6条では、「この法律において労働争議とは、労働関係の当事者間において、労働関係に関する主張が一致しないで、そのために争議行為が発生している状態または発生する虞(おそれ)がある状態をいう」と定義されている。労働者(組合)の側から見た場合には「労働闘争」、「労使紛争」とも呼ばれる。
labor management 労務管理
経営は,金銭的資源,物的資源,人的資源などの多くの資源がそれぞれの機能を発揮することによって,維持発展される。これらの資源のなかでもとくに人的資源は重要である。この人的資源がその本来の機能を発揮しうるように環境条件を整備することが,労務管理の目的である。労務管理の内容としては,以下の諸項目があげられる。まず適性のある人材の採用から始まり,適職への配置,配置された職務を遂行しうる能力を開発するための教育,仕事の成果の公正な評価,評価にもとづく処遇すなわち賃金給与による処遇と昇進とである。
labor market 労働市場
労働力を商品として、需要と供給をめぐる取引がおこなわれる市場である。労働市場の存在は、資本主義の特徴の一つである。労働市場では、需要と供給の調整は、賃金の調整で行われている。労働の超過供給とは、「失業」であり、失業とは「賃金の下方硬直性」と密接に結びついた現象である。
labor standards law 労働基準法
労働条件の最低基準を定めた代表的な法律で、1947年に制定。労働組合法、労働関係調整法と共に、労働3法といわれてきた。長らく戦前以来の工場労働のあり方が背後に想定されてきたが、サービス化・情報化の動きに象徴されるように産業労働の実態も大きく変容した。こうした変化に対応するため、改正作業が段階的に行われてきた。59年には最低賃金法が、72年には労働安全衛生法が分離された。その後、今日までに、(1)男女雇用機会均等法の改正に伴う女性の時間外・休日労働及び深夜業の制限規定の撤廃、(2)労働契約の契約期間の延長(原則1年の上限を3年に)、(3)労働契約締結時における書面での労働条件明示義務の拡充及び退職証明書による解雇理由の明示、(4)1年単位の変形労働時間制の規制緩和(中途採用、退職者への適用等)、(5)三六協定制度の見直しによる時間外労働時間規制の強化、(6)年次有給休暇制度の拡充(勤続6年6カ月で20日付与)、(7)解雇権乱用法理の明文化、(8)裁量労働制度の見直し(企画業務型裁量労働制の対象事業所の要件緩和など)、などを含む改正法が施行された。その後、長時間労働の社会問題化などがあり、残業の賃金割増率の引き上げなどを盛り込んだ労働基準法改正案が2007年の通常国会から継続審議されてきたが、企業の負担増などを懸念する声が与党内に根強く、今国会での成立は困難となった。
( 桑原靖夫 獨協大学名誉教授 )
labor union 労働組合
労働者の連帯組織であり、誠実な契約交渉の維持・賃上げ・雇用人数の増加・労働環境の向上などの共通目標達成を目的とする集団である。その最も一般的な目的は、「組合員の雇用を維持し改善すること」である。略称は、労組(ろうそ)、ユニオン、単に組合と呼ぶことが多い。
layoff 一時的解雇
企業の業績悪化などを理由とする一時的な解雇のことである。製造業などにおいて、材料の納入の遅れ、あるいは製品の需要が振るわないことなどの理由から、工場などの作業員に一時休暇を言い渡したことが元々で、その後、再雇用を条件とした一時解雇を指すようになった。企業の業績悪化時に一時的な人員削減を行い、人件費を抑える為の手段であり、業績回復時の人員採用の際に優先して再雇用を約束するというものである。
lawsuit 訴訟
紛争の当事者以外の第三者を関与させ、その判断を仰ぐことで紛争を解決すること、またはそのための手続のことである。対義語に自力救済がある。現代においては、国家の司法権の行使によって、その権力を背景に紛争を強制的に解決するための手続のことを訴訟といい、調停、仲裁、和解などと区別される。さらに狭い意味では広義の訴訟のうち判決手続のことのみを訴訟とよび、強制執行手続等と区別される。訴訟を提起する行為は一般に提訴と言われる。
leave of absence 休職
労働者に一定の事由が発生した場合,一定の期間従業員の地位を失わせないで労働義務を免除する措置。一般職公務員の場合は分限処分の一種として法律に要件等が定められている(国家公務員法79,80条,地方公務員法28条)。それによれば,公務員は,(a)心身の故障により長期休養を必要とする場合,(b)刑事事件で起訴された場合,(c)人事院規則第11‐4(地方公務員の場合は条例)の定める事由に該当した場合に休職処分を受けることがある。
lifetime employment system 終身雇用制
企業が従業員の入社から定年までの長期間について雇用する制度。長期(勤続)雇用慣行という表現の方が妥当。終身雇用は使用者と従業員間の暗黙の了解と、それを維持したいという期待の上に成立している慣行といえる。この意味の長期・安定雇用は日本に限った制度ではない。西欧先進諸国にも見いだされ、内部労働市場の基本的編成原理であるともいえる。第一次石油危機以降、とりわけバブル崩壊後、長期雇用の基盤はかなり侵食され変容しているが、この制度自体が消滅、崩壊するわけではない。企業が賃金コストの高い基幹労働者層の部分をできる限りスリム化する一方で、パートタイム労働者や派遣労働者などの調整が容易な労働者層で入れ替え、賃金コスト引き下げと柔軟な雇用体系を目指す方向が、今日の特徴といえる。
( 桑原靖夫 獨協大学名誉教授 )
lump-sum payment 一時金
毎月支給される給与以外に、年2回程度支給される臨時給与の総称。賞与、ボーナス、期末手当、決算手当等様々な名称で呼ばれる。
management 幹部
組織の首脳や執行部にあって、組織運営の意思決定と指揮・命令を担う人物またはその職位を指す。
management, manager, executive 管理職
労働現場において、労働者を指揮し、組織の運営に当たる者を指す。労働基準法41条2号所定の管理監督者には残業手当を支給しなくてもよい(義務づけられていない)ことになっているが、この管理監督者は本項で解説している管理職とは全く異なる概念であり、厚生労働省の通達で「経営者と一体的な立場」「出退勤の自由」「地位にふさわしい待遇」などの条件を満たすものとされている。しかしながら、社内の職制に過ぎない「課長」などの職を「管理監督者」扱いとし、残業手当ての支給を免れようとする企業が多く、2006年の調査では7割の企業で「出退勤の自由」を持たない課長が残業代を支給されていなかった。
management philosophy 経営理念
組織の存在意義や使命を、普遍的な形で表した基本的価値観の表明。平たく言えば、「会社や組織は何のために存在するのか、経営をどういう目的で、どのような形で行うことができるのか」ということを明文化したものである。これによって経営者は、基本的な考え方を内外に伝えて共有化したり、社員に対して行動や判断の指針を与えたりすることができる。理念自体に社員が共鳴すれば、働くインセンティブにもなり、企業における求心力にもつながる。すなわち経営理念は企業文化を形成する主要な要素である。経営理念の内容は、行動規範的なもの、経営の成功のための鍵や経営姿勢を示すもの、企業の存在意義を示すものなどいろいろな形で表現される。一般的には、社会、顧客、および社員の三者に関する理念が設定されることが多い。経営理念が難しいのは、適切な設定をしても時代とともに形骸化し、現実と乖離してくることである。どれだけ優れた経営理念やビジョンであっても、その変更のタイミングを見極め、時代に合わせて方向を再設定、再定義して、新たな道を踏み出さなくてはならない。
management policy 経営方針
〈経営方針〉〈経営戦略〉の用語の意義は互いに重複しており,実際上も混同して使用されることが多い。あえて分ければ,経営方針は経営の基本目標を示したものといえ,経営戦略は,この基本目標を実現するため,いかなる事業活動を行うかについての指標といえる。
managerial position, officer 役職
役目や職務のこと。特に管理職のことを指す。特に組織の最上位の意思決定機関(例: 取締役会)の構成員である場合には、「役員」と呼ばれることも多い。一般論として言えば、役職は一般に何らかの責任と職権を伴う、と言うことはできるが、実際には、すっかり形骸化してしまっていてそれらが実際上伴っていないお飾り役職も世に存在する。
managing director 代表取締役
会社の業務を執行し,対外的に会社を代表する取締役。株式会社は必ず1名以上必要とする。取締役の中から取締役会の決議によって選任される(商法261条1項)。代表取締役の氏名・住所は登記しなければならない(188条2項8号)。多くの会社は取締役の中に職階制を設け,会長,社長,副社長,専務取締役,常務取締役という役付きの取締役を置くが,これらは法律上の地位ではなく,登記もできない。役付きであっても,代表取締役に選任されていなければ,会社を代表する権限はない。
mandatory retirement age 定年制
労働者が定められたある年齢に到達すると,その年齢になったことのみを理由に,その者の労働能力と意思とは無関係に,企業との労働契約がなくなる制度をいう。かつては停年制と書くことも行われたが,実態は定年制と同じである。定年制の歴史は古く,日本では封建時代における武士の隠居(退隠制度)にさかのぼる。
market 市場
市場の定義としては次の三つが考えられる。(1)多くの人々が一堂に会し,財を売り買いする場所,というのがもともとの意味である。そこでは需要と供給が出合い,財の価格,売買される量をめぐって,需給のあいだの競争を含む相互作用が演じられる。現在でも市場を〈いちば〉と発音する場合は,具体的な場所をさしている。市(いち)もまた同じである。(2)しかし近代産業社会(市場社会とも資本主義社会ともいう)の出現にともない,市場は,場所という具体性をもたなくなり,競争の要素を強くもつ売り買いの制度全体をさすようになった。
maternity leave 産前産後休業
妊産婦が母体保護のため出産前及び出産後においてとる休業の期間である。産休(さんきゅう)とも称される。なお、労働基準法による妊産婦とは、同法64条の3第1項で「妊娠中の女性及び産後1年を経過しない女性」と規定されている。
medical benefits 医療給付
本人(被保険者)とその家族(被扶養者)が業務外の事由で病気やケガをしたり出産や死亡した場合に受けられるサービスを保険給付といいます。医療の給付は給付形態により現物給付と現金給付のふたつに分類できます。
1.現物給付 [療養の給付][家族療養費]
医者(病院)から診療、薬、治療材料など『医療という現物』で支給されます。つまり医療サービスを受けることです。※かかった医療費の3割(義務教育就学前の子は2割)を一部負担金としてお支払いいただきます。
2.現金給付
病気やケガで会社を長期に休んだとき、出産や死亡のときなどに『現金』で一定の費用が健保組合から給付されます。医療の給付には法律で定められた「法定給付」と健保組合が独自に定めた「付加給付」があります。
1.法定給付
健康保険法で支給基準や範囲、内容等が定められている給付のこと。
2.付加給付
健康保険組合が独自に行う給付で、法定給付に上積みされる給付のこと。
medical exam, check-up 健康診断
健康診断(けんこうしんだん)とは、診察および各種の検査で健康状態を評価することで健康の維持や疾患の予防・早期発見に役立てるものである。健診・健康診査とも呼ばれる。学校や職場、地方公共団体で行われるなど『法令により実施が義務付けられている』ものと、受診者の意思で『任意に』行われるものがある。任意に行われる健康診断は診断書の発行を目的とした一般的評価のことが多いが、全身的に詳細な検査を行い多種の疾患の早期発見を目的としたサービスも広く普及しており、船舶のオーバーホール施設になぞらえて人間ドックと呼ばれる。
危険物・特定の化学物質などを扱う職業の従事者はそれに応じた健康診断を定期的に受けることが義務づけられており、この健康診断は重大な職業病の発生を未然に防ぐことが目的という点で一般的なものとはやや性格を異にする。
なお、特定の疾患の発見を目的としたものは検診(たとえばがん検診)とよばれる。
medical insurance 医療保険
医療保険とは、病気やケガの治療に掛かる経済的負担を軽減するための保険です。大きく分けると 公的医療保険と民間医療保険に分けることができます。
公的医療保険、いわゆる健康保険は日本では、ほとんどの人が加入しています。この公的医療保険を補うために民間の医療保険があります。
merit-based employment system 実力主義
年齢・性別・学歴などによらず、実際の能力や仕事の成果を重視して評価を決める考え方。
mid-career hiring 中途採用
中途採用とは、企業が不定期に行う人材採用のことを指します。企業では常に経営環境が変化しています。既存事業の拡大、新規事業への進出など企業の経営戦略に合わせて必要な人材を採用しなければなりません。それらに対応した柔軟な採用を行うために時期を定めず、必要に応じた求人募集を行うのが中途採用の目的です。また企業の中では退職などによる欠員も発生します。中途採用にはそれらを補う目的もあるのです。
minimum wage 最低賃金
最低限支払わなければならない賃金の下限額のこと。最賃(さいちん)と略される。労働基本権に基づくもの。多くの国では労働者の基本的な権利として広く適用されているが、必ずしも全ての労働者に適用されるものではなく、外国人労働者は対象外とするような特定の層に対して減額や、適用除外が行われることがある。シンガポールのように最低賃金制度は存在せず、賃金は労働力の需要と供給のバランスで決定される国家もある。
monthly salary 月給
月ごとにきまって支払われる給料。月俸。サラリー。
morale 士気
兵士の、戦いに対する意気込み。また、人々が団結して物事を行うときの意気込み。
motivation モチベーション
モチベーションとは、人が一定の方向や目標に向かって行動し、それを維持する働きを意味し、「動機づけ」「やる気」とも呼ばれ、人間の行動がいかにして始動し・方向づけられ・維持され・停止していくのか、そしてこれらが進行する過程でどのような反応が人間有機体の内部に生起するのか、を説明するのに考えられた概念であるとされている。
モチベーションは、「外発的動機付け」「内発的動機付け」からなる。外発的動機づけは、「誘因」によって行動を起こさせるものであり、内発的動機づけは「動因」により、モチベーションアップを目指すものである。
ハーズバーグは、企業におけるこの動因と誘因を具体的に研究し、さまざまな企業・職種の社員から、仕事中に極度の満足・不満を覚えたとき、どのようなことが起きたかについて質問し、その要因を抽出し「動機づけ衛生理論」として発表した。満足を引き起こしたものとして、達成・他者からの評価・仕事の内容への満足感・責任・昇進・進歩・個人的な成長などが上げられた(動機付け要因)。逆に不満を招いた要因には、企業の施策と管理・監督・対人関係・作業条件・給与・福利厚生・雇用の保証などが上げられた(衛生要因)。衛生要因は満たされないことで不満を引き起こすが、満足度を高めるものではない。従っていくら衛生要因に配慮してもモチベーション向上にはつながらず、動機づけ要因を高めることは必要になる。