Hot HR vol.101 -グローバル人材の活用に向けて
2013/12/18(最終更新日:2021/11/09)
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ここに、一人の日本人男性(Aさん)がいる。Aさんは、アメリカの大学で学び、米国企業に就職した。
米国で一定のキャリアを積んだ後、Aさんは、生まれ故郷である日本に戻りたいと考えた。
米国で培った経験を活かし、自国の企業の発展に尽力したいと考えたからだ。当時の日本は、
グローバル化の波が訪れており、Aさんのようなキャリアを持つ人材は、日系企業が欲する
「グローバル人材」と一致しているように思えた。Aさんは、転職先を日系企業に定めた。
しかし、結果は散々であった。応募した日系企業では、面接の機会すらもらえぬまま、
全て不採用となった。Aさんは、日系企業への転職を諦めるとともに、自らのキャリアに不安を感じ、
米国の一流企業にも転職の打診をしてみた。すると、あっさりと内定が決まったのである。
Aさんは、現在も米国企業の第一線で活躍しているという。
上記は、5/29日発行のNew York Times紙に掲載されていた事例である。
皆さんはこの事例から何を学ぶだろうか。
■成長機会をつくる
先日の記事でも述べたとおり、企業としてはグローバル化を推進していても、なかなかグローバル人材を採用し、
社内で活用することは容易ではない。仮に、Aさんのような人材を採用しても、
社内でどのように扱えばよいかわからない、というのが多くの企業の本音ではないだろうか。
真のグローバル人材を活用するには、文化や制度など多くの面で、日系企業には見直すべき点が多く見られる。
特に、日本企業に不足しているのは、人材を成長させる仕組みの整備である。ものづくりや職人の世界では、
徒弟制度による優秀な人材の育成があれほど成功していたにも関わらず、現代では人の育成がスムーズに
進んでいる企業はあまり耳にしない。あらゆる人材が成長する環境を作ってこそ、日本の企業はもう一度
活性化すると考える。
■部下を育てるマネージャーを育てる
日本企業での人材育成が思うように進まない理由の一つとして、ロールモデルの不在が挙げられる。
日本では徒弟制度に見られるように、身近に「目標となる人」を置き、その人の傍らで人材を育てる形式が
一般的であった。ところが、現在では、特に身近なマネージャークラスに憧れを持ち、未来の自分を
重ね合わせる人材は少ないであろう。これから、優秀な人材を多く輩出したいと願う企業は、
やはりまずマネージャー層の活性化に焦点を当ててみることが必要ではないか。