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アメリカHRブログ vol.16 –   アメリカHR 2016年の動向

2016/01/21(最終更新日:2021/12/09)

アメリカHR 2016年の動向

2016年は最低賃金が上昇で大きな影響を及ぼす年になりそうだ。カリフォルニア州では最低賃金が$10になる。これに対応して、Exempt(残業代の出ないポジション)の最低賃金は$41,600に上昇する。
賃金があがると必ず影響が出るのが労災保険のコストである。労災保険は従業員の年間賃金の合計額と仕事の種類によって保険料が決まるので、賃金の上昇は必ず労災保険料に跳ね返る。例えばカリフォルニア州の飲食店だと年間賃金の7-10%程度が労災保険の保険料率になっている。これが製造や倉庫の仕事だと15%程度になってくる。
最低賃金の上昇は飲食店のTIPの廃止のトレンドにも拍車をかけるのではないかという議論もされている。TIPを支払う分をメニューに上乗せして、会社の売上としないと従業員への賃金が出せないのではないか、という議論である。まだまだ一般的ではないものの、このトレンドには目が離せない。
このように州の最低賃金の上昇だけでなく、最近の傾向はCity単位で最低賃金が決定されるトレンドが広がって来ていることだ。Cityでは最低賃金だけでなくSick Leaveの付与が義務化されるCityも多くなってきている。
連邦や州の法律だけを確認してもCityの法律への対応が漏れてしまうことがあるので、注意が必要だ。
2016年はオバマケアの医療保険義務化の最低従業員数も50名に変わるので対応が必要になる企業が増えるはずだ。特に飲食店や小売店で3店舗以上を経営する企業は、パートタイムの人数が多くてもフルタイム相当の人数が50名を超えてしまう可能性がある。
フルタイム相当とは週30時間以上働く人を1名と数え、例えば週10時間働く従業員が3名いると合計で週30時間になるためフルタイム1名と数えるという方法だ。この計算式によって従業員が50名を超えると医療保険を義務化する必要が出てくる。
2016年はこのような雇用者に厳しい法律の改定があるので、それに対応できるように十分戦略を立案する必要があるだろう。

 

 

 

 

筆者プロフィール
Norikazu Yamaguchi
President of Philosophy
Philosophy Insurance Services

PROFILE
2004年に渡米。イマコンサルティング(奥山由実子社長 当時)にて西海岸地域の支店長。約4年間、奥山由実子社長の下で米国の人事コンサルティングを学ぶとともに多くの日系企業へサービスを提供した。米国人事だけでなくビジネスの師匠として奥山社長を師事。
盛和塾ロサンゼルス塾 塾生。

 

■著書
『A&R 優秀人材の囲い込み戦略』東洋経済新報社(共著)

 

■略歴
群馬県生まれ 血液型:O型 群馬県立高崎高等学校卒業。
東京外国語大学 外国語学部 中国語学科卒。
復旦大学(中華人民共和国)国際文化交流学院 修了。
慶應義塾大学 大学院 経営管理研究科 修士課程修了(MBA)。

 

全日本空輸株式会社(ANA)、マーサー・ヒューマン・リソース・コンサルティング シニア・コンサルタント等を経て現職。

 

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保険と労務管理サービス「アメリカの社労士です」

 

■カリフォルニア州 Covered California 認定 健康保険エージェント

■米国市場に挑戦する日系企業の保険・労務管理サービスを実施。
■就業規則作成
■カリフォルニア州 労務管理情報提供 セクハラ防止セミナー等の研修
■ジョブディスクリプション作成
■報酬制度(サラリー、ボーナス、インセンティブ、昇給制度・ボーナス制度の設計)
■評価制度(スゴロク式評価制度、目標設定等)
■福利厚生 (Workers Comp/Health Insurance ) CA Insurance License #0F78137

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