新型コロナウイルスの影響が長期化している。特に東京では先週末に200人台、300人台と感染数増加が確認され、今後の動向は不明瞭だ。このような状況で、社員とどのようにコミュニケーションをとり、モチベーションを維持すれば良いのだろうか。
コロナの影響が長引くことで、モチベーション管理が課題に
新型コロナウイルスの影響が長期化している。特に東京で感染者が多くなっており、第2波の可能性も懸念されているようだ。都内の感染状況について小池都知事は、「大変高い数字である」という認識を示しており、国土交通省は、「Go To Travelキャンペーン」について、東京発着の旅行については当面の間支援の対象外となることを発表した。
このような事態が続くなか、企業の対応は様々である。緊急事態宣言が解除された後から、通常通り出勤してオフィスで仕事を行う企業がある一方、テレワークを引き続き行っているところもある。
その施策は業種や職種により千差万別だが、企業が共通して不安に感じていることのひとつが、「社員のモチベーション」ではないだろうか。テレワークが続き、三密を回避するためにイベントや飲み会が減る。必然的に社員コミュニケーションが減少するため、会社から心が離れていってしまうのでは……と心配する経営陣は少なくないだろう。この状況が長引けば、離職率も増えてしまうかもしれない。先行きが見通せない中で、社員間のコミュニケーションはどのように図っていくべきなのだろうか。
ZOOMを使った「ラジオ企画」で、社員同士をつないでいく
このような状況において、社員のモチベーションを保ちエンゲージを高めるために、ある活動を行っている企業がある。奈良・京都南部で注文住宅・リフォーム・リノベーション・不動産を手掛ける株式会社楓工務店だ。
楓工務店では今回、コロナ禍における社内コミュニケーションのひとつとして「おもいやりラジオ」をスタートした。
「おもいやりラジオ」とは、オンラインMTGツールであるZOOMを使ったもの。コロナ禍においてオンライン飲み会を社内イベントとして行っていたが、そこからラジオという形式で、女性社員2名がDJに扮してゲスト社員を呼び、若手社員に向けたトークセッションを行う企画が生まれた。
毎週火曜日に1時間程度開催され、「1年目のわたしはこうだった」といった、新入社員に寄り添うようなテーマでZOOMでの配信を実施。お悩み相談、またゲスト先輩社員への質問を事前にお便りとして募集し、番組で紹介していく。ゲスト社員には新人時代の経験や失敗談などをその場で伺い、「ぶっちゃけトーク」を発信していく。
配信を聞く側は、その場で思いついた質問を書き込むこともできるし、用事があれば気軽に席を立ったり、後から録音した内容を聞いたりすることもできる。社内イベントながらも気軽に聞けるような雰囲気で行うため、社員の楽しみとなっているのだ。
インナーブランディングに寄与する、オンラインMTGツールの使い方
この取り組みは社内コミュニケーションを促進するだけでなく、エピソードとともに先輩社員の飾らない姿を見せることで新入社員の不安を払拭し、お互いの距離を縮める機会となっている。また新入社員の目線で会話を進めることが心のケアにもつながっているため、まさに「おもいやり」を大切にしたラジオなのだ。実際、新入社員からは、「先輩たちが勝手に進めているわけでなく、聞いていても、おいてきぼり感がなかった」という声があがり、中堅社員からは「ゲストである社員の経験、仕事に対する考え方を知ることができていい」といった意見があるという。
オンラインMTGツールを使用したコミュニケーションは手軽で便利な反面、発言する社員が偏ってしまったり、特に新入社員は気を遣って発言しなかったりといった状況が生まれがちである。しかし、このようなラジオという形式で社員の経験を発信していくことで、インナーブランディングに活用することも可能なのだ。
すべてはアイディア次第なのかもしれない。離れていても一人ひとりの距離を縮め、エンゲージメントを高められることを、この取り組みは教えてくれた。
まとめ
コロナが影響を与え続けている「ウィズコロナ」の時代には、一人ひとりの働き方が変わっていく。それに伴い便利なツールも増えていくが、大切なのは使い方だ。工夫次第でインナーブランディングにも活用することもできる。
ブランディングは会って話すことがもっとも大切だと考えがちだが、距離が離れていることを逆手に取り、機会に変えることもできる。チャレンジを重ねることで、この状況を乗り越えていきたい。