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「ハイコンテクスト」・「ローコンテクスト」とは?メルカリの事例から考える

2020/11/19(最終更新日:2021/06/04)

#インナーブランディング

ブランディング

「ハイコンテクスト」と「ローコンテクスト」、2つの分け方でコミュニケーションの方法が議論される機会が近年増えてきた。そのなかでも、「ローコンテクスト化」が日本に求められる考え方となってきたのも、つい最近の話だ。

今回は、日本企業に求められる「ローコンテクスト」なコミュニケーションについて、メルカリの事例から考えていきたい。

「ハイコンテクスト」とは

ハイコンテクストとは、暗黙の了解(前提となる、知識やカルチャー)が多く、行間を読むようなコミュニケーション方法のこと。

「ローコンテクスト」とは

ローコンテクストとは、前提となる、知識やカルチャーの理解がなくても、分かるよう、シンプルで明快なコミュニケーション方法のこと。

日本は世界で一番「ハイコンテクスト」な国

世界で最も注目すべき経営思想家のひとりとして、「Thinkers50」に選出されるメイヤー・エリンの著書、『異文化理解力』によると、日本のコミュニケーションは世界で一番「ハイコンテクスト」であるという。

なぜか。

日本は島国で、アメリカなどと比べるとほぼ単一民族国家と言っても過言ではないという点が大きく影響している。日本における、「ハイコンテクスト」なコミュニケーションの具体例は次々と思い浮かぶ。すでに出来上がった暗黙のルールに従わなければいけない場面が学校でも就職後でもたくさんある。また、わざわざ言わなくても伝わる。「空気を読む」も日本ならではの文化である。

 

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2つの要因から、「ローコンテクスト化」へ

価値観の多様化により変わるコミュニケーション

1つ目の要因は、社員数増加による価値観の多様化だ。社員数が少ないと、自社の想いを明文化せずとも共感を集めることが簡単だ。しかし、社員数が増えるにつれて価値観が多様化し、従来の「ハイコンテクスト」なコミュニケーションでは問題が発生しやすくなってしまう。その例として、相次ぐ「バイトテロ」が挙げられる。

「バイトテロ」とは、アルバイトによるSNS上での顧客情報のつぶやきや、職場の商品や備品を使ったモラルに欠ける行為を画像や動画で投稿し「炎上」してしまうトラブルのことを指す。これにより、長期休業や最悪の場合は閉店に追い込まれるケースがある。このようなコンプライアンス違反が起きてしまうのも、「ハイコンテクスト」で曖昧なコミュニケーションが原因の一つである。

できるだけ「ローコンテクスト」で分かりやすいカルチャーをつくり、そのカルチャーに共感する社員やアルバイトの採用に取り組むことで、企業成長の妨げとなるトラブルを未然に防ぐことができるとともに、企業成長を加速させる人材の獲得にも繋がるのではないだろうか。

オンライン化で変わるコミュニケーション

2つ目の要因はコミュニケーションのオンライン化である。最近ではSNSが普及し、顔を見ないコミュニケーションが以前に比べて当たり前になってきた。そして、時代はウィズコロナ。働き方も、リモートワークが定着しつつある。

しかしオンラインでのコミュニケーションでは「空気を読む」ことはとても難しい。

対面でのコミュニケーションが少なくなるにつれ、足並みが揃わなくなる。そして、社内のコミュニケーション不足はお客様に伝わってしまうものだ。お客様は企業のブランドを社員から判断する。つまり、曖昧な対応をする社員はお客様から一目でわかる上に、その対応が企業の姿勢だと認識してしまう。社員全員の認識を統一させるためにも、「ローコンテクスト」なコミュニケーションが必要だ。

 

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「ハイコンテクスト」から「ローコンテクスト」に方針転換したメルカリ

メルカリではコロナ以前から「ローコンテクスト」に移行する取り組みを行っていた。

この4年でメルカリの従業員数は300人から6倍に急増した。急速に拡大した組織規模に適応するため、メルカリでは「ムラ(村)からマチ(都市)」へ組織成長を推し進めている。もともと、比較的似た経歴のメンバーが集まり、暗黙知も非常に高いレベルで共有していたため、「ハイコンテクスト」なコミュニケーションで全く問題がなかった。しかし、現在は従業員数が40か国の国籍の1800人で構成され、多彩なバックグラウンドを経験してきた人がいる。この多様化された従業員が効果的に働くため、形式知の共有やガイドラインの提示、わかりやすい仕組みづくりが重要であった。言語も日本語から、英語化への対応を進めている。もともと、「ハイコンテクストからローコンテクスト」への変化は、社内のスケールアップ、内なるグローバル化に向けた対応として進めていたが、それが新型コロナウイルスによってリモートワークとなった状況下において、組織が一体となり増収増益を維持し続けている。

まとめ 「ローコンテクスト」が与えるブランディング効果

ブランディングの基本はどんな人に対しても、自社や商品のイメージに一貫性があること。

そして、ブランドを作るのは社員である。

社内のコミュニケーションが「ハイコンテクスト」である限り、社員それぞれが思い描く自社のイメージが同一になることは難しい。社内の共通イメージをシンプルに明確化し、どの社員も同じことを伝えるようにする。この「ローコンテクスト」化こそがブランド構築の第一歩だ。

イマジナでは自社の想いをコンセプトとして明確にし、カルチャーブックとしてカタチにするお手伝いをしている。カルチャーブックはそれまでの「ハイコンテクスト」だった全社員の認識を統一化し「ローコンテクスト化」させる社内のコミュニケーションツールとして用いることができるのと同時に、社外に対しても社員全員が自社ブランドを伝えるために活用することができる。

イマジナでは「成功企業が実践しているブランディング手法とは?」と題したブランディングに関するセミナーを全国で開催している。コミュニケーションの「ローコンテクスト」化にお悩みの方はぜひ参加して頂きたい。

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