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コロナ禍が続く今こそ、ブランドづくりを

2021/01/21(最終更新日:2021/12/17)

ブランディング

予想以上にコロナの影響が長引き、多くの企業が疲弊している。倒産や廃業が相次ぐが、その中でも成長を重ねている企業は存在する。コロナ禍の今だからこそ、時間をかけて事業やブランドづくりに取り組む意味を考えてみたい。

緊急事態宣言が続く中、企業の不安も高まっている

年が明けた……と思っていたのも束の間。あっという間に月の半分が終わり、慌ただしい日常が戻ってきている。

先日、緊急事態宣言が再発令された。期間は1月8日から2月7日まで。今回の緊急事態宣言は前回に比べ緩和されているが、一般の生活者にも大きな影響が出ている。

政府は20時以降の不要不急の外出自粛を要請。また飲食店の営業時間は20時までとなり、酒類の提供は19時まで。その他の事業者に対しては出勤の7割削減を目指し、人が集まるイベントも人数の制限が要請されている状況だ。現段階では何も決定はしていないが、緊急事態宣言が延長する可能性もある。

あらゆる業種に影響があるが、特に飲食業やイベント業は、この要請が非常に大きな打撃となってしまうだろう。売上の減少はもちろんのこと、営業活動そのものが制限されるため、協力金だけでは様々な損失をカバーし難いという問題がある。

スピードを出して走っている自動車が急ブレーキをかけると、運転手にも自動車本体にも負担がかかるのと似ている。単に売上だけでなく、従業員の待遇やモチベーション、また顧客や取引先との関係性といったものを含め、多大な損失を被る可能性があるのだ。

そういったリスクについて十分に議論されているかというと決してそうではないし、議論されていない分、事業者側にも様々な不安がよぎってしまう。これは決して忘れてはいけない事実だろう。

窮地に立たされ、100年以上続く老舗ブランドが廃業する例も

このような状況だと、経営陣も従業員も気が滅入ってしまう。長年やっている自営業者や経営者の中には、「潮時だ」と考えて廃業を考える人が、少なからずいるようだ。

特に現在増加が目立っているのは、創業100年に及ぶような老舗企業や老舗ブランドの廃業だという。その中のひとつ、メディアでも話題になったのは、山形県山形市にある漬物食品会社「丸八やたら漬」の廃業だ。

廃業は昨年5月末。2020年は、創業から135年目であったという。当時の社長は6代目とのことだが、「コロナ禍が最後の引き金になった。(廃業は)断腸の思いだ」というコメントを残している。

歴史ある企業は様々な危機を乗り越えてきたため、たくさんの知見・経験がある反面、長年蓄積された問題が浮き彫りになるケースもあるのかもしれない。丸八やたら漬は、氷山の一角だろう。

このような状況において、先日、大手外食チェーンのサイゼリヤの堀埜(ほりの)社長は「今日また、ランチがどうのこうのと言われましてね、ふざけんなよと」と、会見で述べた。夜の営業時間のみならず、ランチタイムに関して指摘があった際の発言だが、この発言には「よく本音を言ってくれた」と賛同の声もあがっている。様々な企業、そしてブランドが危機に瀕しているのだ。

グローバルブランドとして成長する、ダイキンの新しい取り組み

しかし、このような状況だからこそ、長期的な目線で事業やブランドづくりに力を入れる時期である、とも言える。もちろん、目の前の解決しなければいけない課題はたくさんある。だからと言って、単に時間がすぎるのを待つのではもったいない。何かできることはないだろうか。

あまり知られていないが、世界で評価されている日本のブランドのひとつにダイキン工業(ダイキン)がある。現在、約150か国に事業展開し、38か国に拠点を持つ空調機、化学製品メーカーだ。

インターブランドという世界最大のブランディング会社が、グローバルブランドの価値を数値化し、評価するランキング「Best Global Brands」を発表している。そのランキングのひとつ「Japanʼs Best Global Brands2019」にて、ダイキンは21位となった。エアコンでは競合となる日立製作所が24位、三菱電機が27位となっており、グローバルにおけるダイキンの強さがうかがえる。

グローバルで認められている背景には、時間をかけてブランドを浸透させていく地道な取り組みがある。現在、ダイキンが力を入れているのはアフリカ。実はダイキンは、アフリカにおいて「エアコンをサブスクリプションで提供する」事業を行っているのだ。

アフリカは、天然資源が豊富で、2050年までに人口が25億人になると言われている。ラストフロンティアとも呼ばれるが、現段階では日本に比べ、各国のGDPは圧倒的に低いし、きちんと料金を回収できる保証もない。ましてやダイキンの規模では、コスト面で割に合わない事態も数多く起こっているだろう。

しかし、そのような場所でこそ、地道に活動を行うことが将来への投資になることを知っている。こういった地道な取り組みを行う企業風土が、世界に認められるグローバルブランドとなる要因のひとつであると言えないだろうか。ブランドも事業も、一朝一夕には成り立たない。ダイキンの新しい発想は、コロナ禍に応用できるのではないだろうか。

まとめ

ブランドづくりの方法は様々だ。ダイキンのように新しいビジネスモデルで事業を展開するのもそうだし、ロゴやステートメントをつくるのもそう。どちらにも共通するのは、時間をかけなければ、育たないこと。しっかりと腰を据えて取り組むから、本当のブランドが育つのだ。

コロナの騒動が収束しない今こそ、何が必要か、時間をかけて取り組む機会かもしれない。コロナが明けた時に、次の一歩を踏み出せるようにしたい。

 

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