今年の節分では非常に珍しい現象が起こった。それは「恵方巻、売り切れ」現象である。
毎年、恵方巻は売れ残りによる食品ロスが課題となっていた。2019年にはコンビニエンスストアやスーパーなどの業界団体に対し、農林水産省から需要にあった供給を行うよう文書が通知された。
しかしながら2021年では、「恵方巻、売り切れ」というワードがSNSでも盛り上がりを見せた。これまで、大量廃棄されていた恵方巻が一躍脚光を浴びた。
売り切れになった要因の1つには、事前予約制度による当日購入ができないことが挙げられる。過剰供給を減少させ、需要と見合った結果、売り切れという現象が起こったと仮説が立てられる。
恵方巻を食べる、という体験の先にあるもの
なぜ人々は恵方巻を食べるのであろうか、消費者の視点に立ってみる。
コロナ禍において、人々は家庭で過ごす時間が増大している。外出自粛が求められる中で、自宅で楽しむ時間創出が求められている。それゆえ、新たな癒しを求めペット需要も高まっており、犬猫の価格は高騰している。
私たちイマジナでは、この「恵方巻、売り切れ現象」を大きなチャンスだと捉えている。
恵方巻を食べる際、人々は本当に無病息災を願い、この風習を行っているのだろうか。
もちろん儀式的な意味合いも兼ね備えて、恵方巻を食べる人もいるだろう。しかしそれ以上に、恵方巻を食べるというイベントを通した、非日常性を人は求めているのではないか。
恵方巻というアイテムをもとに、家族で同じものを食べ、楽しい時間を共有し、深いコミュニケーションを図ろうとする。
ブランドもまさに、この恵方巻と同じ立ち位置である。あえて語弊を恐れず言うのであれば、ブランドそのものに存在意義はない。重要なことはブランドを通じて、情報の受け取り手側がいかにワクワクし、笑顔になる未来をどれだけ深く想像できるかどうか、である。
毎日の食卓で恵方巻を食べることはしない。節分のこの2月の時期だけに食べられ、特別感のある体験だからこそ恵方巻は売れる。もっといえば、人々は恵方巻を食べたいわけではない。人々が求めていることは、同じものを食し、皆で一体となり過ごす時間である。毎日、何気なく食べていた夕飯に恵方巻が出てくることで、イベントを共有する所属意識が生まれる。その共有された時間に対し、価値を見出しているとも捉えられる。
恵方巻の売り切れからも推測できるように、私たちは非日常の出来事による高揚感を求めてられている今だからこそ、ブランド構築を行うチャンスなのである。
自社が与えるブランドイメージは何か
明確な想いを打ち出し、人々の心に届くようなストーリーを打ち出すことで、競合とは異なる唯一無二の存在として人々に認知される。もちろん人の感情を揺さぶることはそう簡単ではない。ましてや恵方巻のようにイメージが可視化・具体化できるわけでもなく、共通認識を図ることが難しいブランドに対し、ポジティブなイメージを抱かせることは容易ではない。
だからこそ、いち早くブランド構築に向けて動き出した企業が勝つ。私たちイマジナはそう考えている。
貴社のブランドを口に出したとき、どのようなイメージをされるだろうか。イメージの先に人々の笑顔は溢れているだろうか。あるいは想像を超えた期待感ーワクワクし、笑顔になる未来ーを提供はできているだろうか。