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企業成長は、ブランドパーパスと利益の創出にある

2021/07/06(最終更新日:2021/09/10)

#ブランディング事例 #ブランド構築

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ブランディング

感染症の流行、国際情勢の変化、新たなテクノロジーの台頭……時代は刻一刻と変化しており、ビジネスを取り巻く環境も変わり続けている。

変化の荒波の中で、成長を実現する企業と、市場から退場を余儀なくされる企業がある。その違いはどこにあるのか。これからの企業が目指すべき姿とは何か。ひとつの大きな転換期である今だからこそ、考えてみたい。

事業の目的は、どこにあるのか

「目標」と「目的」という言葉がある。これらは似て非なるもので、ビジネスにおける目標は売上や利益、人員の数値的指標を指し、目的は数値では計測できない将来の姿、事業を行うことで何を実現したいのか、といった内容を指すことが多い。

 

目標は実績やマーケット状況から割り出されることが多いが、事業の目的は「なぜこの企業や事業が存在するのか」という根源的な問いから始まる。取り組む理由とは、将来はどうなりたいのか……理念にも通じる奥深い問いを、自らに課すことが求められる。

 

かつて、ノーベル経済学賞を受賞したアメリカの学者ミルトン・フリードマンは、「企業の社会的な責任は利益の増大にある」と言った。この責任という言葉を目的に置き換えても、この時代は差し支えはなかっただろう。利益の増大こそが、株主をはじめとしたステークホルダーのためになり、現場で働く従業員の待遇の向上につながり、顧客にとって良い製品を生み出すことにつながる。だから利益の増大こそが企業の責務なのだと、フリードマンは言う。

 

ブランドパーパスが、21世紀の企業には必須になる

しかし21世紀の企業にも、この教えは通用するだろうか。結論から言うと、それだけでは足りない。企業・事業の目的について、定義し直す時がきているのだ。

近年、欧米をはじめ様々なグローバル企業で「ブランドパーパス」という言葉が使われ始めた。パーパスとは「目的」。ブランドはその企業が持つ他社との差異であり、カルチャーであり、独自性であるから、ブランドパーパスを日本語に置き換えると、「ブランドの目的=自社がやるべきこと、自社ならではの目指すべき未来」と言える。

 

ブランドパーパスの重要性は年々増しており、ブランドパーパスを掲げる企業は優秀な人材を惹きつけ、差別化と成長を実現している。その好例が、Zappos(ザッポス)という企業だ。

 

ザッポスはアメリカにある靴のネット通販会社である。創業は1999年で、Amazonが「どうしても欲しい」と、約800億円で買収したことでその知名度は一気に高まった。

 

ザッポスが注目される最大の理由は「企業文化」にある。CEOのトニー・シェイはあらゆるメディアで「ザッポスは企業文化を経営の中心に考えている」と話している。なによりもブランディングに注力しているのだ。

 

【ブランディングについてもっと知りたい方はこちら

企業文化の創造と定着を徹底する、ザッポスの魅力とは

ザッポスは「顧客中心主義」であると同時に、「従業員中心主義」である。

顧客対応は24時間365日行っており、コールセンターにトークスクリプトはない。従業員一人ひとりが各々のやり方で、電話の向こう側の相手に寄り添い、徹底して要望を伺い、心からの返答を考える。送料・返品は無料(返品は何度でもOK)。「靴の最小サイズと最大サイズ」を聞き、一度に数種類を配送し、試着してもらうこともあるという。

これほどまでの顧客第一主義では、従業員は疲弊しないのだろうか。書籍『ザッポスの奇跡』を読むと、従業員のコメントとしてこう書かれている。「ザッポスに出会えたことは、私のこれまでの出来事の中で一番ハッピーなことでした。毎朝目覚めると、会社にいくのが楽しみで仕方がありません。週末には月曜日が待ち遠しくてたまらないときもあります」。

 

【ブランドは社員がつくる。イマジナの考えるブランディングとはこちら

ザッポスのCEOは、顧客の幸せと従業員の幸せを本気で願っている

なぜこれほどまでに、従業員エンゲージメントが高い水準にあるのだろうか。様々な背景があるが、そのひとつとして、CEOのトニー・シェイが、顧客の幸せと同じくらい従業員の幸せを重視していることにある。

 

トニー・シェイは、組織づくり、コアバリューの制定、働き方などにおいて、すべて従業員の目線で思考している。「ポジティブ心理学」と呼ばれる手法を取り入れているとのことだが、この成果は前述のコメントに表れているだろう。

 

それにもうひとつ。意外かもしれないが、社内共通の言葉として「Ikigai(生きがい)」が浸透しているという。トニー・シェイも自身の著書で、日本語をそのまま使った「Ikigai」について触れているが、従業員がザッポスでの就業を通じて、生きがいを見つけられるよう全力でサポートしているのだ。

給与を超えた「働く意義」を、従業員は会社に見出している。まさにザッポスは、ブランドパーパスの実現と利益創出の両立を果たしている企業と言えるだろう。

今一度、ブランドパーパスを問い直す必要がある

ひるがえって、「生きがい」を母語に持つ日本企業はどうだろうか。悲しいことに、ある調査では「従業員エンゲージメント指数」は日本が最下位だという。

 

最近は働き方改革で生産性向上が叫ばれているが、エンゲージメントが低ければ生産性は上がらない。結果として競争力は下がり、儲けることができず、最終的には市場から退場を余儀なくされる。

 

そこで今一度、問い直したい。なぜ自分たちはこの事業を行うのか。顧客と従業員に対して、どうありたいのか。この事業で、社会にどのような影響を及ぼしたいのか……目的、すなわちブランドパーパスを捉え直すことが、サービスや製品、企業文化や人事制度、さらにはやりがい、ひいては生きがいを形作っていくのだ。

おわりに

ブランドやブランディングというと、「売上や利益には直接関与しないもの」と考える人もいる。しかし、本当にそうだろうか。優秀な人材を惹きつける企業や、「この会社は違う」と顧客に思わせる企業には、強いブランドと素晴らしい企業文化がある。もちろん、フリードマンが指摘したように、利益の増大は必須である。しかし目的がそれだけでは、生き残ることは難しい。これからの時代を生き残っていく企業は、利益を創出しながらも、自分たちのブランドを言葉で伝え、社内外に浸透させ、実現に向けて手を抜かない企業だ。

 

自社は何を目指しているのか。社会や顧客にとってどのような存在でありたいのか。この問いは、成長を目指すすべての企業に向けられている。

弊社では社員が働くことに誇りを持ち、価値向上に寄与したくなるような企業のブランド作りをしている。ブランド力が大事になってくるこのコロナ禍だからこそ取り組みたい『社員だけでなく顧客も魅力的に感じるブランドづくり』について学べる無料ブランディングセミナーを対面またはオンラインで定期的に開催しているので、ぜひ参加して頂きたい。

 

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