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社名 | 株式会社にんべん |
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所在地 | 〒103-0022東京都中央区日本橋室町1-5-5 室町ちばぎん三井ビルディング12F |
創業 | 1699年 |
設立 | 1918年 |
URL | http://www.ninben.co.jp/ |
事業内容 | 鰹節および加工食品の製造・販売 |
代表取締役社長 | 高津克幸 |
東京都・日本橋室町に300年以上続く鰹節老舗店。2016年で創業317年目を迎える同社は、これまでにつゆの素やフレッシュパックなどのヒット商品を次々と販売してきた。
「にんべん」長寿の3つの秘訣
現在の売上152億円、従業員200人、これだけの歴史を持ちながら成長する企業は珍しい。13代目高津社長はその背景に、「危機への対応」「お客様、取引先への信用、信頼を大切にしてきたこと」「時代に合わせて新しい挑戦をしてきたこと」を挙げる。
300年の歴史を支えた危機対応
幕府が崩壊した江戸末期、大名への貸付金の回収不能で経営難に陥ったが、中興の祖となった8代目の堅実な経営で乗り越える。また、関東大震災や東京大空襲では店舗喪失するも店舗を再建。300年の歴史は山あり谷ありだ。
高津社長は就任後、ギフト需要主体で50代以上の顧客が中心という店舗の客層に危機感と持ったという。そして、若い人達にも日本伝統の味を知ってもらう試みを続け、コレド室町への本店移転を機に客層を広げた。その後、丸ビル、羽田空港等にも出店、ビジネスパーソンや若い女性の来店も増えている。販売先は時代の流れに合わせながら、そのままでは収益性低下が避けられない既存商品に付加価値をつけて新商品を生み出し、その価値を伝えていく。危機対応の歴史は、危機回避力までも育んでいるようだ。
顧客・取引先の信頼
江戸時代初期の創業時、「現金掛け値なし」の方針が江戸庶民の信頼を呼ぶ。世界初の商品券銀製の「イの切手」の普及も庶民の信頼あっての事だ。今日でも、地元の人々からの信頼が基盤との想いから、祭りやイベント、「橋洗い」という日本橋の清掃活動にも社員が参加し、地域との一体感を醸成している。「みんなで、一緒にやろう」という高津社長の経営スタイルにも表れる創業家家族と社員のつながりの強さ、そしてその家族的な雰囲気を実感しやすい企業規模が、こうした活動を支える。
挑戦の歴史
高津社長が長寿を支える最大の要因とするのが挑戦。当然、頓挫も多いはずだが、その中から成功も生まれる。その代表例の一つは「つゆの素」。他メーカーの後塵を拝したが、人工調味料でなく天然だしを使った素材の扱い方、殺菌方法などの工夫で差別化した。
「フレッシュパック」は、鰹節は削りたてが一番おいしい、という常識から絶えなかった社内の反対意見を、社長が押し切って発売へ漕ぎつけた。
最近の例は「日本橋だし場」。これまでにない業態にやはり反対意見もあったが、最終的に高津社長が決断。出汁をコーヒーの様に一杯100円で提供する新しいスタイル等が社内外で反響を呼び、1日の来客数は数百人に達することも。そして、鰹だしを使った和食を楽しめる「日本橋だし場はなれ」へ展開する。
オンラインショップ、カタログ販売とも合わせ、直接販売による顧客接点の増加は、ニーズに対する感度を磨き、「鰹節屋」としての専門性を活かした提案力をパワーアップさせる。
当社の経営戦略の根幹を成すのが、時代の変化に対応して挑戦することだ。「ゼロからではなく、見せ方、切り口を変えるか、足し引きする」、伝統のノウハウと新しい技術の融合が、その成長をもたらす。
挑戦、危機対応、信頼を支える「ブランディング」
すでに確固たるブランドを持つ当社にとってはリブランディングとなったが、確立済みのブランドに頼らないとの方針の下、社内アンケート、インタビュー、さらに取引先とのグループインタビュー等でブランドのイメージ、目指すべき方向をヒアリングしながら、昔ながらのロゴのデザインや使い方も変えた。 そして、会社の使命となる「にんべんの約束」を制定。そこに込められた伝統、日常、そして革新への想いを全社員に浸透させ、社外にも発信する、それがブランディング事業の本質との想いから「全員を同じ方向に向かせるのは難しいが、何度も伝わるまで言い続ける」という。 江戸時代から続く、鰹節を使う人、作る人、商う人が潤ういわゆる「三方よし」の思想は、顧客・社員・会社の利益を考える現在の経営理念にも引き継がれている。 イマジナが提唱する、インナーブランディングとアウターブランディングの両輪を廻すことは、にんべんでは永年に渡り染み付いている。