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湖池屋の事例から学ぶ。リブランディング戦略

2021/08/03(最終更新日:2022/01/14)

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ブランディング

コロナの勢いは留まらず、外出や友人との食事が制限される状況が続いている。そんななか「心の癒し」としてお菓子の消費が増加しているのをご存知だろうか。今回は今もなお多くの国民から愛されるポテトチップスで名高い湖池屋が行ったリブランディング戦略を紐解いていく。

 

1953年に創業した湖池屋は、今年2021年に68年目となる菓子メーカーである。創業者の小池和夫がポテトチップスのり塩を発明し、1967年には日本で初めてポテトチップスの量産化に成功し、大衆化を行なった企業である。

 

同社は2016年に創業60周年を迎え、社長交代を経てコーポレートブランドを統合し、新たに湖池屋ブランドを再確立した。

「老舗」のポジションを狙ったリブランディング戦略

まず、湖池屋が行ったことはコーポレートブランドの再確立であった。前述のとおり湖池屋は日本で初めてポテトチップスの量産化を行った企業である。湖池屋は、ブランドの再確立にあたり、経営の原点に立ち返り「本当に美味しいポテトチップスととはなにか」を考えることから始めた。そしてポテトチップスの「老舗」だからこそできる価値提供を核としてリブランディングを進めていくことに決定したのだ。

 

ここで重要なのは、背景の紐解きである。すべての企業には、創業時の想い、社内で大切にしていること、今まで顧客に選ばれてきた理由(独自性)がある。先の見えない今だからこそ、何か新しいことに取り組もうと考えている企業は多いのではないだろうか。しかしその際に、自社の背景の紐解きをおろそかにし取り組んでしまうと今までの自社ブランドを毀損してしまう可能性があるので要注意である。

 

【自社ブランドの背景の紐解きとは詳しくはこちら

湖池屋が行なった社員の意識変革

同社はコーポレートブランドの統一のタイミングで、社内向けの施策も取り組んだ。まずは自社の考えやルールをまとめたブックを制作し、社内での共通認識をつくった。社員にもポテトチップスの「老舗」という認識を持ってもらう為に社屋を料亭のような門構えにし、老舗の高級感を演出し、自社製品への品質の自信・誇りを表現できるように改革した。そうすることで働く社員も、「自分たちはポテトチップスを作る料理人である」「本当に美味しいポテトチップスをつくるために、こだわりを持って商品開発に挑もう」ということを自発的に意識できるような環境を整えたのだ。

 

ここで大切なのは、自社の根幹となる考えをしっかりと一貫して社員にも伝えているという点にある。ただ、社屋をオシャレにする、見た目を良くするというだけでは社員が自社の理念を理解・共感し、日々の業務に落とし込むという段階まで到達するのは難しい。社員は経営陣とは違い、自社の経営理念を自分事として考え、意識をしながら働くというのはなかなかハードルが高いものである。いかに、自社の理念を社員に身近に感じてもらえるような伝え方をするかは、ブランディングを行う際にとても重要なことである。

湖池屋の自社ブランドに社会性を持たせた取り組み

同社は、他にも社会性をもった取り組みを行なっている。「JAPAN PRIDE POTATO 」というラインを立ち上げ、 世界文化遺産の神宿る島といわれている宗像・沖ノ島と協力し、宗像の海を守るをテーマにした限定フレーバーを発売。この製品には宗像市の醤油、鐘崎漁港の穴子、 有明海の海苔が使用されており日本が誇る素晴らしい地域の文化や食材を伝えていくというテーマを持ち世の中に発信されたものである。この製品は、地域貢献をしているという面だけではなく同時に「老舗」の湖池屋だからこそ、様々な食材を使ったこだわりのポテトチップスを開発することができるという自社ブランドイメージの強化にも繋がっているということがポイントだ。

 

近年、サステナビリティ経営やESG経営など、企業が世の中の社会課題や環境問題を解決することを求められる時代になっている。どのように対応していくべきかを考える経営者の皆様も多いのではないだろうか。これを考える際に大切なことは、取り組みがただのボランティアで終わってしまわないようにすることである。その取り組みが社会貢献だけでなく、自社の成長やブランドイメージの強化に繋がることが重要であり、これからの時代勝ち抜いていく鍵である。

 

【ESG経営とは。詳しくはこちら

まとめ

今回は湖池屋の事例から、自社の背景の紐解きについて、社員に自社のブランドを伝えていく際の重要なポイント、自社事業と社会貢献性の結び付け方について述べてきた。

弊社では、これらのことを他の事例を紹介しながらより詳しく知ることができる経営者向けのブランディングセミナーを開催している。是非、自社のブランドを強化していきたい。これからブランディングに取り組もうと思っているという方は参加していただきたい。

 

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