東京オリンピックのブランド戦略を、ブランドブックからひも解く
2021/08/05(最終更新日:2021/11/12)
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予期せぬ形で延長し、2021年ようやく開催された東京オリンピック2020。様々な問題を孕みながら開催に至りましたが、オリンピックの放送によって明るい話題が増え、国内は活気を帯びてきました。
そんな東京オリンピックも、実はブランドブックを制作し発信しているのをご存知でしょうか。今回は、そんなブランドブックの内容を紹介しながら、本大会のブランド戦略を紐解いていこうと思います。
東京オリンピックの掲げるビジョン
東京オリンピック2020は「全員が自己ベスト」「多様性と調和」「未来への継承」の3つのビジョンを掲げています。「全員が自己ベスト」はアスリートが自己ベストを達成できるような大会運営と創意工夫のおもてなしの提供、「多様性と調和」はオリンピック・パラリンピック精神の浸透や個人のアイデアを生かした大会運営、「未来への継承」はさらなるスポーツの普及と伝統文化の継承を、それぞれ意味しています。
本大会は、この3つのビジョンを掲げ、日本ならではのおもてなしやシームレスな運営に力を入れています。
「東京」と「日本」が持つ、相反するイメージを活用
東京と日本に実は異なる印象を抱いている外国の方が多いということは、日本人には意外と知られていない事実かもしれません。ブランドブック記載の調査によると、東京という都市に対しては「最先端の技術」「活気」「ダイナミック」といったイメージを持つ一方で、わが国日本に対しては「伝統」「落ち着き」「調和」というイメージを持つ外国の方が大勢いるそうです。
相反する魅力が存在しながら、互いが調和している。それは、東京オリンピックが掲げるビジョンの一つである「多様性と調和」にもつながる部分です。世界中から、異なるバックグラウンドを持つ多様な個性が集まるスポーツの祭典・オリンピックは、多様性を重んじた大会ですから、日本が持つこの特性は大会のコンセプトにマッチし、ブランディングに活かされています。
大会テーマをイメージカラーとロゴに展開
先述した東京と日本のイメージの対照性は、本大会のイメージカラーである紅色と藍色にも表現されています。この二つのカラーリングは、日本の伝統色でありながら、明暗のコントラストを持ったものになっており、相反する概念の調和と共存という意味合いが込められています。
また、テレビ放送中も頻繁に目にするブルーのロゴマークも、同様に大会テーマがデザインに落とし込まれています。
江戸時代に市松模様として広まったチェッカーデザインは、 日本の伝統色である藍色が使われ、粋な日本らしさが描かれています。ロゴは、長方形が集合し円状をなしていますが、よくみるとそれぞれ形の異なる三種類の長方形からできています。 これは、国や文化・思想などの違いを表し、違いはあってもそれらを超えてつながり合うデザインには、やはり「多様性と調和」のメッセージが込められています。
このように、根底にある想いとなるブランドコンセプトやビジョンを、ロゴやイメージカラーへ展開していくことも大切なブランディング施策となる。ロゴやカラーは多くの人の目に触れるものであるため、一貫したコンセプトテーマとズレが生じないことが極めて重要です。
まとめ
先進性と伝統が互いを否定することなく調和し、共存する都市であり国である東京と日本。調和を意味し、日本人が文化的に重んじてきた「和の精神」は、日本代表選手たちが大事にする根幹部分でもあります。この調和の精神によって、 人々や社会を前向きにするイノベーションを起こすというのも、東京オリンピックの目指すところです。 イノベーションとは、技術的なハード部分だけではなく、 人々の日常に新たな価値を生み出す視点のようなソフト部分が大きく含まれています。
オリンピックは、スポーツを通じて世界をより良くするための祭典です。東京オリンピックでは、開催国日本の良さと独自性を運営に活かし、東京ならではのオリンピック・パラリンピックで世界に良い影響を及ぼすことを目指しています。その想いやゴールは、ブランドブックとして具現化し、発信・共有することで、多くの人から共感を得ることができます。
イマジナでは、多様なブランディング施策に加え、企業や団体のブランドブック(カルチャーブック)制作も手がけています。弊社は制作に関わるクリエイティブだけではなく、企業の根幹となる想いの明文化(コンセプト策定)から、社内・社外に向けたブランディング施策を一気通貫で提供しているブランディングカンパニーです。自社のブランディングにご興味のある方は、是非セミナーにご参加ください。
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