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「無駄」を価値に変えるサーキュラーエコノミーとは
新しい経済の形として、注目度が上がっているサーキュラーエコノミー。欧米を中心に注目されてきた考え方で、日本でもビジネスモデルに取り入れる企業が増えている。
この背景には、世界で資源利用量が増加の一途を辿っていることが挙げられる。対策を講じずにこのまま資源採掘が進めば、いずれ資源は枯渇してしまうだろう。そのような事態を防ぐために、現在多くの企業が、新たな仕組みづくりに取り組んでいるのだ。
サーキュラーエコノミーとは循環型経済と訳される。「循環」というと、いわゆるリサイクルやリユースによって、使い終えたものを回収し、再利用する仕組みが思い浮かぶだろう。しかし、サーキュラーエコノミーは、廃棄物を一切発生させないという点で、それらとは異なる新たな経済モデルなのだ。
従来の「再利用できるものはする」という考えでは、再利用困難なものの廃棄処理は肯定されてきたが、サーキュラーエコノミーでは製品の設計時点で、余すところなく再利用することを前提として生産される。
これまで大量生産・大量消費の過程で廃棄されてきたものを原材料として活用することで、これまで「無駄」だと考えられていたものから新たな価値を生みだすことが可能になるのである。
サーキュラーエコノミーを取り入れた企業の事例
例えばアパレル大手のアディダスは、海岸で回収されたプラスチックごみをスポーツウェアの素材に活用した「PARLEY OCEAN PLASTIC」などで知られている。また、海洋プラスチックの回収をしている地域の雇用創出といった社会貢献にも、評価が高まっている。
さらに3Dプリンターを使い、単一素材で製造され、使用後に回収・溶解することで100%再生可能となるランニングシューズ「FUTURECRAFT.LOOP」が生産されたことでも話題になった。
他にも、国内寝具メーカーのイワタは「ひとつの寝具を愛し続けてほしい」という想いから、水洗いできる素材を使った製品の開発に力を入れ、劣化した製品は回収し、新品の6割程度の価格で仕立て直すところまでのサービスを提供している。
また弊社クライアントで、静岡で産業廃棄物処理などを担っている企業は、収集した廃棄物を電力に変換し、排出事業者様に新電力を還元する、業界初となる独自の「エネルギーのリサイクルループ」事業に乗り出すことを発表した。これは日清食品ホールディングスなどもサステナビリティ中長期戦略「EARTH FOOD CHALLENGE」の一環として、「ごみ焼却発電施設」で廃棄物から作られた電力を東京都新宿区の東京本社で使用している事でも注目が集まっている取り組みである。
企業ブランディングにおいても欠かせない環境保全という視点
SDGsやESG経営など、環境保全への取り組みが取り沙汰され、企業の社会貢献性が消費者の行動に大きく影響する現在、事業を通じた環境保全という視点が、自社のブランディングに取り組む上で、欠かせないものであることは間違いない。
しかし、ボランティアなどの一時的な環境貢献では十分とは言えない。事業の一部として収益を生みながら、企業が持続していけるような活動としての環境貢献でなければ、顧客の消費行動に結び付きにくいからだ。いまや、環境に配慮した商品を購入することが、消費者にとっても一つのステータスになる時代である。そういった消費者心理も活かしながら、自社のブランド構築を進めていくことが、重要になってくるだろう。
まとめ
このように、国内外問わず多くの企業がサーキュラーエコノミーを取り入れることで、自社の社会提供価値を発信し、ブランドイメージの向上に活用している。
製造業に携わる企業であれば、このサーキュラーエコノミーを自社の経営モデルに組み込むことを考えてみてはいかがだろうか。