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【第2弾】ブランディングの「本質」はどこにある?【新書籍発刊記念特別コラム】

2020/07/03(最終更新日:2020/09/30)

●ブランディングの「本質」はどこにある?

「ブランディング」とは、一体どういうものでしょうか?
・自分たちの魅力を相手に伝えること
一般的にはこれを「ブランディング」だと考えている人が多いと思いますが、正確に言えば、ちょっと違います。これはどちらかといえば「マーケティング」のことだと言えます。

では、ブランディングとはどんなものを指すのでしょう?

・相手に「この企業やこの製品にはこういう魅力がある」と思ってもらうこと

われわれは、これが正解ではないかと考えています。
大事なのは、「自分たちが伝えたいこと」ではなく、「それに対して相手がどう感じ、どのようなイメージを抱くか」のほうなのです。

ブランディングとマーケティングの違い

●変に謙遜しすぎるのもよくない

日本人は、子どものころから自分をどう見せるかというトレーニングをあまりしてきていません。そのため、たとえば採用面接でも、変に謙遜して、「等身大」どころか自分を「8掛け」くらいに見せて、それでよしとしてしまいます。過大に期待されると、後が大変だと思ってしまうのかもしれません。
ただ、これでは、「自分は控えめな性格です」というアピールにはなっても、それで得をすることはあまりないのではないでしょうか。

その点、欧米人は、「自分をより魅力ある人間に見せること」に非常に神経を使っています。
私たちは、アメリカで人材採用の現場にも携わった経験がありますが、あちらでは多くの人が、本当は「1」の実力なのに、平気な顔で「10」と言うという面があります。ただ、彼らがそうするのは、「初対面で高く評価してもらったほうが、チャンスが広がる」と信じているからです。
どこの国でも、好条件の就職口には応募者が殺到します。そこを突破しないことには、何も始まりません。入社後に活躍できるかどうかは、入ってみないとわからないのですから、ここは大風呂敷を広げて、「いかにもこの人はできそうだ」と思わせるほうがよいのだとも言えるでしょう。

足りない分は入社後に努力して埋めればいいですし、問題が起こったら、そのときにまた考えればいいという考えが根底にあるのかもしれません。もちろん、口だけで本当に中身がなければ、採用したほうは不満に思うでしょうし、リストラ候補の一番手にリストアップされるかもしれません。ただ、明らかなウソでなければ、そうした「虚飾」「盛りすぎ」を見抜けなかった採用側の責任だとも言えます。

日本に比べて欧米の企業のほうがブランディングがうまいのは、こうした「大風呂敷」を半ば認めるような文化も影響しているのだと考えられます。

●ブランディングの本質は「未来への投資」

このように、「自分たちが伝えたいこと」ではなく、「相手にどういうイメージを持ってもらいたいのか」を考えるのが、ブランディング戦略です。
このとき、そのイメージの中には、「現在」だけでなく、「未来の自分たち」の姿が含まれている必要があります。なぜなら、「未来への投資」というのがブランディングの本質だからです。

たとえば、古くからあるスポーツや芸能などでは、この「未来への投資」ができているところと、そうでないところの差が出ることが多くあります。
いま、こうした興行を開くたびに毎回、満員御礼になっているのであれば、一定の人気があるとは言えるでしょう。でも、もし周りの若い人に尋ねても「興味・関心を持っている」という意見がほとんど見られないのであれば、いまの人気は「シニア層が支えているから」こそだと考えられます。
そうであれば、こうした興行を手がけている団体は早急に「若者をターゲットにしたブランディング」を始めるべきなのです。というのも、シニア層だけでいまいくら盛り上がっていても、「未来」がないからです。平均寿命は伸びていますが、とはいえ、現在のシニア層がいずれいなくなってしまうことは避けられません。そうなったとき、「次の世代のファンづくり」をしていなければ、衰退は免れないでしょう。

●「5年後、10年後」を考えるのがブランディング

実は、これと同様な状況にある会社は、意外に多いのです。
業績が好調なときは、お客さまは自分たちに対していいイメージを持ってくれているのですから、「あえてブランディングなどする必要はない」と考えがちです。あるいは、「ブランディングが重要なことはわかるけど、自社における緊急度は低い」と思ってしまいます。
では、現在の業績を支えてくれているお客さまは、5年後、10年後も、同じように自社の製品を買い続けてくれるのでしょうか?
目の前のお客さまが喜ぶ施策だけを行っていれば、短期的にはいいかもしれないのですが、長期的にはその企業の売上は間違いなく停滞あるいは衰退していきます。つまり、「現在のお客さま」だけに注力するのではなく、常に「未来のお客さま」を育てていかないと、会社はジリ貧になってしまうのです。
だからこそ、ブランディングには、「未来のお客さまに、どうやって自社や自社の製品に対する望ましいイメージを持ってもらうか」という視点が欠かせません。

この「未来への投資」は、決して「重要ではあるものの緊急度が低い」課題ではありません。本来は、重要度も緊急度も高い、いますぐ取り組むべき課題なのです。

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