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SDGsへの取り組みの重要性が増している現在、その一環として社会貢献活動を行う企業が増えています。
- そもそも「社会貢献」とはどういった定義なのか?
- 社会貢献活動の種類やメリットなどが知りたい
- 社会貢献とCSRとの違いはどこにあるのか?
本記事では、上記のような疑問をお持ちの方に向けて「社会貢献」に関する概要を解説します。社会貢献に繋がる活動は、企業イメージの向上や企業ブランディングにもポジティブな影響を与えるため、社会貢献活動に関心のある方はぜひご参考ください。
社会貢献とは?
ビジネスシーンでの文脈において「社会貢献」とは、企業が行う実業務とは関連のない公的な活動のことを指し、精選版 日本国語大辞典では、以下のように定められています。
社会貢献
社会生活の向上のために尽力すること。特に企業が日常の業務とは別に行なう公益活動。
(引用:精選版 日本国語大辞典「社会貢献」)
また、日本経済団体連合会(経団連)が示す「企業行動憲章」では、「企業は高い倫理観と責任感をもって行動し、社会から信頼と共感を得る必要がある」「企業の発展の基盤は、持続可能な社会の実現にある」
と示されています。
企業は、社会や社会活動を構成する大きな要素の一つです。中小企業から大企業まで、社会貢献活動や社会還元を意識した事業を行うことは、ある種の使命とも言えるでしょう。
社会貢献とCSRとの違い
CSRは、(Corporate Social Responsibility)の略であり、「企業の社会的責任」と言った意味です。社会貢献(活動)・CSRともに似たような意味合いですが、CSR活動の一つに「社会貢献活動がある」といったイメージが分かりやすいかもしれません。
CSRの範疇は、地域社会だけでなく、消費者や従業員、取引先、投資家など、自社に関係するあらゆる利害関係者に対してとなります。例えば「女性社員の活躍推進、ダイバーシティ雇用・就労の推進」など自社向けの活動も、CSR活動の一環です。一方で、地域社会に向けたCSR活動は「社会貢献活動」とも言い換えられるでしょう。
SDGsの側面から見る社会貢献の重要性
「SDGs 達成へ向けた企業が創出する『社会の価値』への期待」に関する調査研究報告書」によれば、【SDGs達成に向けて、企業には「社会の価値」の創出が求められている】
とあります。
また、2017年11月には経団連が企業⾏動憲章を改訂し、「SDGsが目指す社会の実現のために、企業・経済界には、課題解決のための創造性とイノベーションを発揮することが期待されている」と、公表されました。
企業は、社会に対して大きなインパクトを与えることを意識し、SDGs達成に向けて役割を果たさなければなりません。その行動の一つとして、日本だけでなく世界を見ても、社会貢献活動を行う企業が増えています。
(出典:一般財団法人 企業活力研究所「SDGs 達成へ向けた企業が創出する『社会の価値』への期待」に関する調査研究報告書」)
社会貢献の主な種類と事例
一般的に、社会貢献活動は、人的支援企業に所属する人材に、実際に社会貢献活動を行ってもらう支援形態・物的支援・資金的支援の3種類に分けられます。それぞれについて説明します。
人的支援
企業に所属する人材に、実際に社会貢献活動を行ってもらう支援形態です。
-
【例】
- 災害時のボランティア、復旧活動における支援
- 地域のゴミ拾い、緑化活動
- 社外での講師活動や地域コミュニティへの出張
物的支援
企業が保有している設備やサービス、技術・スキルなどの提供を行う支援形態です。自社で使用している製品をサスティナブルなものに代替することなども、広義の意味では物的支援に含まれるでしょう。
-
【例】
- 自社製品の無料(優待)利用
- 発展途上地域への物資仕送り
- 自社の福利厚生施設・スポーツ施設などを地域や子どもたちに開放
- フェアトレードの推進
資金的支援
社会貢献団体、NPO法人などに資金を提供する、間接的な支援形態です。
-
【例】
- UNICEFやUNHCRなどへの寄付
- 社会福祉団体や高齢者施設などへの寄付
- 社会貢献を行うクラウドファンディングなどへの資金提供
企業が社会貢献を考えるうえで、人的支援・物的支援・資金的支援それぞれの面から、活動内容を思案することも重要ですが、より重要な視点は「事業自体で社会貢献性を実現すること」と言えます。
例えば、奈良・大阪地域で吉野杉を使用した家づくりを行う「株式会社イムラ」では、「原産地の村の林業再生につなげる為に、産官学連携の取り組み」を企業が主体となって行っています。これにより事業を通じながら、地域に貢献することができるので持続可能な取り組みと言えるでしょう。
企業が社会貢献活動を行う目的
社会貢献の目的は、事業を通じて社会に価値を提供し続けることです。
元々、利益を追求する企業にとっての社会貢献は、利益の追求なしに社会の問題解決のため自主的取り組む活動でした。しかし、時代の流れにより社会貢献の内容は変化してきました。
なぜなら、社会の持続的な存続のために価値を提供できない企業は淘汰されるからです。市場のグローバル化や巨大企業の台頭で自然環境なども変化しています。
だからこそ企業には、人類の永続的な発展に貢献する義務があるのです。
社会に貢献するため
社員一人ひとりの社会に貢献する意識の向上が社会貢献への取り組みの原動力になることは間違いありません。企業の上層部で決めたとしても、社員全員に浸透させなければなりません。
そのためには、社員教育が大事になります。社会貢献の目的・意義など、利益の追求だけでなく事業を通じて社会に貢献することがいかに大切かを社員に意識づけすることです。
意識の薄い社員にも、社会貢献は企業活動になくてはならないことを理解してもらいましょう。
投資家に与えるメリット
環境・社会・ガバナンスの3つの要素を考慮した投資である「ESG投資」の重要性が増してきている現在、社会貢献活動の取り組み有無は、(投資家にとって)投資判断における一つの要素となります。
消費者や取引先からしっかりと信頼を得ていれば、その分経営リスクも減るため、投資家としても魅力的な出資対象に映るでしょう。
企業・ブランドイメージの向上のため
企業が行う社会貢献活動に関して、経団連では定期的に実績調査結果を公表しています。例えば、「2017年度 社会貢献活動実績調査結果」において、【企業とNPOなどの非営利組織との接点は着実に増加している】といった結果が出ています。
新たなビジネスチャンスの創出
社会貢献はひと言で語ることは難しく、幅広い業界に広がっています。このことから、社会貢献に取り組むことで、新たなビジネスの創造につながる可能性があるのです。その一例を示します。
- 貧困をなくそう…職業訓練・災害保険・防災関連製品など
- 飢餓をゼロに…給食サービス・農業資材・食品包装や容器など
- すべての人に健康と福祉を…医療機器・医薬・フィットネスサービスなど
- 質の良い教育をみんなに…学校教育・生涯教育・Eラーニングなど
- ジェンダー平等を実現しよう…家電製品・美容品・保育など
- 安全な水とトイレを世界中に…水質管理システム・水道管・公衆トイレなど
- エネルギーをみんなに そしてクリーンに…発電・ガス・エネルギー開発など
- 経済成長も…ベンチャーキャピタル、産業ロボットなど
- 産業と技術革新の基盤をつくろう…防災インフラ・港湾インフラなど
- 人や国の不平等をなくそう…通信教育・送金サービス・ハラルフードなど
ビジネスの機会は多くの企業に与えられていますがすべてが上手くいくとは限りません。
実態が伴わなければ、絵に描いた餅になり、企業のイメージを悪化させることにもつながります。
顧客の不安や不満によって、企業イメージや社会的信用が大きく低下する恐れがあります。そうならないためにも、情報収集・長期的な視点での取り組み・顧客の声を大事にすること・ネットワークの構築には十分力を注ぎましょう。
企業にとっても製品やサービスの新たな付加価値の創出や、イメージアップなど、多くのビジネスチャンスがあります。
【視点別】企業の社会貢献活を行うメリット
多くの企業が積極的に社会貢献活動に取り組んでいますが、社会貢献活動は社会に対してだけでなく対自社においても大きなメリットがあります。ここでは、3つの側面から社会貢献活動を行うメリットを解説します。
顧客・求職者に与えるメリット
社会貢献活動に取り組み、その活動内容を適切に公表することで、企業のブランド価値や印象が向上すると言えます。
顧客においては、商品・サービスの売上増につながったり、求職者においては、採用数の増・応募者の質向上につながったりなど、ポジティブな影響が考えられます。
従業員に与えるメリット
従業員にとっても、所属する企業が社会貢献活動に熱心に励んでいれば、周りの友人・家族などから良いイメージを持ってもらいやすくなり、セルフイメージの向上に繫がることが考えられます。
自身が「社会的意義のある企業に属している」といったように、ポジティブな帰属意識が芽生えやすくなるため、結果的には離職率低下や風通しの良い職場の形成などに繫がるでしょう。
社会貢献で企業のイメージを損なうことも
社会貢献については、企業が自社のホームページでステークホルダーに報告するようになりました。企業は、利益追求だけでなく、社会貢献についても評価されるようになっています。
あわせて、多くの企業がSDGsレポートやCSRレポート・統合報告書などをリリースしています。また、企業のホームページでもSDGsをテーマにした特設ページを公開する企業も増加しているのです。
このように社外に積極的に発信すると、もし実態と異なる社会貢献をすると、企業のイメージダウンにつながることになります。
だからこそ、自社の存在意義や強みを整理し、その上で社会貢献の本質を理解して取り組む心がけが重要です。
上手に社会貢献をするには
企業の存続には、持続的な社会発展が必要であり、より良い社会があるからこそ、企業活動が成り立っています。社会への還元策の一つとして、「社会貢献活動」の重要性は日々高まっており、多くの企業が導入している状況です。
社会貢献活動には、人的支援・物的支援・資金的支援といった主に3つの方法がありますが、大切なのは「事業自体で社会貢献性を実現すること」です。インナーブランディング・アウターブランディングにも非常に有効であるため、現在十分に行えていない企業様は、ぜひ社会貢献活動に取り組んでみてはいかがでしょうか。