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企業が合併する際には、合併公告を実施する必要があります。合併公告を怠ると罰則の対象となる上に、合併の実現が遅れるので注意が必要です。今後、M&A(合併・買収)や、組織再編のために新設合併を考えている企業は、合併公告に関しても深く理解しておきましょう。
当記事では合併公告の方法や実施のタイミングを述べた上で、公告の記載内容を詳しく解説します。さらに、合併の基本的な流れや、官報における公告掲載料金についても触れるため、合併の手続きを進める際の参考にしてください。
合併公告とは
合併公告とは、企業の合併を、株主や債権者ら世間一般に周知させることです。「公告」は法律用語であり、政府や公共団体が、公的な情報を一般の人々に広く知らせることを言います。企業などがPRに用いる「広告」とは意味が異なるため、注意してください。
合併には吸収合併と新設合併の2種類があり、どちらにおいても合併公告が必要です。合併公告は法律によって義務付けられており、公告を不実施もしくは不正な公告を行った場合は、過料が課せられます。 (会社法第976条)
合併公告の方法
合併に限らず、公告はさまざまなケースで実施されます。公告の実施方法は、主に下記の3種類です。(会社法第939条)
- ・官報に公告を掲載する
- ・日刊新聞紙へ公告を掲載する
- ・電子公告によって、インターネットに公告を掲載する
官報とは、法令などが掲載された、政府が毎日発行する日本国の機関紙です。インターネットでも閲覧可能で、誰でも見ることができます。官報掲載は各都道府県の官報販売所から申請できるので、インターネットの掲載申込フォームか、FAXまたは郵送にて原稿を提出してください。
日刊新聞紙は時事を掲載するものであれば、地方紙でも問題ありません。新聞紙への掲載費用は30~50万円と高いため、債権者や株主が多い場合に活用するとよいでしょう。
電子公告は、自社ホームページなどで公告を掲載する方法です。電子公告を行う場合は、公告の信頼性を保つために、電子公告調査機関へ調査を依頼する必要があります。調査委託費用は会社や日数にもより異なるものの、約5万~10万円が目安です。
合併公告は、法律で官報掲載が必要と定められています。なお、下記のようなケースにも官報掲載が必要です。
- ・資本金額の減少(会社法第627条)
- ・剰余金額を超える持分の払戻し(会社法第635条)
- ・会社解散(会社法第660条)
- ・任意清算(会社法第670条)
- ・組織変更(会社法第779条)
- ・株式交付(会社法第816条)
合併公告を行う際は官報だけでなく、電子公告なども併用し、債権者個人へ通知する事例が一般的です。
合併公告を実施するタイミング
合併公告は、合併の効力発生日前日の1か月以上前までに済ませなくてはなりません。合併公告を掲載する1か月間は、異議申し立てを受け付ける期間でもあります。(会社法第799条)
場合によっては、反対株主の株式買取請求に応じるといった手続きも必要となるため、いずれの公告方法を実施する場合でも、余裕を持って公告掲載の準備を進めましょう。
なお、官報の公告期間は掲載日の翌日から起算し、1か月後の起算日に応答する前日をもって期間満了となります。たとえば5月11日に掲載した場合、5月12日が起算日、6月11日が満了日、6月12日が効力発生日です。
合併公告に記載する内容
合併公告には、法定必須記載事項と情報開示事項を記載します。法定必須記載事項は、合併公告を行う上で必要となる内容です。一方、情報開示事項は会社が任意で記載する部分であり、情報開示事項を記載しなくても合併公告として成立します。
法定必須記載事項に記載する内容の詳細は、下記の通りです。
・合併公告の内容 | 表題となる部分。存続する会社と解散する会社を明確にし、異議を受け付ける旨を記載。 |
---|---|
・貸借対照表事項 | 最終貸借対照表の開示状況を示す。開示方法によって、下記の内容を記載。
|
・当事者事項 | 日付、合併に関係する会社の名前、住所、代表者名を記載。 |
連名標準型の場合、当事者事項には、存続会社と消滅会社両方の記載が必要です。単独標準型の当事者事項は掲載会社のみで構わないものの、貸借対照表事項には相手方の情報も開示する必要があります。(会社法第799条)
貸借対照表事項について、最終事業年度がない場合や、特例有限会社などで決算公告が不要な際には、その旨を表記します。「最終事業年度はありません」「計算書類の公告義務はありません」といった文章を用いるとよいでしょう。
情報開示事項には、新商号、合併効力発生日、合併承認決議の日付(予定)、合併比率、資本金の額などを記載するケースが一般的です。
公告の実施を含めた合併の基本的な手続きの流れ
合併の基本的な手続きの流れは、下記の通りです。
(1)合併実施を決定する
承認機関にて、合併を正式に決議します。通常、取締役会がある企業であれば、取締役会にて決議を行います。なお、特例有限会社は吸収合併の存続会社になることはできないため、株式会社への移行が必要です。
(2)合併契約を締結する
正式に決議を得た後に、合併契約書を締結します。合併契約書には、各会社の所在地や、合併を行う目的などを記載します。
(3)債権者や株主に公告・通知を行う
官報、日刊新聞紙、電子公告もしくは個別への通知により、債権者や株主に対して合併の旨を通知します。
(4)株主総会による承認決議を行う
合併が効力を発生する前日までに、株主総会の特別決議によって承認を得る必要があります。株主総会の招集通知は、非公開の場合は1週間前、公開や電子投票の場合は2週間前までに行ってください。
(5)効力発生前に、合併の事前書類を備置する
合併手続きを行う日から、一定の事項を記載した書面などを本店に備え置きます。備置期間は、消滅会社は合併効力発生日まで、存続会社は効力発生日から6か月間です。
(6)合併の効力が発生する
吸収合併では契約書に記載した日付に、新設合併では親切陶器を行った日付に効力が発生します。
(7)書類備置を開始する
各会社は、合併の効力発生後から6か月間、合併に関する書類を本店所在地に置いておく必要があります。合併の効力発生前までに、必要となる書類を揃えておきましょう。
(8)合併の登記申請を行う
効力発生日から2週間以内に、存続会社の変更登記と、消滅会社の解散登記を同時に行います。
官報で合併公告を実施する費用
官報での公告掲載料金は全国一律で、1行(22字)につき3,263円(税抜)の費用がかかります。掲載料金の計算方法は、「本体価格×行数+消費税(端数切捨)」です。
下表に、官報公告費用の目安をまとめるので、参考にしてください。
・会社関係の公告掲載料金(1段1行)
行数 | 税込価格(税率10%) |
---|---|
1行 | 3,589円 |
10行 | 35,893円 |
20行 | 71,786円 |
30行 | 107,679 円 |
上記は、会社関係における行公告の掲載料金です。合併公告の多くは20行前後となっているため、約5~10万円を見積もっておくとよいでしょう。
枠の使用や公告内容によって掲載料金が異なるので、詳細は申込先にて確認してください。
まとめ
合併公告とは、企業が合併する旨を、債権者や株主ら一般の人々へ周知させることです。公告は官報・日刊新聞紙・電子公告といった手段で実施する必要があり、合併公告においては必ず官報に掲載するよう定められています。
合併公告に記載する内容には決まりがあるため、合併までの流れと合わせて確認し、余裕を持ってスケジュールを組みましょう。
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