INDEX [非表示]
近年、「サステナビリティ」という言葉は、ビジネス用語としてよく使われています。しかし、正確な意味を理解した上で使っている方は少ないのではないでしょうか。また、似たシーンでよく使われているSDGsとの違いも分かりづらく、誤った使い方を耳にすることもあります。さらにはESGやCSRといった言葉も存在し、混同している方も多いでしょう。
当記事では、サステナビリティとSDGsの違いに加え、混同されがちなESGやCSRの意味や活動内容についても細かく説明します。ぜひ当記事で正しい知識を身に付け、今後の活動に役立ててください。
サステナビリティとは?
サステナビリティ(sustainability)とは、「持続可能性」という意味をもつ言葉です。短期的な利益に囚われず、長期的に考えた中で物事がどれほどの影響を与えるかを考えて行動する概念を表します。1987年に環境と開発に関する世界委員会が発表した報告書の中で、重要視されているキーワードとして世界的に広まりました。また、サステナビリティを「サスティナビリティ」と表現する場合もあります。
2005年開催の世界社会開発サミットでは、サステナビリティには以下のトリプルボトムライン(3つの軸)があると提唱されました。
■トリプルボトムライン
経済 |
|
---|---|
社会 |
|
環境 |
|
このトリプルボトムラインにより、企業に対する評価基準が大きく変化しました。
経営目標としてのサステナビリティ
サステナビリティを経営目標とした場合、「経済・社会・環境」のすべてにおいて持続可能な状態の実現を目指すことを意味します。自社の企業活動を長期的に維持継続するには「経済・社会・環境」の3つの観点に考慮した経営活動をすることが重要です。
ジェンダーを尊重した人材の雇用や、健康的な労働環境の整備により、多様性のある社会の実現に努めるだけでなく、雇用面も安定します。また、再生可能エネルギーを積極的に使用し、環境に配慮した企業活動を目指せば、良好な生活環境の保持も可能です。サステナビリティの実現は、自社の長期的な繁栄にもつながります。
エシカルとの違い
エシカル(ethical)とは、多くの人々が正しいと感じる社会的な規範を指し、直訳すると「道徳上の」「論理的な」という意味です。地球環境や地域社会に対し配慮する行動や思考などを表現する際に使われています。「エシカルファッション」や「エシカル消費」もその一例です。
サステナブルとエシカルの違いは「焦点を当てる場所」です。サステナブルは「持続可能性」を重視しているものの、エシカルは「良識的」や「論理的」な面を最も重視しています。サステナブルとエシカルは、密接な関わりをもつ関係性と言えます。
サステナビリティとSDGsの違い・関連性
SDGsとは、「Sustainable Development Goals」の略称で、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指すための国際目標です。2001年に策定されたミレニアム開発目標の後継として、2015年9月の国連サミットにて採択した「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載されています。
SDGsは17の目標と169のターゲットで構成され「地球上の誰1人取り残さない」という強い意志のもと、活動をしています。17の目標は、現代で抱える問題が多く掲げられ、発展途上国や先進国まで幅広く参加し、日本もそのうちの1つです。
出典:外務省「SDGsとは?」
SDGsなどの活動の総称をサステナビリティと呼びます。SDGsはより具体的な「持続可能な開発目標」であり、サステナビリティ経営に対して取り組む方法の1つです。SDGsの他にESGやCSRなど、サステナビリティを具体化する考えが存在します。
以下では、それぞれの特徴とSDGsとの違いを解説します。
ESG
ESGとは、「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」の3つを組み合わせた言葉です。2006年に発足したPRI(責任投資原則)を機に、企業が成長をし続けるためにはESGの3つの観点が重要だという考えが、世界に注目されました。また、ESGの観点から投資先を決定する方法をESG投資と言い、投資をする人物をESG投資家と呼びます。
SDGsとESGの違いは、SDGsが「国や企業が推し進める目標」であることに対し、ESGには「企業が経営をする際に重視する事柄」という意味をもつ点にあります。2つの言葉の意味は異なるものの、企業がESG経営をすると結果的にSDGsの目標達成に貢献できるため、2つの取り組みを同時にする企業が多いです。
CSR
CSRは、「Corporate(組織)」「Social(社会的な)」「Responsibility(責任)」の略称で、直訳すると企業が担う社会的責任という意味です。「社会的責任」とは、投資者や従業員、消費者だけでなく環境課題や社会貢献などに対して、適切な意思決定を行うことを指す言葉です。
SDGsが「国や企業が協力して解決すべき目標」であることに対し、CSRは「国際社会をよりよいものにするための活動」である点が異なります。ESGとSDGsの関係性と同様に、企業がCSRに取り組むことが結果的にSDGsの目標達成につながると考えられています。
企業がSDGs活動・サステナビリティ経営に取り組むメリット4つ
企業がSDGs活動・サステナビリティ経営を推進することで、環境保護や地域社会に貢献できるものの、企業側のメリットに関しては不明瞭な部分も少なくありません。また、現在SDGs活動・サステナビリティ経営は義務化されていない上、コストもかかるため、一見デメリットがあるように感じる方もいるでしょう。一方で、年々参加する企業が増えつつあることも事実です。
以下では、企業が続々と参加する理由と、取り組みで得られる4つのメリットを紹介します。
●企業価値の向上につながる
SDGs活動・サステナビリティ経営に取り組むことで企業が得られるのは、新たな事業や市場開拓のチャンスです。SDGsの目標達成に貢献できる企業は、社会に広く受け入れられやすく、債権者・投資者・地域住民・取引先・行政など利害関係者からの評価が高くなるでしょう。
●企業のブランディングに効果的である
SDGs活動・サステナビリティ経営に取り組む経営者は、社会課題に対して貢献する企業として認識され、企業イメージのアップやブランディングに非常に効果的です。また、SDGs活動・サステナビリティ経営に関する企業のブランディングについては、無料のセミナーなどでも学ぶことが可能です。
●社員のモチベーションの向上につながる
SDGs活動・サステナビリティ経営をする企業では、職場環境が健康的に維持され、社員が最大限のパフォーマンスを発揮できます。社員のモチベーション向上につながるだけでなく、企業経営に賛同した優秀な人材の確保も可能になるでしょう。
●他企業との連携を実現できる
企業が社会貢献活動に取り組むことにより、自社の商品やサービスに関しての情報発信が可能です。社会全体に自社の取り組みが広がることで、他企業との連携が実現し、自社にはない他企業の強みを組み合わせたサービスや商品を生み出せる機会が得られます。
以上のようなメリットがあるため、今後もSDGs活動やサステナビリティ経営に注力する企業が増えることが予想されます。
まとめ
サステナビリティとは、短期的な利益に囚われない長期的な視点から、物事がどれほどの影響を与えるか考えて行動するという概念です。サステナビリティを具体化したものがSDGsと呼ばれる「持続可能な開発目標」であり、その他にもESGやCSRといった活動が存在します。
また、SDGs活動・サステナビリティ経営に関連する企業のブランディングについては、無料のセミナーでも学ぶことが可能です。環境破壊の防止・社会貢献・自社のイメージアップだけでなく、優秀な人材の確保にもつながるため、ぜひ参加を検討してみてください。