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近年、経済的理由によりキャリア自律を促進する企業が増えています。キャリア自律を取り入れることで、従業員は主体的に考えて動けるようになり、企業は優秀な人材の採用や定着の実現が可能になります。一方で、キャリア自律は従業員の労働意欲の妨げになる可能性もあり、導入には注意が必要です。
当記事では、キャリア自律の定義や注目される背景、キャリア自律を高めるメリット、促進する上での注意点を紹介します。従業員の成長を促したい企業の経営者・人事担当者の方は、ぜひお役立てください。
キャリア自律とは?
キャリア自律とは、一人ひとりの従業員が主体的にキャリアを形成しようと行動することです。働く環境が変化する中でも、自分の考えを基軸にしながら、柔軟にキャリアを築こうとする姿勢が必要になります。
企業をはじめとした組織に属していると、日々の実務や研修などの中で、受動的にキャリアが築かれると思われがちです。しかし、受動的な姿勢を続けていると、環境の変化や周囲のニーズに対応できず、どこかで生産性が低下する可能性があります。また、自分の将来について考える機会が減るので、安定を求めるようになり、チャレンジする意識が薄くなる場合もあるでしょう。
自らのキャリアを受け身で築くのではなく、主体的に考えて行動することで、キャリア自律度が高い人材になれます。
自律と自立の違い
自律と字や意味がよく似ている言葉に「自立」があります。キャリア自律の意味を明確に理解するために、自律と自立の違いも理解しておきましょう。
自立とは、周囲からの助けを受けずに、自分の力だけで物事を進めることです。キャリアにおいて「自立」を使用する場合は、あくまで自らに焦点を当てている状態で、周囲に関係なく日々の仕事やキャリア形成に取り組む意味合いとなります。
一方で、「自律」は、周囲の声やニーズも把握した上で、自分自身の意思をベースに自己実現に取り組む意味合いが強くなります。日々の仕事をする中で、多様な人と関わります。自分の知見を広げるためにも、他者との関わりは重要です。そのため、従業員と企業が成長するためには、自分の外へも目を向ける必要がある「自律」が求められます。
キャリア自律が注目を集める背景
そもそも、なぜキャリア自律が注目を集めているのでしょうか。キャリア自律が社会的に注目されている背景には、主に以下3つの経済的理由があります。
●終身雇用制度や年功序列制度の崩壊
近年は、定年まで同じ企業に勤める「終身雇用制度」や、勤続年数・年齢に応じて昇給・昇格が決まる「年功序列制度」を導入する企業が減っています。一方で、従業員個人の持つ能力や挙げた成果に注目する企業が増加傾向です。
現代の労働者には、主体的にスキルや知識を習得し、キャリア開発を図る姿勢が求められています。今後も同様の傾向が進むと見込まれる中、キャリア自律の必要性が高まっています。
●ジョブ型雇用の浸透
ジョブ型雇用とは、自社の事業推進にあたって必要な職務を定義した上で、その職務を軸に人材を採用・雇用する制度です。元々は欧米で普及していたジョブ型雇用が、最近は日本企業でも採用されるようになっています。特に新型コロナウイルス感染症の流行以降は、テレワークなどで従業員の働く様子を確認できないことが増えたため、ジョブ型雇用の注目度が高まっています。
●働き方の多様化
キャリア自律に注目が集まっている背景には、働き方の多様化もあります。以前までは、終身雇用制度の浸透により1つの企業に勤めることが一般的でしたが、近年は派遣社員やフリーランスなどの働き方や、正社員として働きながら副業をする人も増えています。働き方が多様化する中でも自己実現を果たすためには、変化に対応する柔軟性を持ちながらも、自分の軸をブラさずに能力開発を進める姿勢が必要です。。
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従業員のキャリア自律を高めるメリット
従業員のキャリア自律を高めることで、従業員本人はもちろん企業の両方にさまざまなメリットがあります。メリットを十分に享受できれば企業全体の底上げになり、長期的な成長につなげられるでしょう。
ここでは、キャリア自律が企業にとってどのようなメリットを期待できるのかを解説します。
労働意欲・生産性の向上
キャリア自律が高い人は、自らの成長のために目の前にある業務に積極的に取り組む傾向にあるため、労働意欲や生産性が向上しやすくなります。ポジティブな意識を持って仕事をする従業員が増えれば、職場全体が活性化するでしょう。
また、最近は経済状況の移り変わりが激しいので、状況の変化に対応しながら企業が成長する上でも、従業員個々の生産性の高さは重要になります。
優秀な人材の採用・定着
キャリア自律を実現するためには、企業が従業員の持つ働き方や仕事観、思いなどを尊重し、必要に応じて支援する必要があります。組織側が寄り添うことで、従業員の満足度向上や上司と部下の密なコミュニケーションにつながり、自社への定着にもつながるでしょう。
また、企業が積極的にキャリア自律支援をしていることは、求職者へのアピールにもなります。近年の日本は少子高齢化が進んでおり、人材不足に悩む企業が少なくありません。キャリア自律の促進による採用力と定着率の向上は、企業の長期的な成長にとって大きなメリットとなるでしょう。
従業員のキャリア自律に関する注意点
キャリア自律は、企業にとっての良い面だけが注目されやすいものの、課題や注意点となる点もいくつかあります。従業員のキャリア自律を促すためには、課題・注意点も踏まえたアプローチが大切です。
ここでは、従業員のキャリア自律を促進する上での課題やポイントについて解説します。
転職を招くことがある
キャリア自律を通して主体的に行動できる姿勢が身に付くと、さらなる自己実現のために離職を考える従業員が増える可能性があります。市場全体における自身の人材としての価値を知ることで、自社への帰属意識が薄れるケースもあるでしょう。
従業員のキャリア形成のために転職がやむを得ない場合もあるものの、企業としてはできるだけ防ぎたいのが本音です。日頃から従業員とコミュニケーションを取って関係性を深め、キャリア自律のためにできることを支援しましょう。
温度差のある従業員に対応する必要がある
企業がキャリア自律を促進しても、すべての従業員が労働意欲を高めるとは限りません。元からキャリア意識の低い従業員や、キャリア自律に取り組んでいたものの困難や失敗により意欲を下げている従業員もいます。
組織全体としてキャリア自律を進めるには、温度差のある従業員に対しても適切な支援が必要です。温度差のある従業員へのアプローチとしては、研修の開催やキャリアプログラムの提供、メンター制度の実施などがあります。自社の状況に応じて、最適な取り組み内容を検討してください。
まとめ
キャリア自律は従業員にとっても、企業にとってもメリットの大きいものです。従業員の労働意欲や生産性が高まれば、企業としての成長も見込めます。また、組織側の歩み寄りは求職者へのアピールにもつながり、優秀な人材を確保しやすくなるでしょう。
ただし、キャリア自律の促進により、従業員はさらなる高みを目指して転職を視野に入れる可能性も考えられます。また、すべての従業員に効果が現れるわけではありません。キャリア自律によい印象をもたない人も中にはいます。
キャリア自律を通して従業員と企業を成長させるためにも、日ごろから従業員とコミュニケーションをとったり従業員の状況に応じた支援をしたりすることが大切です。
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