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近年、働き方の多様化により人的資本に注目が集まっています。働き手の意識の変化に伴って、企業の考え方などにも変化をもたせることで、すでに従業員として働いている人だけでなく、求職者にもよい印象を与えることが可能です。
そこで今回は、人的資本の定義や人的資源との違い、注目される理由を解説した上で、人的資本を高める方法を5つご紹介します。人的資本を高めて従業員の能力を伸ばし、企業の業績向上につなげたい方は、ぜひ当記事をご一読ください。
人的資本とは?
人的資本とは、個人の能力や知識が企業の成長、利益につながるという考え方のことをいいます。
事業を行うために必要な資金を資本といいます。資本は土地と労働に並んで生産に必要な三要素と呼ばれ、人材は企業にとってコストであると認識されてきました。人材を企業価値や利益を生み出すための資本であると考えたものが人的資本です。
OECDは、人的資本の定義を次のように述べています。
人的資本は個人の持って生まれた才能や能力と、教育や訓練を通じて身につける技能や知識を合わせたものとして幅広く定義される。
(引用:経済協力開発機構(OECD)「人的資本:知識はいかに人生を形作るか」/引用日2022/10/20)
人的資本に投資すると、企業の規模拡大や利益の向上につながります。
「人的資本」と「人的資源」の違い
人的資本と人的資源の対象はどちらも同じ「人」である一方で、考え方が違います。人的資本は、企業で働く人がもつスキルや知識、仕事に対するモチベーションが企業の利益につながるという考え方です。人材投資に力を入れている企業もあり、ブランディング戦略をどのように立てればよいかをブランディングセミナーで学び、人事採用や従業員研修に取り入れています。
ブランディングセミナーに参加する際は、多くの企業に対してセミナーを行った実績をもつ会社がおすすめです。
対して、人的資源は企業を成長させるために人件費を使って人を雇用するという考え方です。つまり、人材は企業を成長させるためのコストであると認識しています。人材そのものが企業の利益につながるのか、企業を成長させるために人を雇うことをコストと捉えるかという考え方により、人的資本と人的資源の違いが現れます。
人的資本に注目が集まる背景
近年、世界情勢の変化や経済の不安定さなどの影響により、人的資本が注目されています。
一見、人材投資はコストがかかり、企業の負担になるように思えます。また個人のスキルに投資するため、企業にとって利益につながっているのかが分かりにくいこともあるでしょう。
ここでは、人的資本が注目される背景について詳細に解説します。
人材・働き方の多様化
近年は、女性の社会進出やフリーランスの増加、終身雇用に対する意識の変化など、働き方の多様化が進んでいます。
また、上下関係のはっきりした職場よりも自分の意見を対等に述べられる職場を望んでいたり、キャリアアップを目指して転職を検討したりなど、従業員として働く人々の価値観にも変化が現れています。そのため、企業の人材に対する考え方が変わらないままでは、企業と人材の間に大きなギャップが生じかねません。
また、これからの時代はAI導入やデジタル技術の発達などにより、より高度なスキルや知識が求められます。今後も企業として長く存在するためには、単に労働としての人材ではなくスキルや知識を身につけた人材が必要です。
ESG投資への関心
ESG投資とは、環境(Emvioronment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)に配慮した取り組みを実施している企業に対する投資のことです。
現在の株式市場は、お金や不動産などの有形資産よりも無形資産であるESGへの投資に関心が集まっています。ESG投資の「社会」に当たるのが、人的資本です。人材投資に力を入れて人的資本情報を開示することで、消費者や投資家からの評価が高まり、株価の上昇が見込まれます。人的資本情報の開示は海外でも実施されています。
人的資本を高める5つの方法
日本は、これまで終身雇用制や年功序列制などの雇用制度により人材の流出が多くなかったため、人的資本は重要視されてきませんでした。しかし、働き方の変化やESG投資への関心などにより、日本でも人的資本に力を入れる必要性が高まっています。
人的資本に力を入れることで、投資家や社外の関係者などから高い評価を得られます。
人的資本を高める方法はさまざまです。以下、人的資本を高める5つの方法について紹介します。
経営戦略から人材戦略を考える
経営戦略を実現させるため、どのようなスキルをもった人材が必要か、スキルをもった人材をどのように企業の中で生かすのかといった人材戦略を考えます。
人的資本を高めるメリットは、個人のスキルを生かすことで企業の成長や利益の上昇につながることです。経営戦略に沿った必要なスキル、人材の配置などがなければ、企業の利益にはつながりにくいでしょう。経営戦略と人材戦略を結びつけて考えることで企業の利益につながり、人的資本も高められます。
役割・権限を明確化し必要なスキル・知識を確定する
企業経営をスムーズに行うためには、個々の役割や権限を明確にした上で、それぞれが必要なスキルや知識を習得することが必要です。
現代の働き方や仕事に対する意識は多様化しており、誰もが自由に意見を述べられる雰囲気を取り入れることが大切です。一方で、企業は常に多くの案件を抱えており、組織で業務の遂行をしなければなりません。誰もが平等に意見を述べられ、かつまとまりのある集団を形成するためには、個々の役割を明確にする必要があります。
個々の役割を明確にした上で、それぞれの役割に必要なスキルを確定すれば、効果的に人的資本を高められるでしょう。
研修・教育体制を整備する
それぞれの役割に必要なスキルを身につけられるような研修や教育体制を整備しましょう。
従業員を育成するためには、費用や時間がかかります。しかし、費用と時間を優先して十分な研修・教育を行わなかった場合、「企業理念やどのようなビジョンをもっているのかが分からない」「必要なスキルが身につかない」など、従業員のモチベーション低下につながります。
外部から講師を派遣したり、教育や研修の時間を勤務時間に取り入れたりなど、積極的に従業員が学べるような体制を整えるのも1つの方法です。費用や手間はかかりますが、従業員のモチベーション向上や求職者にとって魅力的な企業として映るなど、優秀な人材が集まる可能性が高まります。
イマジナのアンバサダー育成ワークショップは、次代の自社ブランドを担うアンバサダーの育成を行っています。ブランディングの重要性を学び、自社ブランドの未来を考え、経営幹部にプレゼンをして実行するまでがワークショップの内容です。
適切に人員を配置し評価する
教育や研修などで個人が身につけたスキルを発揮できるよう、適切に人員を配置しましょう。
企業の求めるスキルを個人が身につけたとしても、適切な人員配置がされていなければ人的資本を高める効果が得られません。人員配置、評価などの目的を従業員に説明しながら結果を振り返り、従業員と共有することで人的資本を高められます。
HRテクノロジーを活用する
HRテクノロジーとは、採用・育成・労務などの人事分野の領域をサポートするテクノロジーサービスのことです。
HRテクノロジーは、膨大なデータを管理し、業務の効率化や人事における分析、採用から人材育成などの業務における人事施策の実行が可能です。また、従業員の希望に合わせた研修を取り入れることも可能なため、従業員のモチベーションやスキルの向上を図れ、さらに人的資本が高まります。
まとめ
人的資本とは、個人のもつ能力・知識が企業の成長や利益につながる考え方であり、人材は企業の価値や利益を生み出す資本であると考えられています。人的資本に投資することで、企業の規模の拡大や利益の向上を期待できます。人的資本は、近年変化する働き方や人材の意識に応じた考え方です。求職者へのアピールにもつながるため、優秀な人材の確保に貢献します。
人的資本を高めるためには、経営戦略と人材戦略を結びつけて戦略を考える、個々の役割・権限を明確にする、研修・教育体制・人員配置など環境の整備をすることが大切です。HRテクノロジーを活用するのもよいでしょう。
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