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日本では少子高齢化が進み、労働人口の減少が心配されています。人材を確保することは容易ではありません。労働人口が減少することで、会社運営にあたって人材はより大切な存在となります。自社の人材を育て、社員の成長に取り組むことが、企業の長期的な運営につながります。
当記事では、成長サイクルのステップと、成長サイクルに似た用語である「経験学習サイクル」「PDCAサイクル」について解説します。自社の人材育成を見直したい人は、成長サイクルの活用に、ぜひお役立てください。
成長とは?
日本国語大辞典では、成長は下記のように定義されています。
人・動植物などが育って成熟すること。育って大きくなること。心身ともにおとなになること。
引用:精選版 日本国語大辞典「成長」/引用日2022/10/20
なお、ビジネスにおいては、社員や企業自身が経験を通して自ら考え、定義付けることが必要です。
たとえば、成長とは「できなかったことができるようになること」「困難に挑戦し乗り越えたときに起きること」と定義できます。人はリスクを負って挑戦し、困難を乗り越えたときに成長が望めます。失敗から学ぶこともあり、もし失敗しても挑戦したことに意味があると言えます。
【企業向け】人が育つ「成長サイクル」とは?
企業経営にあたって人材は不可欠です。しかし、人材確保は容易ではありません。社員と企業を成長させるには、人材を育てる必要があります。
人材育成に大切なのが「成長サイクル」です。成長サイクルという明確な用語や、公的な定義はありません。成長サイクルとは、人材育成を短期間で効果的に実現するための概念です。
ここでは、成長サイクルの各ステップを紹介します。
【STEP1】やりたいこと・やるべきことを明確にする
成長サイクルでは、まず業務において達成すべき目標を明確にします。目標を明確化するには「will-can-must」を用いましょう。
- will(やりたいこと):働く動機、実現したい目標
- can(できること):willを達成するのに生かせる自身の強み
- must(すべきこと):社会や企業における自身の使命・義務
紙に書き出して整理すると、やりたいことや、やるべきことが見えてくるでしょう。目標を書き出すときは、本人が「成長する必要がある」と主体的に思えることが大事です。目標達成を目指す人が「させられている」と感じている間は、目標を達成しても期待したほど成長しない可能性があります。
社員の主体性を高めるには、社員の能力や役割に応じた仕事を任せ、本人のやり方を尊重して待つことが大切です。日ごろから社員の話をよく聞き、意識的に考えや行動を褒めるのも、主体性を高めるのにプラスに働きます。
【STEP2】現状の課題を把握する
目標が明確になったら、目標達成するにあたってどのような課題があるかを把握します。課題把握のポイントは、問題を深堀りすることです。
達成すべき目標と現状を書き出し、2つの間にあるギャップを可視化しましょう。「どうしてこのようなギャップが生まれるのか」を繰り返し問い続け、深堀りしていくと課題が見えてくるでしょう。
【STEP3】成長できる環境に身を置く
人が成長するためには、成長できる環境に身を置くことも重要です。成長できる環境にいなければ、本人の意欲や能力が高くても成長できない場合があります。
社員の成長を促すには、実力よりも1段階難しい業務に任命することです。努力を重ね、背伸びしながら難しい業務を完遂できれば、社員の能力は一段と伸びるでしょう。社員が自分で成長を感じることで、仕事への意欲の向上にもつながります。
なお、社員が業務で困っているときは、必要に応じて相談にのり、助言するなどのサポートをしましょう。難しい仕事を担当する社員を突き放したり、理不尽な叱り方をしたりすれば、成長意欲を削ぐ結果につながりかねません。
【STEP4】学習する・経験する
目標実現に向け、不足している能力やスキルを学ぶことも大事です。課題や業務が新しい知識を必要としないものであれば、成長に結び付く経験は得られません。学習の方法は、「ビジネス書を読む」「オンラインレッスンを受講する」「先輩のやり方を真似する」など多岐にわたります。企業側は社員が学べる環境や学習支援制度を整える必要もあるでしょう。
課題や業務に必要な知識を学ぶことは、よい経験につながります。よい経験とは、少し背伸びをして、能力が100のところを120や150の課題に取り組むことです。社員がよい経験を積むことで、好奇心を持って新たな成長の機会に飛び込めるようになったり、多少のリスクがあっても挑戦できるようになったりします。
【STEP5】実践から学び次の課題を設定する
目標実現に向けて業務を行った後は「振り返り」を行いましょう。振り返りとは、行った業務や事実を省みて改善点を見つけ、次の課題を設定することです。
振り返りをすることで社員が自身の行動を客観的にとらえられ、問題があった場合は改善点が見つけられます。また、よい結果が出た場合でも、成功した要因が理解できます。
振り返りや課題設定には、代表的な手法の1つであるYWTを利用するのがおすすめです。YWTとは「やったこと」「分かったこと」「次にやること」をそれぞれ書き出して整理するシンプルな手法です。
【成長サイクルと似た用語】経験学習サイクルとは?
成長サイクルと似た用語に、「経験学習サイクル」があります。経験学習サイクルとは、アメリカの教育理論家、組織行動学者のディビット・A・コルブが提唱した理論です。実際に経験したことから「なぜ失敗したのか」「なぜ成功したのか」などを分析し、次に生かしていくプロセスを指します。
経験学習サイクルは、以下の4つのプロセスから成り立ちます。
1.具体的な経験 |
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「顧客と商談をした」「新規事業のプランをプレゼンした」といった具体的な経験をします。 |
2.内省的な観察(振り返り) |
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「何をどのようにしたのか」「どうしてそのような結果になったのか」など、さまざまな角度から振り返りを行います。 |
3.概念化(教訓化) |
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振り返った内容を概念化し、教訓とします。得られた気付きを、他の経験にも生かせるレベルでノウハウやコツとして落とし込むことが必要です。 |
4.積極的な実践 |
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得た教訓は、実践しなければ本当の意味で身に付きません。経験学習サイクルで得た気付きや教訓は、次の経験で実践します。 |
【成長サイクルと似た用語】PDCAサイクルとは?
PDCAサイクルは、成長サイクルや経験学習サイクルのような成長にフォーカスしたフレームワークとは異なり、業務改善を重視します。
PDCAとは、下記の各用語の頭文字を取ってつなげたものです。
- Plan(計画)
- Do(実行)
- Check(評価)
- Action(改善)
目標達成の計画を立案し実行に移したら、内容を検証・評価します。そして実行した内容の結果を受けて問題点を改善し、また計画に戻るというサイクルです。一連のプロセスを循環させ続けることで仕事の質を高め、業務効率化と生産性向上を図ります。
PDCAサイクルを強化し、高速で回すことで、社員一人ひとりの目標も達成しやすくなります。また、各プロセスを通して社員の成長も期待できるでしょう。
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まとめ
成長サイクルとは、人材育成を効率的に実現するための概念です。成長サイクルでは、業務に対しての目標を明確にして現状の課題を把握し、目標達成に必要な知識やスキルを学ぶことで成長につなげます。経験を振り返って次の課題を設定することで、更なる成長が期待できます。
人材育成には成長サイクルの定着が大事です。一方で、企業の成長には、ブランディングを行い、企業の価値を高めることも必要となります。株式会社イマジナでは、ブランディングセミナーを無料で開催しています。企業の価値を向上させる知識を付けたい人は、ぜひご参加ください。