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社員のスキルや会社への貢献度を評価する「人事評価制度」では、よい評価を獲得した社員ほど等級や役職が上がり給与額が高くなります。そのため、社員1人ひとりのスキルに合った処遇や配置にすることで社員の満足度を上げ、会社全体の業績アップにつなげることができるでしょう。
当記事では、人事評価制度を導入している国内企業を例に挙げ、それぞれ異なる制度のポイントについて紹介します。他社の成功事例を見て参考にしたいという方や、評価制度の策定で悩んでいる方は必見です。
人事評価制度とは?
人事評価制度とは、社員のスキルや会社へどの程度貢献しているかなどを評価するためのシステムです。評価制度は等級制度や報酬制度と深く関わっており、基本的によい評価を得た社員ほど等級や役職が上がり給与額も高くなります。社員1人ひとりのスキルに合わせて処遇や配置を決めることでモチベーションアップを促し、会社全体の業績アップにつなげることも人事評価制度の重要な狙いです。
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人事評価制度の事例6つ
厚生労働省は、公的な職業スキルの評価基準として「職業能力評価基準」を発表しています。職業能力評価基準とは、業務の遂行に必要な「知識」「技術」「技能」に加えて成果につながる職務行動例を業種、職種別に整理したものです。
会社が職業能力評価基準を活用することでよい人材を確保し教育する力を伸ばし、生産性や競争力の向上につなげることが可能です。また、社員が自身のキャリア形成やスキルアップの目標を立てる際にも職業能力評価基準が役立ちます。ここでは、国内企業の人事評価制度の導入事例について解説します。
楽天グループ株式会社
楽天グループ株式会社が年2回実施している人事評価の2本の柱は、「コンピテンシー評価」と「パフォーマンス評価」です。コンピテンシー評価は会社から求められる行動を発揮し続けていたかを評価するものであり、評価内容は給与に反映されます。一方、パフォーマンス評価は期ごとの達成目標に対する成果や実績を評価し、評価内容は賞与に反映されます。
社員の勤続年数や性別、国籍などに関係なく行動や成果そのものを評価することで、多様な背景を持つ社員の成長の機会を増やせることが大きなポイントです。加えて、評価制度の整備はダイバーシティに配慮した職場環境づくりにおいても重要な役割を果たします。さまざまな価値観や視点を持つ社員たちがお互いに触発し合うことで新しい可能性が生まれ、組織としての成長にも大きく貢献できると期待されています。
株式会社メルカリ
かつてのメルカリグループでは、社員の能力や成果にランクをつけない「ノーレイティング」、設定された目標の達成度を評価する「絶対評価」を人事評価に用いていました。しかし、グループの大規模化によって経営陣とマネージャーによる評価のすり合わせが難しくなり、また自分がどう評価されているかわからず不安を感じる社員も現れました。
これらの問題を解決すべく、2021年2月以降は「グループとしてどのような貢献を期待するか」を10段階に分けて明確化した「グレード」を人事評価の軸としています。グレードごとに期待される貢献を「期待成果」と「バリュー発揮行動」の観点から評価し、成果が評価されれば賞与に、成果と行動の両方が評価されれば昇給につながります。
成果だけでなく行動を重視した評価軸を作ることで、個人として目立つ成果をあげていなくても成果への貢献度合いが高い社員を適切に評価できるようになりました。
ファーストリテイリング
ファーストリテイリングは、社員自身が半期ごとに目標を定めて目標の実行プロセスを社員自身が立案し管理する目標管理制度(MBO)を採用しています。普段の仕事に対する評価とフィードバックを3か月ごとに行い、目標の達成度に加えて目標へのアプローチ方法やチームへの働きかけなどの過程も評価対象とします。公平に評価すべく、直属の上司からの評価に加えてさまざまな観点から部署内全員の評価確認を行う点もポイントです。
また、社員の希望や実力に応じて未経験分野への配置や責任あるポジションへの抜てきを積極的に行います。年齢や在職期間を問わず挑戦し続けられる環境を整えて社員個人が目指すキャリアプランの実現と企業成長を両立させ、グローバル人材を育てることが大きな狙いです。
株式会社カワタキコーポレーション
家庭用日用品商社のカワタキコーポレーションでは、新卒社員や若手社員を5年間で一人前に育て上げる「プロフェッショナル教育」を行っています。かつては部門によってまちまちだった教育システムや評価基準を統一し、5年かけて独自の業務知識などの習得を目指します。
人事評価において導入されている6段階の等級制度は、一人前になる前の1〜2等級が合計5段階に細分化されている点が特徴です。経験が浅くてもスキルに合わせて目標を立てることができ、着実に目標をクリアし続けることでスムーズに成長を実感できます。
6等級のうち3等級は主任やリーダー、4等級は係長、5〜6等級は管理職以上に相当します。かつては4等級以上のみが「長」のつく役職に就けたものの現在は等級と役職が連動しておらず、実力があれば3等級以下でも「長」のつく役職に就くことが可能です。また、特定の業務に秀でた社員は部下指導などの経験がなくても4〜5等級へ上がれるようになりました。
株式会社ヨネモリ
鋼構造物の設計・施工分野で活躍するヨネモリは、会社が求める人材を明確にして動機付けと育成を重視した評価手法を用いています。まず社員が目標達成度や勤務姿勢などを自己評価し、管理職以上の評価を経て最終評価が決まります。制度を運用しやすくするため評価項目を極力シンプルにし、公平性を高めるために評価者研修などを行っていることもポイントです。
また、ヨネモリでは合宿研修や各種懇親会などを通じた社内のコミュニケーションを大事にしています。上司と部下が普段からしっかり信頼関係を築くことで現場でのチームワークが強固なものとなり、評価結果への不満も軽減されやすくなるためです。人事評価制度の構築に際しても、いきなり高いレベルを目指すのではなく現場の様子を確認しながら時間をかけて体制を確立したことが成功の鍵となりました。
アドビ株式会社
アドビ(旧アドビシステムズ)は、社員とマネージャーが短いサイクルで面談を重ねる「Check-in」制度を採用しています。過去の人事評価制度では、社員が作成した評価シートをもとに面談を行いマネージャーが加筆修正していました。しかし、多くのマネージャーが評価業務に年間約8万時間を費やす一方で評価に不満を持つ社員の離職率が上がりました。
Check-inの大きな特徴は、上司と部下が四半期ごとに面談をし業績目標について話し合うことです。評価サイクルを短縮しこまめにフィードバックすることで、短期間での成長が期待できます。また、部下の評価やランク付けをせずマネージャー自身が社員の報酬を決める点も重要です。目標の達成度については努力などを考慮せず結果のみで判断し、マネージャーは上層部から分配された予算を自分なりの方法で社員に配分します。
これらの手法によってアドビはマネージャーの工数を年間10万時間以上削減でき、社員満足度も大きく上昇しました。
まとめ
人事評価制度とは、社員のスキルや会社への貢献度を評価するシステムです。よい評価を得た社員は等級や役職が上がり給与額が高くなるため、結果として満足度が上がり会社全体の業績アップにつながります。人事評価制度を策定する際には成功事例を参考にするほか、職業能力評価基準を活用することで、最適な人材を確保し教育する力を伸ばし、生産性や競争力を上げられるでしょう。
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