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ゴールデンサークル理論とは?ブランディングに活用する考え方を解説

2022/12/14(最終更新日:2022/12/14)

#アウターブランディング #コミュニケーション #ブランド構築 #マーケティング

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ゴールデンサークル理論とは?ブランディングに活用する考え方を解説

自社の商品やサービスを効果的に宣伝するためには、3つの要素「Why(なぜ)How(どうやって)What(何を)」を明確にした「ゴールデンサークル理論」を取り入れるのも方法の1つです。3要素の順番によっては効果的な商品・サービスのPRにつながるため、自社の状態に合わせた仕組みの構築を意識しましょう。

当記事では、サイモン・シネック氏が提唱した「ゴールデンサークル理論」について、理論の要となる3つの要素を基に、マーケティング・ブランディングに活用する考え方を紹介します。自社ブランドの魅力を効果的に伝える方法が知りたいという方は、ぜひご参考ください。 

 

ゴールデンサークル理論とは?

ゴールデンサークル理論とは、マーケティングコンサルタントとして知られるサイモン・シネック氏が2009年に提唱した理論を指します。ゴールデンサークル理論は、他者への伝え方やコミュニケーションの順番に関する有効な考え方として、「TEDTalks」の中でプレゼンされました。

TED「優れたリーダーはどうやって行動を促すか」はこちら

ブランディングにおいては、企業のミッションやビジョンをターゲットにしっかりと伝えて共感してもらうことが重要です。ゴールデンサークル理論はブランディングにも応用できる考え方であるため、ブランディングを行う際には押さえておきたい理論であると言えるでしょう。

ここでは、ゴールデンサークル理論の意味・概要を踏まえた上で、「従来的な伝え方」と「シネック氏が提唱するゴールデンサークル理論の伝え方」の2つの考え方を解説します。

 

ゴールデンサークル理論の概要

ゴールデンサークル理論とは、以下の3つの要素で構成されたコミュニケーションの考え方です。

◆ゴールデンサークル理論の3つの要素

  • Why:なぜ
  • How:どうやって
  • What:何を

シネック氏は、「Why」を円の中心に置き、内側から外側に向かってWhy→How→Whatの順番で物事を伝えることで、直感的な共感を生み出しやすいとしています。これは従来的・一般的な物事の伝え方とは逆の順番であり、優秀なリーダーや組織ほどゴールデンサークル理論に当てはまる伝え方をしていると言われています。

 

【従来的な伝え方】外から伝えるゴールデンサークル

円の中心をWhatにして考えると、一般的な企業のプレゼンテーションでは「What(何を)→How(どうやって)→Why(なぜ)」の順番で外側から内側に説明されることが多い傾向にあります。これは、プレゼンを行う会社や担当者が、理解しているポイントを起点として相手に伝えようとするためです。

自分や自社が「何を(What)」しているか、「どうやって(How)」商品やサービスを開発したかを理解している人は多いでしょう。一方で、「なぜ(Why)」その商品・サービスを開発したか、自分・自社の信念を説明できる人は少ないと言われています。

特に、多くの日本企業ではその傾向が強く、自社の商品・サービスに自信があることが多いため、商品やサービス自体の魅力を説明することに集中してしまいがちです。しかし、「なぜその商品を作ろうと思ったか」「自社のビジネスでどのような課題を解決したいと思ったか」といった理由を説明することはあまり見られません。

理解しているポイントを起点とした説明は論理的な印象を受けることが多いため、一概に悪いアプローチであるとは言えません。しかし、感情に訴える印象が少なく、相手の直感的な共感を生みにくいというデメリットがあることを押さえておきましょう。

 

【シネックが提唱する伝え方】Whyから伝えるゴールデンサークル

シネック氏のゴールデンサークル理論では、「Why(なぜ)→How(どうやって)→What(何を)」の順番で説明することで、人の心を動かすプレゼンができるとされています。

シネック氏のゴールデンサークル理論を体現している企業の代表例として、iPhoneやMacなど熱狂的なファンが多い製品で有名な「Apple」が挙げられます。Apple社におけるゴールデンサークル理論を活用した伝え方を見てみましょう。

◆Apple社におけるゴールデンサークル理論を生かした伝え方

Why(なぜ) 世界の現状を変えることに挑戦し、他の人とは異なる考え方をすることが、私たちの信条です。
How(どうやって) 美しいデザイン・シンプルな操作性・取り扱いの簡便さという観点で製品開発に努め、現状に挑戦し続けています。その結果、素晴らしいスマートフォンが誕生しました。
What(何を) 一台、使ってみてはいかがでしょうか。

具体的な数字や理論を紹介することも大切な一方、聞いている人の心を動かしやすいのは理論ではなく「感情」や「直感」です。上のApple社の事例のように、「Why」の部分から提案を始めると、直感的な共感や好印象を持ってもらえる可能性が高いため、熱狂的なファンの獲得にもつながるでしょう。

 

ゴールデンサークル理論と脳の構造

シネック氏が提唱する「Whyから伝えるゴールデンサークル」は、人間の脳の構造にも対応していると言われています。

人間の大脳には、本能行動や情緒・感情を司る「大脳辺縁系」と、その外側にあり知識や知性・思考を司る「大脳新皮質」という部分があります。ゴールデンサークル理論に当てはめると、「Why」「How」は大脳辺縁系、「What」は大脳新皮質に対応していると言えるでしょう。

ゴールデンサークル理論のように「Why」から説明を始めると、大脳辺縁系が司る感情・本能に訴えることができます。聞き手の直感・感情に直接働きかけられるため、聞き手に共感や好印象を抱いてもらうとともに、期待する行動へと促す効果も期待できるでしょう。

 

ニューロ・ロジカル・レベルの概要

ゴールデンサークル理論は脳の構造だけでなく、人間の意識を階層化して分類した「ニューロ・ロジカル・レベル」にも対応していると言われています。NLP(神経言語プログラミング)におけるニューロ・ロジカル・レベルでは、人間の意識を以下の6つに分類し、6段階からなるピラミッド型で表現することが一般的です。

◆ニューロ・ロジカル・レベルの分類

  • レベル1:環境
  • レベル2:行動
  • レベル3:能力
  • レベル4:信念・価値観
  • レベル5:自己認識・セルフイメージ
  • レベル6:スピリチュアル

これらの要素は互いに影響を及ぼし合っており、特に上位レベルの要素が下位の要素に大きな影響を与えるとされています。

 

ニューロ・ロジカル・レベルに基礎づけられるゴールデンサークル理論

ゴールデンサークル理論とニューロ・ロジカル・レベルを照らし合わせると、レベル4の「信念・価値観」は「Why(なぜ)」に対応すると考えられます。同様に、レベル3の「能力」は「How(どうやって)」に、レベル2の「行動」は「What(何を)」と考えることができるでしょう。

ニューロ・ロジカル・レベルでは上位の階層が下位の階層に大きな影響を与えるとともに、自然な流れで行動の意識づけを行うことになります。上位レベルにある「Why」から順に「How」「What」と聞き手に触れさせることで、自発的な行動を促しやすい環境・状況をつくることが可能です。

このように、ゴールデンサークル理論の考え方は、人間の意識・行動の方向性に従った自然な流れに基づく考え方であると言えます。

 

ゴールデンサークル理論をマーケティング・ブランディングに活用する考え方

ゴールデンサークル理論をマーケティングやブランディングに応用する際には、「何を伝えるべきか」という本質を考えることが重要となります。ここでは、「Why」から始まるブランドストーリーを構築するために押さえておきたい、「Why」「How」「What」の各段階における考え方について解説します。

 

【Why】価値観を語る

ゴールデンサークル理論の中心に位置する「Why(なぜ)」の部分には、自社のミッションやビジョンを当てはめましょう。ミッションとは企業が果たすべき使命や存在意義のことであり、ビジョンとは企業が実現したいと考えている未来のことを指します。

ブランディングを行う上で、自社が実現したい未来(ビジョン)に向けてどのようなミッションを積み重ねて成長する必要があるか考え続けることは重要です。人々の心を動かすブランディングを行うためにも、まずはミッションやビジョンを通して、自社の価値観や信念を語りましょう。

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【How】読み手にとってのベネフィットを語る

「How(どうやって)」の部分では、自社の商品やサービスによって、ブランディングの対象となる人々が「どうやって」幸せになるかを語ります。ブランディングの対象となる相手が抱える課題と自社の商品・サービスを利用することによる解決策について語り、相手にどのようなベネフィットがあるのか明確に伝えましょう。

ブランディングの対象となる人々への伝え方を考えることも、「How」の部分で重要になるポイントです。企業やブランドが社会に露出する方法や、顧客とのコミュニケーションのとり方をよく検討しましょう。

 

【What】具体的な内容を語る

最後の「What(何を)」では、自社の商品・サービスやブランドを具体的に語り、対象にとってもらいたい行動を伝えます。ブランディングの対象が未来のベネフィットを得るためには「何を」すればよいか、具体的なアクションをイメージしやすい伝え方を心がけましょう。

この「What」の部分や、どのようなベネフィットがあるかを伝える「How」の部分は、商品やサービス、企画の変更によって柔軟に変化させる必要があります。一方、企業の価値観・信念を語る「Why」の部分は変えずに、企業・ブランドとしての軸がブレないようにすることが大切です。

 

「Why」から始まるオリジナリティのあるブランドストーリーを構築する

ゴールデンサークル理論を活用した「Why」から始まるブランドストーリーを構築する上では、他社とは異なるユニークなものを作ることが大切です。ブランドストーリーとは、企業が果たすべき使命を、企業が持つ価値観や世界観と合わせて具体的なストーリーにしたものを指します。

多くの人の共感を得ようと普遍性の高さを重視した場合、平凡なストーリーにまとまってしまい、他の企業と差別化できずに埋もれる恐れがあります。自社にしか提供できない価値や企業としての強い思い、企業の歴史や経験を踏まえた上で、オリジナリティや説得力の高いブランドストーリーを策定しましょう。

唯一無二のブランドストーリーをつくるためには、自社のブランディングを適切に行う必要があります。「社内向け・社外向けのブランディングについて知りたい」「ブランドを高める取り組みについて学びたい」という方は、ぜひ無料ブランディングセミナーをご活用ください。

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イノベーター理論とゴールデンサークル理論の関係

ゴールデンサークル理論の提唱者であるシネック氏は、ゴールデンサークルの「Why(なぜ)」が重要な理由について、「イノベーター理論」との関係から解説をしています。

イノベーター理論では、商品やサービスが市場に浸透していく過程で最初に商品やサービスに興味を持ち、購入・利用する層は、「なぜ」という直感で行動するとしています。この層に受け入れられなければ、自社の商品やサービスを社会に浸透させることが難しいと言えるでしょう。

商品やサービスを市場に普及させるためには、人々の「直感」に語りかける「Why」が重要です。ゴールデンサークル理論とイノベーター理論は、人を動かす原動力である「直感」や「Why」を重視する観点で共通していることが分かります。

 

イノベーター理論とは?

ブランディングやマーケティングを行う上で、イノベーター理論も押さえておくことをおすすめします。イノベーター理論とは、購入・利用する消費者を新しい商品・サービスが市場に普及するタイミングに応じて5つのタイプに分類する考え方を指します。

◆イノベーター理論における5つの消費タイミング

  • イノベーター(革新者)
  • アーリーアダプター(初期採用者)
  • アーリーマジョリティ(前期追随者)
  • レイトマジョリティ(後期追随者)
  • ラガード(遅滞者)

イノベーター理論を提唱したエベレット・M・ロジャーズ氏は、アーリーマジョリティやレイトマジョリティといった顧客につながるアーリーアダプターの攻略が重要としています。初期市場で商品・サービスが低迷するような状態にしないためにも、アーリーアダプターの人たちへのマーケティング、ブランディングを十分に行う必要があるでしょう。

 

まとめ

ゴールデンサークル理論とは、「Why」を円の中心に内側から外側に向かってWhy→How→Whatの順で情報を伝える考え方のことです。Whyは「価値観」Howは「読み手にとってのベネフィット」Whatは「具体的な内容」を語ることがポイントです。自社ならではの魅力をPRするためにも、ゴールデンサークルの順番や、オリジナリティのあるブランドストーリーを構築することを意識しましょう。

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