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ミッション・ビジョン・バリューの作り方|注意点や浸透させ方も

2022/12/23(最終更新日:2022/12/23)

#ビジョン #企業事例 #会社経営

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ミッション・ビジョン・バリューの作り方|注意点や浸透させ方も

ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)とは、経営学者のピーター・ドラッカー氏が提唱した、会社の方向性や目指す姿を示したものです。企業の経営に携わる方や、人事・広報担当者として社内外にMVVを発信する立場にある方は、具体的な内容や作成方法が気になるのではないでしょうか。

この記事では、MVVの基本情報や重要とされる理由に加え、作り方や注意点を詳しく解説します。MVVの事例も紹介するので、ぜひお役立てください。

 

ミッション・ビジョン・バリューとは?

ミッション・ビジョン・バリューとは、経営学者のピーター・ドラッカー氏が提唱した、会社の方向性や目指す姿を示したものです。それぞれの単語の頭文字をとって、「MVV」と略されることが一般的です。それぞれの意味を、下記で解説します。

ミッション 社会にどのような価値を提供するのか、なぜこの会社が存在するのか、果たすべき使命を明文化したもの。
ビジョン 会社が未来において実現したいことや、将来的に会社がどうあるべきかという将来像を描いたもの。
バリュー ミッションやビジョンを達成するために社員がとるべき姿勢や、会社全体としての価値観を明文化したもの。

ミッションは一般的には恒久的なものであり、変更されることはまれです。対してビジョンは中長期的なもので、数値的な目標や社会情勢に応じて見直されることがあります。バリューは、ミッションやビジョンの見直しに応じて変更されるケースもあります。

しかし、バリューが社員の行動指針としてしっかりと根付いていた場合、ミッションやビジョンが変更されてもバリューはそのまま残るというケースも少なくありません。

 

ミッション・ビジョン・バリューが重要な理由

ミッション・ビジョン・バリューの策定には、さまざまなメリットが存在します。例えば、会社の目的や目標を言語化することで、社員1人ひとりが進むべき方向を認識できると、生産性の向上につながります。また顧客に対しても「何を本質的な目的としてサービスを提供しているか」を伝えていくことができるようになります。

経営陣が経営方針・目標設定に迷ったときも、ブレないための指針としての役割を果たすでしょう。さらに、採用活動においては、会社のミッション・ビジョンに共感した人材が集まりやすくなり、ミスマッチを防げるというメリットもあります。

 

経営理念との違い

似た言葉に経営理念がありますが明確な定義はなく、解釈や使われ方は会社によってさまざまです。MVVや企業理念・経営理念を同義とする会社もあれば、創業者または企業全体の方向性を企業理念とし、現在の経営者が目指す方向を経営理念としている会社もあります。

また、ミッションを企業理念、ビジョンを経営理念、バリューを行動指針と紐づけて考えることもあります。

 

ミッション・ビジョン・バリューの作り方

ミッション・ビジョン・バリューを作成するにあたり、まずは以下の2点に注意しましょう。

●作成するメンバー

経営者のほか、人事担当者や幹部との議論が必要です。経営者から立場が遠ざかるほど意見が衝突してしまうことが多くなるため、経営に関わっているメンバーを選びます。

●作成するタイミング

ミッションは、創業時に作成されていることが多いです。方向性が明らかになったタイミングでビジョンを作成し、社会情勢に合わせてバリューを検討するとよいでしょう。

以下では、作成の手順とポイントを紹介します。

 

作成の順番

ミッション・ビジョン・バリューを作成する際の具体的な手順は次の通りです。

1 課題や使命を明確にする
事業戦略を立てるためには、PEST分析が有効です。政治(Politics)・経済(Economy)・社会(Society)・技術(Technology)の4つの観点で情報収集・分析をし、自社の課題を明確にします。
2 他社のMVVを調べる
大手企業や競合他社、同規模の企業のMVVを調査し、MVVがどのようなもので、経営にどう影響を与えるのかをイメージしましょう。
3 ミッションを決める
創業者や社長の考えを中心に、経営陣とともに検討します。端的で分かりやすい表現を使い、1~2文に収めるのが理想的です。
4 ビジョンを決める
3~10年の中長期なスパンで達成したい目標や、ミッションが達成されたときの会社はどのような状態となっているかを想定して決めます。
5 バリューを決める
ミッション・ビジョンを達成するために必要なことを社員同士でディスカッションし、出てきたキーワードをもとに決めるとよいでしょう。

目的を明確にしたり、競合他社を調査したりするといった準備をしっかりと行えば、スムーズにMVVを決めることができるでしょう。

 

作成のポイント

ミッション・ビジョン・バリューは、自社の方針に合致した、オリジナリティのあるものが望ましいでしょう。自社にふさわしいMVVを作成するためには、次のポイントを押さえましょう。

●ミッションの作成時

ミッションは組織全体の方向性や、従業員のモチベーションを左右する非常に重要な部分です。顧客や社会が抱えている問題を、自社がどのように解決できるかを考えてみるとよいでしょう。

●ビジョンの作成時

具体的な数値目標でもよいですが、「20XX年までに年商●●億円」といったような自社の利益のための目標や課題は相応しくありません。あくまでも客観的に、どのように社会に貢献するかを考えましょう。

●バリューの作成時

社員1人ひとりが共通の認識を持ち日々の行動に落とし込めるよう、具体的に示しましょう。例えば、「スピード」「挑戦」「地域とのつながり」「情熱」などのキーワードを使い、価値観や行動指針を明文化します。

 

ミッション・ビジョン・バリューを作る際の注意点

ミッション・ビジョン・バリューが矛盾していたり伝わりづらい内容であったりすると、社内外にうまく浸透しない可能性があります。ここでは、作成時に気を付けたい注意点を紹介します。

●経営に関わるメンバー全員で決める

経営に携わっているメンバー全員の、合意があることが理想です。経営陣全員で決定することで当事者意識を持ち、各々が責任を持って取り組むことができます。

●分かりやすい表現にする

社員1人ひとりが頭に入れることができなければ、ミッション・ビジョン・バリューを作成した意味がありません。あいまいな表現を避け、簡潔で覚えやすい文章量で作成しましょう。

●3つの要素を連動させる

ミッションに向けたビジョン、ビジョンに対してのバリューの関係性が合っていないと矛盾が発生してしまうため、それぞれを関連付けられるようにしましょう。

 

ミッション・ビジョン・バリューを浸透させるには

経営陣側で策定したものを社員に言い渡すだけでは、社員の理解や共感は得られません。策定後、社員全員に浸透させるために必要なポイントを紹介します。

●背景や意図を共有する

まずは、作成時の背景や込められた思いなどの理解を深めてもらい、共感を得ることが大切です。社長や経営陣による社内セミナーや全社会議を行い、経営者側から歩み寄る姿勢を見せましょう。

●行動させる

日々の仕事とミッション・ビジョン・バリューのつながりを意識させ、具体的な行動に落とし込む必要があります。行動規範となった社員の表彰や社内報への掲載なども、社員のモチベーションアップにつながります。

●評価項目に組み込む

ミッション・ビジョン・バリューを明確な人事評価制度の基準として公表すると、社員は自分ごとと捉えやすくなり、自発的に行動させることが可能です。

 

ミッション・ビジョン・バリューの事例

ここで、有名企業や未来を担うベンチャー企業から、ミッション・ビジョン・バリューの事例をいくつか紹介します。

●トヨタ自動車

●豊田網領(トヨタのDNA)

豊田綱領 -豊田佐吉翁の意志を体し-
一、上下一致、至誠業務に服し、産業報国の実を挙ぐべし。
一、研究と創造に心を致し、常に時流に先んずべし。
一、華美を戒め、質実剛健たるべし。
一、温情友愛の精神を発揮し、家庭的美風を作興すべし。
一、神仏を尊崇し、報恩感謝の生活をなすべし。

●ミッション

わたしたちは、幸せを量産する。
だから、ひとの幸せについて深く考える。
だから、より良いものをより安くつくる。
だから、1秒1円にこだわる。
だから、くふうと努力を惜しまない。
だから、常識と過去にとらわれない。
だから、この仕事は限りなくひろがっていく。

●ビジョン

可動性(モビリティ)を社会の可能性に変える。
不確実で多様化する世界において、トヨタは人とモノの「可動性」=移動の量と質を上げ、人、企業、自治体、コミュニティができることをふやす。
そして、人類と地球の持続可能な共生を実現する。

●バリュー

トヨタウェイ
ソフトとハードを融合し、パートナーとともにトヨタウェイという唯一無二の価値を生み出す。

【ソフト】
よりよい社会を描くイマジネーションと人起点の設計思想。現地現物で本質を見極める。

【ハード】
人とモノの可動性を高める装置。パートナーとともに作るプラットフォーム。これらをソフトによって柔軟に、迅速に変化させていく。

【パートナー】
ともに幸せをつくる仲間(顧客、社会、コミュニティ、社員、ステークホルダー)を尊重し、それぞれの力を結集する。

引用:トヨタ自動車株式会社公式サイト「トヨタフィロソフィー」/引用日2022/11/28

トヨタ自動車のミッション・ビジョン・バリューの根幹には、創始者・豊田佐吉氏の考え方である「トヨタのDNA」があります。創業当初はなかったものの、会社が発展していくうちに社員への認知を広げるため明文化されました。

●ソニーグループ

●Purpose(存在意義)

クリエイティビティとテクノロジーの力で、
世界を感動で満たす。

●Values(価値観)

夢と好奇心
夢と好奇心から、未来を拓く。

多様性
多様な人、異なる視点がより良いものをつくる。

高潔さと誠実さ
倫理的で責任ある行動により、ソニーブランドへの信頼に応える。

持続可能性
規律ある事業活動で、ステークホルダーへの責任を果たす。

引用:ソニーグループポータル「Sony’s Purpose & Values」/引用日2022/11/28

ソニーグループはPurpose(存在意義)という形で、ミッションとビジョンをまとめて表現しています。2019年に策定されたPurposeは、全世界の社員からメールを募り、海外からの意見も取り入れています。

●Preferred Networks

●Who We Are

最先端の技術を最短路で実用化する

●Vision

現実世界を計算可能にする。
自分たちの手で革新的かつ本質的な技術を開発し、
未知なる領域にチャレンジしていく。

●PFN Values

Motivation-Driven(熱意を元に)
Learn or Die(死ぬ気で学べ)
Proud, but Humble(誇りを持って、しかし謙虚に)
Boldly do what no one has done before(誰もしたことがないことを大胆に為せ)

引用:株式会社Preferred Networks「Company」/引用日2022/11/28

Preferred Networksは、AI開発を手がけるITベンチャー企業です。Who We Areの文言がミッションにあたる部分で、シンプルで分かりやすい理念が表現されています。

 

まとめ

ミッション・ビジョン・バリューは、企業の目的や目標を言語化したものであるため、作成すれば、経営の指針となるだけでなく、社員や顧客に対して自社のあり方や方向性を示せます。採用活動においても、MVVを周知することでミスマッチを防ぐ効果が期待できます。

MVVを作成する際は、作成メンバーやタイミングに注意し、自社の方針の洗い出しや競合調査などをしっかり行った上で決めましょう。また、作成するだけでなく、社内外へ浸透させる取り組みも重要です。

なお、MVVを決める際は企業ブランディングに関する知識が役立ちます。無料で受講できるセミナーもあるため、ぜひお役立てください。

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