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世界的ホテルチェーンブランドのリッツ・カールトンでは、自社内で共有される価値観・信念である「クレド」を重視しています。クレドの存在は、従業員による日々のさまざまな業務への向き合い方に影響を与えるものです。
この記事では、クレドとは何かについて、作成するメリットを踏まえて解説します。また、作成したクレドが自社内で深く浸透するために欠かせない2つのポイントにも触れるので、クレドに興味のある経営者の方は、ぜひご覧ください。
リッツ・カールトンを成功に導いた「クレド」の存在
リッツ・カールトンとは、マリオット・インターナショナルが展開するホテルチェーンブランドです。南北アメリカ・ヨーロッパ・アジア・中東・アフリカなど世界各国にホテルが存在し、ラグジュアリーなおもてなしを提供しています。
リッツ・カールトンの成功を支える存在が、同社の企業理念である「ゴールドスタンダード」と、企業内で共有される価値観・信念である「クレド」です。
ここでは、リッツ・カールトンの「ゴールドスタンダード」と「クレド」について解説します。
リッツ・カールトンの企業理念「ゴールドスタンダード」
リッツ・カールトンの企業理念である「ゴールドスタンダード」は、リッツ・カールトンの根幹を成す考え方です。
ゴールドスタンダードは下記の6つの要素で構成されています。
要素 | 主な内容 |
---|---|
クレド | リッツ・カールトンの大切な使命 |
モットー | 「紳士淑女をおもてなしする私たちもまた紳士淑女です」というモットー |
サービスの3ステップ | お客様をおもてなしする3つのステップ |
サービスバリューズ | 従業員が心がける12の項目 |
第6のダイヤモンド | 感動体験を生み出すサービスの考え方 |
従業員との約束 | 従業員育成についての考え方 |
出典:ザ・リッツ・カールトン「企業理念「ゴールドスタンダード」」
※モットーに関しては原文を引用
リッツ・カールトンで働くすべての従業員は、ゴールドスタンダードをまとめた「クレドカード」の携行が義務づけられています。企業理念のリマインドに役立ち、従業員が行動・判断で迷ったときの指針となるものです。
リッツ・カールトンの「クレド」
リッツ・カールトンの「クレド」は、創業者であるホルスト・シュルツが中心となって作り上げたリッツ・カールトン独自の信念です。
リッツ・カールトンのクレドは、クレドカードに下記の通りに記載されています。
リッツ・カールトンはお客様への心のこもったおもてなしと快適さを提供することをもっとも大切な使命とこころえています。
私たちは、お客様に心あたたまる、くつろいだ、そして洗練された雰囲気を常にお楽しみいただくために最高のパーソナル・サービスと施設を提供することをお約束します。
リッツ・カールトンでお客様が経験されるもの、それは感覚を満たすここちよさ、満ち足りた幸福感そしてお客様が言葉にされない願望やニーズをも先読みしておこたえするサービスの心です。
引用:ザ・リッツ・カールトン「企業理念「ゴールドスタンダード」」引用日2022/12/14
リッツ・カールトンのクレドにある「大切な使命」「お客様への約束」「サービスの心」は、リッツ・カールトンの成功の秘訣であると言えます。
リッツ・カールトンのようなクレドを作り上げ、社内に浸透させるためには、企業のブランディングに関する知識・理解が欠かせません。株式会社イマジナでは、企業のブランディング活動に役立つ無料ブランディングセミナーを開催しております。
クレドとは?クレドを作るメリットも
クレドとは、ラテン語の「credo」に由来し、信条・約束・志を意味する言葉です。
企業におけるクレドには、「従業員が心がけている信念や価値観」という意味があります。企業の信念や価値観を従業員へと浸透させて、従業員の行動の基準とさせることが、クレドを作る目的です。
クレドは、組織の行動指針を示す「ミッションステートメント」とよく似ています。2つの異なる点は、ミッションステートメントは社外への発信を重視し、一方でクレドは社内への浸透・共有を重視していることです。
ここでは、クレドを作る4つのメリットを解説します。
従業員のモチベーション向上につながる
クレドを作ることで、企業が掲げる信念を従業員は明快に理解できます。従業員が仕事に自信や誇りを持てるようになり、モチベーション向上につながる点がメリットです。
企業が掲げる信念は、企業理念・経営理念の中にも記載されています。
しかし、企業理念・経営理念は抽象的な表現で書かれていて、従業員自身に直接の指針を示すものではありません。個人により捉え方が異なるケースもあり、間違った行動を促すこともあるでしょう。
クレドは、従業員の行動・判断について分かりやすく指針を示している点が特徴です。従業員がクレドを共有して働くことで、自分に求められる役割を理解しやすくなり、主体性を持って業務遂行ができます。
ライバル企業との差別化を図れる
クレドは、企業が掲げる信念を社内外に発信する効果があります。自社の価値観や強みを顧客に発信することで、ライバル企業との差別化を図れる点がメリットです。
クレドに盛り込む信念は、自社の築き上げた企業文化や、対外的なブランドイメージをベースとします。たとえば高品質な製品を提供する企業であれば、「品質の高さを約束し、高い顧客満足度を追求する」がクレドとなるでしょう。
クレドを作ることで、競合他社が多数存在する企業であっても、自社が持つ価値・魅力を顧客に対して分かりやすく提示できます。
継続的な人材育成につながる
クレドを作成することは、継続的な人材育成にもつながる点がメリットです。従業員全員にクレドが浸透することで、企業経営者が理想とする働き方を従業員一人ひとりが実現できるようになります。
また、「クレドカード」のように、クレドは従業員が常に持ち歩ける形式にするものです。社員証の裏に印刷したり、名刺に記載したりする方法もあります。従業員はクレドを見返すことで行動・判断の指針をいつでも確認できます。
業務中は常にクレドを意識することにより、従業員が自発的な行動・判断が取れるようになる点も、クレドのメリットです。
価値観に共感する人材が集まってくる
クレドによって企業の信念や企業文化が社外に発信できるようになると、価値観に共感する人材が集まってきます。人材採用の際に応募者をスムーズに集められるようになるでしょう。
クレドの価値観に共感する人材は、企業への理解度が深く、企業の採用要件にも適合しやすい点が特徴です。自社に合わない人材の応募が少なくなることで、採用選考の手間が少なくなったり、入社後のミスマッチを防げたりするなど、採用活動の効率化を図れるメリットがあります。
クレドの浸透を実現する2つのポイント
リッツ・カールトンでは、クレドを含む「ゴールドスタンダード」が従業員に深く浸透しています。リッツ・カールトンの成功の理由には、従業員にクレドが浸透し、一人ひとりの行動・判断にきちんと反映されている点が挙げられるでしょう。
新しくクレドを作る企業は、どのような工夫を施せば従業員にクレドが浸透するかを理解し、ポイントを押さえることが重要です。
最後に、クレドの浸透を実現する2つのポイントを紹介します。
従業員が納得し共感できるものにする
クレドの内容は、従業員が納得し共感できるものにしましょう。従業員の共感を得られるクレドを作るためには、クレドに従業員の意見を反映することが大切です。
リッツ・カールトンのゴールドスタンダードは、従業員の働きかけによって内容の修正や追加ができるとされています。従業員がクレドを身近に感じなければ、クレドの内容を記憶できても、納得や共感は得られません。
クレドに従業員の意見を反映させる方法としては、さまざまな部署・ポジションの従業員を作成チームのメンバーにすることが挙げられます。
また、従業員からアンケートを取ったり、意見を募ったりする方法もおすすめです。協力を求めることで従業員がクレドに当事者意識を持つことができ、共感されるクレドへとつながります。
いつでも従業員が確認できるようにする
従業員に共感されるクレドを作っても、従業員の意識にクレドが根づいていなければ日々の業務活動にまで浸透しません。クレドを従業員に浸透させるためには、いつでも従業員がクレドを確認できるようにしましょう。
リッツ・カールトンでは従業員がクレドカードを常に携行し、行動・判断で迷ったときに確認できるようにしています。
新しくクレドを作る企業も、「自社のクレドカード」を導入して、従業員に携行させることがおすすめです。従業員とクレドの距離が近づくことで、従業員がクレドの内容を信じられるようになり、クレドに掲げた信念が社内に浸透します。
まとめ
世界的なホテルチェーンのリッツ・カールトンが成功を遂げた背景には、クレドの存在があります。クレドとは、従業員にとっての行動の規範です。企業全体の各階層でクレドが浸透することにより、従業員のモチベーション向上やライバル企業との差別化につながります。
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