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CSとは顧客満足度のことで、商品・サービスを購入した顧客にとっての満足度を意味します。
一方で、ESは商品・サービスを提供する従業員にとっての満足度を意味する概念です。顧客満足度と従業員満足度の間には、深い関係があります。
この記事では、CSとESの意味について、両者の関係を踏まえて詳しく解説します。
さらにESの低下が招くリスクや、低下を防ぐために欠かせない取り組みについても取り上げるため、ぜひ参考にしてください。
ES・CSとは
CS・ESはいずれも企業の業績を大きく左右することが多い「満足度」に関する概念です。
CS・ESを混同する人も多いものの「誰の何に対する満足度であるか」や「利用する場面」が異なることから、明確に区別して理解しましょう。
以下では、CS・ESの意味やそれぞれの水準を左右する要因について、分かりやすく解説します。
ES(従業員満足度)
ESは「従業員満足度」と訳されるビジネス用語で、「Employee Satisfaction」を略したものです。
ESが高い従業員は多くの場合、組織に対する貢献度も高く、企業の成長を支えてくれます。
また、ESが高い企業は従業員の定着率が高い傾向にがあります。
これは従業員がその企業で仕事にやりがいを感じ、対価として与えられる待遇にも満足しているためでしょう。
反対にESが低い企業は離職率が高い傾向にあります。
従業員が待遇や仕事を通したやりがいに不満を持つような企業では、優秀な人材はより条件のよい職場や働きがいの高い職場へと転職するでしょう。
そのため、人材不足が深刻化してしまう可能性があります。
時間をかけて育成した、会社としてもっとも重要な資産である人材を失うのは、企業にとって大きな損失です。
そのため、従業員が「長く働き続けたい」と思えるような職場環境をつくることは、企業が成長していくために必要不可欠といえるでしょう。
ESを把握するためにはすべての従業員を対象として、以下の項目に関するES調査を実施する方法があります。
- 仕事内容
- やりがい
- 労働条件
- 福利厚生
- 人間関係
ESはインナーブランディング(企業理念や自社独自の価値観に対する従業員の理解を深める施策)を進める上でも重要度が高い概念です。
インナーブランディングを進めたことでESが向上すると、企業としてのブランド価値が高まります。
CS(顧客満足度)
一方のCSとは「顧客満足度」と訳されるビジネス用語で、「Customer Satisfaction」を略したものです。
より具体的に言うとCSとは、自社の商品やサービスを購入した顧客の満足度を意味します。
CSはもともと1990年代にアメリカで流行し、日本の企業にも取り入れられた概念です。
商品やサービスに対する満足度が高ければリピーターが増加し、良い口コミを拡散する好循環が生まれます。
CSを左右する要因は、期待水準・知覚水準のバランスです。
- 期待水準:商品やサービスの購入前に期待していた満足度の水準
- 知覚水準:商品やサービスを購入し、実際に得られた満足度の水準
期待水準を知覚水準が上回れば顧客は商品やサービスに満足し、CSが向上します。
反対に知覚水準が期待水準を下回るとCSが低下し、ネガティブな口コミを拡散しかねません。
なお、企業としてのブランド価値を高める施策については、以下の無料セミナーも参考にしてください。
ESとCSの関係性
「ESなくしてCSなし」ともいわれるように従業員満足度向上は、顧客満足度向上を図るために欠かせない要素です。
企業に対する満足度が高い従業員は組織の利益や成長を考えて自発的に行動することが多く、労働生産性の向上に貢献します。
労働生産性が向上すると、同じコストでより良質な商品を製造できます。飲食店や小売店の場合は同じコストで、より良質な接客・サービスの提供を実現することが可能です。
また、品質向上により知覚水準が期待水準を上回る可能性が高まり、CSが向上します。
CSが向上して得られた利益を職場環境の改善や福利厚生の充実に回せばよりESは向上する、好循環が生まれるでしょう。
さらに、ESの向上は、離職率の低下や組織の活性化につながる要素です。離職率が低下すれば人材採用にかかるコストを削減でき、更なる業績アップを図れます。
活性化した組織ではより良質な商品・サービスの開発や提供につながるアイデアが生まれる可能性が高まり、企業成長につながる原動力を得られるでしょう。
ES低下による3つのリスク
経営者の中にはCS向上を優先するあまりESを軽視して、従業員に負担をかける方もいます。
しかし、従業員満足度が低下すると業績が悪化し、将来的には存続が危ぶまれる状況に陥ることもあるため、ESの重要性を意識した企業経営を行いましょう。
以下では、ESの低下によって懸念される企業にとってのリスクをより詳しく紹介します。
CSの低下
組織に不満を持つ従業員が増加すると「より良い商品やサービスを提供しよう」とする行動が起こりにくくなり、CSの低下につながるリスクがあります。
CSの低下によってネガティブな口コミが拡散されると市場における信頼度が下がり、競合優位性を失いかねません。
企業の信頼度が下がれば、新規顧客や優秀な人材の獲得難易度が上がります。結果として採用活動や販売促進活動にかけるコストが上がることは、企業にとっての損失です。
勤務態度の悪化
ESの低下は従業員の勤務態度を悪化させ、問題行動の増加につながるケースがあります。
以下は、ESの低下によって起こる問題行動の具体例です。
- 接客の質が低下する
- 上司の指示に反発する
- 遅刻や欠勤しがちになる
1人の従業員の問題行動は真面目に働いているほかの人に不満が生じる「負の連鎖」を引き起こすリスクがあります。
組織全体に問題行動がまん延すると労働生産性が低下し、元の状態に戻すためには、一定の時間とコストが必要です。
モラルの低下
勤務態度の悪化を放置するとモラルが低下し、法令違反が横行する状況も起こりえます。
以下は、モラルの低下によって起こりかねない法令違反の具体例です。
- 顧客情報の不正取得や流出
- ハラスメントの横行
法令違反を起こした企業には、行政処分や刑事罰が科されるケースもあります。特に悪質な場合は業務停止処分を受けて、経営を継続できない状況にもなりかねません。
行政処分や刑事罰を免れても社会から「コンプライアンス意識の低い企業」と認識されれば、大幅な業績ダウンにつながるリスクがあります。
イマジナでは、ESを向上させるための取り組みやインナーブランディングをサポートしております。
また定期的に無料のブランディングセミナーを開催しておりますので、より効果的なES・CSの向上もサポートする無料のブランディングセミナーをご体験ください。
ES向上に欠かせない4つの取り組み
ESを向上させるためには、従業員一人ひとりと信頼関係を深めることや、建設的な制度改革によって職場環境の改善に努めることが必要です。
具体的には以下のことに取り組むことで、ESの向上を図りましょう。
企業理念・ビジョンの共有
企業理念とは、その企業が社会に提供する価値や大切にする想いをまとめたものです。
従業員が共感できる企業理念は従業員の帰属意識を高めて、企業と従業員の信頼関係を深める上で重要な役割を果たします。
企業理念を社員の日々の行動と紐づけるためには、企業が大切にする価値観や行動指針を明確に示すことも効果的です。
企業が目指す姿とそれを実現するための行動を従業員がしっかりと認識することで、組織が一体となって成長していくことが可能になります。
とるべき行動についての明確な指標があれば、従業員は言動にも一貫性を持たせやすくなります。
全社として一体感のある言動は従業員に連帯感や帰属意識をもたらし、ESの向上にもつながるでしょう。
確固とした企業理念がまだない場合は、ESを向上させるために経営者の考え方を反映した企業理念を作成して教育する機会を作り、組織内での浸透を促す必要があります。
また、企業の目指す姿にあたる「ビジョン」を従業員に定着させ、共通の目的意識を持たせることで働く意欲を引き出しましょう。
福利厚生の充実
福利厚生が充実している企業で働く従業員は組織に対する感謝の気持ちを持ちやすく、働くことへの意識が前向きです。
ESの向上を図る上では従業員のニーズを聞き取った上で優先順位を考えて、福利厚生の充実を図りましょう。
社員食堂の整備や住宅補助などの衣食住に関する福利厚生は特に従業員から喜ばれやすく、ESの向上につなげやすい傾向があります。
福利厚生とは少し異なりますが、育児休暇や産休制度の充実もESの向上につながります。
出産のために休職した従業員が復職しやすい環境があれば、優秀な人材を失うリスクが減るのと同時に、女性従業員の働く意欲も向上するでしょう。
女性が多い企業であれば、社内に託児所があると非常に働きやすく定着率も高まります。
評価方法・給料体系の明確化
努力が正当に評価されて還元される仕組みは、従業員の働きがいにつながります。
ESの向上を図るためには現在の人事評価方法や給与体系を今一度見直し、必要に応じて改定した上、従業員に明示しましょう。
どれほどよい仕事をして結果を出しても正当に評価されなければ、人は仕事への意欲を持ち続けられません。
あまり結果を出していない同僚がよい評価を得ていると感じていたなら尚更です。
そうした不満を従業員が抱かないように、人事評価や査定の結果は通達ではなく面談で直に伝えるのも大切なES向上の手段です。
また定期的に仕事や職場に関しての従業員の希望を吸い上げるのもよいでしょう。
従業員が「会社は自分の意見を聞いてくれるのだ」という感覚を得ることにもつながるため、自社への帰属意識が高まり、仕事への意欲を持ち続けやすくなります。
コミュニケーションの活性化
組織内の横断的なコミュニケーションを活性化するほど、企業内の人間関係を良好に維持できる可能性が高まります。
企業内チャットの導入や1on1ミーティングの設定などの施策によって、上司と部下やメンバー同士が気軽にコミュニケーションできる環境を提供しましょう。
気軽にコミュニケーションできる環境としてSNSツールを取り入れている企業は多いのですが、注意していただきたい点があります。
それは、就業時間と就業時間外との区別が曖昧になってしまうことです。
就業時間外のSNSでの連絡を負担に感じる従業員もいるはずです。特に上司から部下への連絡は、できるだけ就業時間内にとどめましょう。
ES・CSについてもっと知りたい方へ
ES(従業員満足度)とCS(顧客満足度)の関係は、CSにESが先立つ・影響を与える関係になっています。
そのため、CSの向上を目指す場合は、ESの向上を実現する必要があります。ESの向上を実現するためには、価値観の共有や福利厚生の充実などが重要です。
イマジナでは、ES・CSの向上に欠かせないブランディングに関するセミナーを実施しております。
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