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ミレニアル世代、ジェネレーションZ世代のマネジメントとは

2017/12/05(最終更新日:2021/12/20)

ブランディング

「内定率が過去最高の92.7%。18年春卒、10月時点」。これは今年10月に発表されたニュースのタイトルだ。就職情報を提供するディスコが2018年春卒業予定の大学生、大学院生の就職内定率(10月1日時点)に関して調査、本数字を発表した。同調査は05年からのスタート以来、過去最高の数字である。「人手が足りない」という声は多くの企業で聞かれるが、その現状を表すかのごとく新卒学生の就職状況は好転しているようだ。

しかし、ただ闇雲に人を増やせばいいというわけではないのが多くの組織人の意見だろう。特に現場では若手の受け入れにおいて「教育や育成をどのように行なっていけばいいのか」と頭を悩ませるケースは少なくない。価値観が多様化するなかで、従来のようなマネジメント手法が有効的に働かなくなっている側面があるからだ。

年代の幅が広がるが、1980年以降に生まれた世代を「ミレニアル」、またそれと少し重なり90年代半ばから2010年の間に生まれた世代を「ジェネレーションZ」と呼ぶことがある。これらは米国発の呼称。上記のような18年卒の学生や、現在企業に勤めている若手人材の大部分はどちらかに属すると思うが、米国を中心としてその特徴や傾向が調べられ、今後のマネジメントに活かしていこうという動きが以前より活発化している。果たして両世代はどのような特徴を持っているのだろうか。

日本における両世代の就業観を各アンケートから紐解いてみよう。内容はデロイトトーマツを中心とした調査機関が実施したここ2、3年の結果から引用をしている。
まずキャリアの将来性について。自身の将来的に描くキャリアに関して楽観的である、もしくは自信があると答えたのは全体の30〜40%。世界的に見て最も悲観的だという結果がある。今でこそ経済が回復してきたとは言え「失われた20年」といった経済停滞期に若い時代を過ごしてきた方々が多いためか、このような結果が生じたのではと予想される。

またその悲観を払拭するかのように、ビジネススキルにおいて「個人のスキル」を伸ばしたいか、組織を率いるような「リーダーシップのスキル」を伸ばしたいか、という質問には80%以上が個人のスキルを伸ばしたいと回答しており、管理能力などリーダーシップスキルに関しては20%以下にとどまった。現在はフリーランスとして働いたり転職を重ねたりと、就業観が多様化しつつあるが、個人のスキルを鍛えることでキャリアを形成してという思惑が表れているのではないか。
他には「組織への帰属意識が低い」というデータも見られた。これも上記と共通する事項ではあるが、日本のミレニアル世代は転職を意識するのが早く、様々な会社で経験・スキルを得ようとする傾向があると結論づけられている。

かつて日本では終身雇用制が謳われ、一度就職をしたら定年まで勤め上げるというキャリア形成が一般的であった。しかし、現在ではそのような意向を持つ若者は少ないようだ。このような時代に若者の組織へのエンゲージメントを高め、前向きに働いてもらうにはどのようにすれば良いだろうか。

その答えへのヒントとして、以下3つの彼ら彼女らの価値観が参考になるだろう。それは「本物の価値を志向する」「自律と成長を重視する」「企業・ビジネスを諸価値実現の手段として重視する」というものだ。これも同様のアンケートより導かれた結果だが、これらは日米両方の若者にほぼ相違がないとか。順々に見ていこう。

まず「本物の価値を志向する」とは、自身の選択においては社会的に意味のあることや自分の意思を重視する、ということ。ビジネスに当てはめると短期的な業績などではなく理念や長期的なビジョンなどを優先するという傾向にあるそうだ。
また「自律と成長を重視する」は前述のスキルアップと同様。個人のスキルかチームを率いるスキルか。違いはあるだろうが、どちらかを前向きに志向する傾向にあるという。
最後の「企業・ビジネスを諸価値実現の手段として重視する」は、価値の実現のために企業があるという考え方。1つ目の本物志向の例と重なるところがあるが、賃金を得る手段ではなく、掲げた課題を解決するために組織に所属する、もしくは事業を営むという発想である。

これらが一般的にミレニアル世代、ジェネレーションZ世代が持っている特徴だと言われている。本物志向になり、組織を成長の手段と捉え、目的達成のために物事に取り組むのが主な傾向と言えるだろう。このような感覚を持つ若者たちをマネジメントするときには、何を大切にすれば良いだろうか。

考えられるひとつの方法として「フィロソフィの確立と浸透」が挙げられる。フィロソフィとは企業が大切にすべき理念でありビジョンのこと。他の組織とは違う「こうありたい」という想いを言語化したものだ。ビジネスモデルでは差別化しにくい時代に「自分たちは●●を大切にしている」「●●を掲げ、日夜まい進している」と意見を掲げることで動機付けを行うことが可能なのではないだろうか。
そして普段のマネジメントもそれを軸としたものにしていくのが理想的だろう。自分たちは●●を大切にするから、このような判断をする、このようなスキルを身につけ行動する、といった形で考えを表明していくのだ。そうすることで、企業のビジョンと日々の行動が連動し、ブレのないマネジメントを実現できる。

もちろんこれらはひとつの特徴である。当てはまらない方も多くいるだろうが、傾向として学んでおくことは組織にとって有益に働くだろう。
世代によって就業観をはじめとした価値観が違うのは当然のこと。問題はその価値観をどう受け止め、どのように活かしていくか。この点の工夫や改善に、組織と組織を担う人材の成長があるのではないだろうか。
来年4月から新入社員が入社してくる。彼ら彼女らは10年後や20年後、どのような人材になっているだろう。新入社員と若手が会社を支える人材として大きく成長していくために、あらためてどのようなマネジメントをしていくか。今一度考えてみたい。

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