株式会社イマジナ 代表取締役社長の関野です。
「リーダー」。
言葉の定義としては「指導者」「統率者」「先導者」。
本メルマガでは、現役の会社経営者であり、同時に企業課題解決に向けた伴走者として今まで2850を超える企業の内情を見てきた私自身が今、全国のリーダーにお伝えしたいことを語らせていただきたいと思う。
今日は、今の日本で人の上に立ち、導いていく者として不可欠な資質の話をしよう。
IQ<EQ時代の幕開け
IQとは知能指数。対するEQは「心の知能指数」と呼ばれる。ヒューマンスキルや「人間力」という呼び方のほうがイメージしやすいだろうか。
生まれつきの要素が強いIQと違って、EQはトレーニングで伸ばせることが特徴だ。
そして、このEQが、現代日本社会でリーダーと名のつく役割を担う者にとっては非常に重要である。
急速に台頭し、日夜、目覚ましい進化を遂げているAI技術。
これらが活かされるのは、人間のIQが発揮されるのと同じフィールドだ。
例えば、東大やハーバード大学を出た、極めて優秀な人たちについて考えてみよう。そういった知能の高い人たちの中には「一度読んだ本の内容はほとんど暗記してしまう」「一瞬でルービックキューブのすべての面をそろえることができる」なんていう人も珍しくない。
だが、それらはAIやコンピュータでも成し遂げられることだ。むしろ、既に人間はそういった部分で機械に及ばなくなりつつある。AIと人間の囲碁や将棋の対局を見てもわかるように。
地頭や効率の良さでは、大半の人類は機械に勝てない。
これが、今という時代なのだ。
ここで一度、日本企業における社員教育の傾向に話題を移そう。
誰でもできるマネジメント、誰もが同じようにリーダーを務められる仕組み、社内コミュニケーション向上のためのツール導入。
思い当たる節がある方もいらっしゃるのではないだろうか。
私はこれについて、「多くの企業が上辺のデジタル化や仕組み化に振り回されており、今は良くても先はない」と思っている。
理由は簡単、上記のような本質的でない「仕組み化」では、自分で考えて行動できる人間がいなくなるからだ。
「誰でもできる」が「誰でもできる」たる所以を考えてみればすぐにわかる。
頭を使う必要もスキルもいらないからこそ、特定の個人に依存しないのだ。
一時的なその場しのぎとしては、個人差が出ないやり方でもいいかもしれない。
しかし、そういった仕組みやマニュアルの中でしか動けない人間が果たして、企業成長に不可欠なはずの「独自の付加価値」や「他との差別化」を生み出すことはできるのだろうか。
こうしている間にも、AIや機械は進化しているというのに。
人間の活動フィールドにAIが浸食してきているこの時代に、企業が生き残る道は、
「人として何ができるか」ではないだろうか。
激しく変化していく時代の流れの中で、社会のゲームのルールも変わっていく。
何が最適なのか、本質は何なのかを見極めながら決断を下していくためには、固定された枠で思考を縛っている場合ではない。
ここで、冒頭で述べたEQ、「人間力」の話を思い出してほしい。
企業のリーダーが、導いていく相手に対して行うべき教育・マネジメントは「誰でもできる」ではいけないのだ。それでは、決まった枠の範囲内でしかその人材を活かせない。
そうではなく、個人をいかに活かすか。ここに全力を注ぐべきだ。
そして、そのためにはリーダー自身が、資質として「人間力」を備えている必要がある。