株式会社イマジナ 代表取締役社長の関野です。
「リーダー」。
言葉の定義としては「指導者」「統率者」「先導者」。
本メルマガでは、現役の会社経営者であり、同時に企業の課題解決に向けた伴走者として今まで2850社を超える企業の内情を見てきた私自身が今、全国のリーダーにお伝えしたいことを語らせていただきたいと思う。
今日は、「権限移譲の罠」というテーマでお話ししよう。
”権限移譲”か、”丸投げ”か
現代日本企業のリーダーに圧倒的に不足している行動とは、「部下や現場を見守ること」である。
たとえば、会議の場面で考えてみよう。
話し合いや意見交換の場で、部下が発言しているのをさえぎって持論を展開する上司がいたとする。たしかに部下の発言内容は未熟で、発想も上司からすれば見当違いだったり、つい口を出さずにはいられないようなものだったかもしれない。
しかし、そこで上司が干渉してしまうことにより、部下本人にとっての成長機会は失われる。
はたまた、会議の運営を部下に任せて「信頼しているから大丈夫だ。あとは全部よろしく」と、自分はその場に居合わせない上司もいるだろう。
「決定事項は後日の報告書できちんと把握するし、あの部下は優秀だから問題ない」。
このような考え方、やり方が”権限を渡す”、”現場に任せる”ということだと思われている風潮があるのではないか。
どのような場面でも、どのような時代でも、リーダーがやるべき仕事は部下を導くことだ。より良い方向へ、本人の成長につながるように。
部下が理解の浅い発言をしていても、その場では見守って、後で個人的にフィードバックをすればいい。ケースバイケースだが、よほど緊急性が高くない限り、その場で即座に発言をやめさせて、部下の考え方や実力を知る機会を上司自ら潰すことはない。
また、「任せること」と「丸投げすること」をはき違えてもいけない。「任せる」とは、実行する部分の権限を相手に渡して、責任は自分も一緒に持つことだ。
何かあった場合に責任をとるためには、自分も常に状況をよく把握しておく必要がある。「任せた」と言って後日の報告が上がってくるのを待つ、受け身の姿勢では「権限移譲」とは呼べないのである。
部下を適切にサポートし、成功体験をつくるための環境を整えることこそがリーダーの仕事だ。
そのためには一人ひとりを見守りながら、個々人の得意・不得意などの特性を把握していく必要がある。
やるべきことの本質を、「現場に任せる」という便利な言葉のもとで見失ってはいけない。