「できれば頭も体力も使わずに、ラクして良い結果が出せたらいいな…」
「用事はちょっとぐらい遅れてもいいから、後回しにして他の用事のついでにするのが能率的だろう」
「やるべきことはあるけど、自分がやりたいことを優先させてしまおう」
ついつい怠けそうになったり、自分に甘くなったりするのは人間の性ですが、こうした怠惰な姿勢が親から子どもへ伝染することをご存知でしょうか?
日本パーソナリティ心理学会の研究において、以下のような事例が観察されています。
とある父親、母親、5歳の子どもという構成の家族において、転勤をきっかけに父親の仕事の状況が大変になりました。
父親は仕事に嫌気がさし、段々と職場で、冒頭に挙げたような怠惰な姿勢を見せるようになりました。すると、ちょうど同じタイミングで5歳の子どもにも、幼稚園での片付けや宿題の提出を面倒くさがる、先送りするといった怠惰性が見られるようになったのです。
(父子の「怠惰性」については、YG性格検査、EPPS性格検査などを含めた尺度に基づいて測定)
研究チームは「子どもの怠惰性の発現は、父親の怠惰性が影響したもの」と仮説を立て、2か月にわたって父親に心理発達的カウンセリングを実施し、怠惰性の改善指導を行いました。
その結果、父親の怠惰性が改善するに伴って、5歳の子どもにも同じように改善の変化が見られたのです。
親としてではなく、いち社会人として職場で仕事に臨む姿勢が、仕事とも会社ともまったく縁のない幼い子どもにまで影響を与えるという事実。
親はどこまでも、子どもの成長におけるモデルケースなのです。
ここまで読んでくださった方の中にも「部下の怠け癖が治らない。どう伝えたら納得して危機感を持ってもらえるんだろう」とお悩みの方がいらっしゃるかもしれません。
ただ「怠惰でいてはいけない」と伝えるのではなく、根拠を添えて説明することが腹落ちにつながります。
「自身の怠惰さが、子どもや周囲の人にうつる可能性がある」というエピソードをひとつ、有効活用してみるのも一手かもしれません。
部下の「共感・納得」に着目したコミュニケーションの取り方について、詳しく知りたい方はぜひ、組織としてのマネジメント力向上を実現する経営・ブランディングセミナーへ。