コミュニケーションの正確性が大事、スピード感が大事、報連相が大事…。
耳にタコができるほど言われている、社会人としての基本ですが、具体的にどんなコミュニケーションが「正確」で、どんなものなら「不正確」なのかというイメージの共通認識を持つことはできているでしょうか?
たとえば、部下に対する次のような指示。
「その書類、明日の午前中までにまとめておいて。この前やったのと同じ要領でよろしく」
「今度からこのプロジェクトに参加してもらうから。明日ミーティングがあるから、送った資料を見ておいて。わからなかったら聞いてほしい」
意外と多い上記のような指示の出し方ですが、実はこれ、かなり「不正確」です。
「明日の午前中まで」という言葉ひとつとっても、「10:00頃にいったん提出しよう」と考える部下もいれば、「11:59が締め切りか」と考える部下もいます。
「この前やったのと同じ要領」という説明では、具体的にどの部分を「同じ」にしてほしいのかがわかりませんし、「わからなかったら聞いて」という指示に関しては、「能力が低い人ほど、自分が何をわかっていないのかということ自体がわからないため質問ができない」という問題が生じます。
「正確な指示」とは、“目的”まで伝えること
そして何より、上のような指示に決定的に欠けている部分があります。
それは、指示内容の「目的」です。
物事を行うにあたっては目的やゴールから逆算して手順やスケジュールを考えることが大切です。
その逆算の中で、「この情報が足りないから聞いてみよう」「ここでは何をポイントにして考えればいいんだろう」と、疑問がわいてくるはずです。
しかし、何のためにその指示を出されているのか、自分が本質的には何を頼まれているのか教えてもらえなければ、部下はそもそも「逆算して考える」というフェーズにすらたどり着けず、言われたことを自分の解釈でこなすだけになってしまいます。
「この書類、次の会議で〇〇について説明するために使いたいから、明日の午前中までにまとめておいて。修正することになっても対応できるように、10:00頃にいったん提出してほしい。この前やったときは〇〇の部分がよくまとまっていて見やすかったから、今回もそこを意識してほしい」
といったように、その指示を出している背景と共に、目的を伝えることで、何を軸として動き出せばいいのか明確になるのです。
マネジメントにおいて欠かせない「伝える力」。今週はいつもより、「目的」を伝えることに注力してみませんか?