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ブランド戦略とは?ブランディング成功のコツを学ぶ事例8選

2019/12/26(最終更新日:2023/08/15)

#ブランディング事例 #ブランド構築

企業の製品やサービス、あるいは企業そのもののコンセプトを明確にして、「誰にどんな場面で使ってほしい製品なのか」「自分たちはどんな企業なのか」をユーザーにわかりやすく提示することを「ブランディング」と呼びます。

 

上手なブランディングには、確固たる戦略が欠かせません。ブランド戦略の具体的な方法やメリットなどを、企業の成功事例を交えて紹介します。

ブランド戦略とは

「ブランド戦略」とは文字通り、ブランディングを行うための戦略のことです。よくブランディング=マーケティングと誤解され、ブランディングはマーケティング部門が行うものと捉えている企業も多いようですが、両社はまったくの別物です。

 

ブランディングとはマーケティングよりもさらに上位にある活動で、マーケティング活動そのものを規定するもの。つまり、明確な戦略の下にブランディングがなされていなければ、マーケティング戦略も方向性を定めることはできないのです。

ブランド戦略の効果

ブランド戦略を行うことで得られるメリットには、以下のようなものが挙げられます。

 

●競合他社との差別化ができる
●顧客からの信頼感(ロイヤリティ)を獲得することで、長期的な売り上げが見込める
●多額な宣伝費用をかけなくても集客できる
●知名度が上がり、新規顧客獲得がしやすくなる
●ブランド自体に価値があるので、強気の価格設定ができる

 

まず挙げられるメリットは、競合他社との差別化です。「○○といえば△△」といったような絶対的なブランド力を獲得できれば、ある商品が欲しいユーザーをすべて自社で囲い込むことができ、競合他社に付け入る隙を与えません。

 

また、顧客からのロイヤリティを確保することにより、顧客はずっと自社製品を使い続けてくれることが期待でき、長期的な売り上げにつながります。ブランド力のある製品は“ただそこにある”だけで売れ続けていくため、多額の宣伝費用をかけなくとも集客ができます。皆が知っている製品や企業ということで新規顧客からの信頼も得やすく、営業もかけやすくなるでしょう。

 

さらに、ブランド自体に価値があるため、多少の値上げでは顧客離れは起きにくく、強気の価格設定が可能になります。

【自社の期待感をどう伝えてブランドをつくるのか知りたい方はこちら】

ブランド戦略の方法

ブランド戦略の具体的な方法は、以下の3つのステップに定義できます。

 

①ターゲット・ポジショニングを決める
②ブランドアイデンティティを明確にする
③ブランドを宣伝する

ターゲット・ポジショニングを決める

「ターゲット・ポジショニングを決める」とは、自社の強みを理解し、ターゲットとするユーザー層を明確にする行為です。ブランディングにおいては、ターゲットとする層の見極めが成否を分けるといっても過言ではないほど、大切なポイントになります。

 

自社の強みと一口でいうのは簡単ですが、的確に捉えるのはなかなか難しいもの。そこで、正しく自社の強みを知るためには、ソーシャルメディア(SNS)の分析が有効です。TwitterやInstagramなどのSNSを活用して、自社に関するユーザーのリアルな声を集めてその内容を分析することで、自分たちでは気づかなかった強みが見えてくるはずです。

 

次に、ターゲット・ポジショニングを決める際のフレームワークの例を紹介していきます。

 

 

ターゲット・ポジショニング決めに役立つフレームワーク①3C分析

3C分析とは、自社(Company)、競合(Competitor)、顧客(Customer)のそれぞれをリサーチし、戦略を考える分析手法のことで、3つの頭文字を取って「3C」とされています。

 

3C分析を行い、外部要因である「市場」と「競合」と、内部要因である「自社」を照らし合わせると、自社の強みと弱みがはっきりと明確化されます。3C分析の結果はターゲット・ポジショニングを決定づける根拠となり、ブランディングの一助となります。

ターゲット・ポジショニング決めに役立つフレームワーク②SWOT分析

SWOT分析とは、現状分析のために使われるフレームワークの一つです。

 

企業の「内部環境」を“Strength(強み)”と“Weakness(弱み)”に、「外部環境」を“Opportunity(機会)”と“Threat(脅威)”にそれぞれカテゴリー分けし、合計4つの項目について分析します。これらの4項目の頭文字を取って、SWOT(スウォット)分析と呼ばれています。

 

SWOT分析により、企業の「内部環境」と「外部環境」において、どこが良くてどこが悪いのかが明確になり、市場に眠る潜在顧客や、企業の事業課題、見落としていたビジネスチャンスなどを発見することができるのです。これによりターゲット・ポジショニングがしやすくなり、ブランディングを成功へと導いてくれるでしょう。

ブランドアイデンティティを明確にする

ブランド戦略の2番目のステップは、「ブランドアイデンティティを明確にする」ことです。

 

ブランドアイデンティティとは、ブランドに対してユーザーにどんなイメージを抱いて欲しいか、また逆にブランドはユーザーにどんな価値を提供したいかといった、核となるコンセプトを指します。ブランドというものは、そのブランドたるアイデンティティ(自分らしさ)があってこそ存在するものですので、これは非常に重要な部分です。

 

ブランドアイデンティティを明確にする際、それはもちろん自社の強みを生かした内容にしなければなりません。競合市場において、まだ他社にはできていない自社ならではの分野を発掘して、唯一無二のブランドアイデンティティとして確立しましょう。

 

ブランドアイデンティティを明確にする方法は、以下の通りです。
●ブランドに対して、ユーザーにどんなイメージを抱いて欲しいかを考える
●ブランドがユーザーにどんな価値を提供したいのかを考える
●そのブランドを持つことで、ユーザーにどんな変化をもたらせたいのかを考える

【自社らしさをどうブランドづくりに落とし込む方法をもっと知りたいかたはこちら】

ブランドを宣伝する

ブランドアイデンティティが定まったら、実際のコピーやデザインなどに落とし込み、完成した自社ブランドを広く宣伝しましょう。せっかくできたブランドも、大勢のユーザーに知ってもらわなければブランディング自体が成功しません。

 

ブランディングの過程においては、ロゴマークやキャッチコピーを“抽象的ブランドメディア”、それを元に作られたパンフレットや看板、テレビCMや雑誌広告などを“可視的ブランドメディア”と呼んでいます。

 

 

抽象的ブランドメディア

抽象的ブランドメディアとは、ブランドアイデンティティを象徴するメッセージやデザインのことです。

 

キャッチコピーであればSONYの“It’s a Sony”、ナイキの“Just do it”などが有名です。ロゴマークは、Appleのかじりかけのリンゴや、スターバックスの人魚のイラスト、マクドナルドの黄色のアーチ型のMの字など、おなじみのものが多いでしょう。

 

ブランドアイデンティティは基本的に不変のものですが、キャッチコピーやロゴマークは時代に応じて変化していく場合もあります。

 

 

可視的ブランドメディア

一方、可視的ブランドメディアとは、キャッチコピーやロゴマークを「目に見える具体的なもの」にする手法のことです。

 

可視化の方法としては、ロゴマークをあしらったパッケージや紙コップなどのグッズを作ったり、TVCMなどの動画メディア、雑誌のような紙媒体など、さまざまなメディアで宣伝したりといった例が挙げられます。

 

メディアによってユーザーの特性や宣伝費用なども変わるので、ターゲットとするユーザーに最も効果的にアプローチできるものを厳選してください。

【人を集める見せ方のコツをもっと知りたい方はこちら】

ブランド戦略の成功例

ブランド戦略を成功させるためには、実際にブランディングに成功した企業の事例を学ぶことが有効です。以下に、企業の成功事例をいくつかご紹介します。

 

 

ルイ・ヴィトン

「多くの荷物を持って移動する、中上流階級のためのトランク」という明確なブランドアイデンティティを持ち、生産量をあえて絞りこんだ“セレクティブマーケティング”に成功したのがルイ・ヴィトンです。

 

LとVを組み合わせたモノグラム柄という独創的なデザインを打ち出し、視覚的な認知効果を高めることで知名度をアップ。中上流階級というターゲット層に合わないという理由から、テレビCMは一切打っておらず、マスコミを通じた広報活動に限定。

 

あえて露出を制限し、商品の生産量も絞り込むことで“限定感”が生まれ、皆が手に入れたいと思うブランドに成長させたという成功例です。

 

 

コーセー

大手化粧品会社のコーセーは、1991年からコーポレート・アイデンティティの導入を発表し、独自のブランドマーケティングをスタートしました。

 

これまでの組織を再編し、「商品企画」「ブランド育成」「営業」「販売員教育」のバリューチェーンを商品ブランドごとに統括する体制を整備。これにより、ブランド別のターゲットであるユーザーの声を迅速かつ的確に、商品や販売サービスに反映させることが可能になりました。

 

現在では、「エスプリーク」「インフィニティ」などのブランドネームが市場に定着し、「エスプリーク」ではさらに上の年代層向けのラインナップ「エスプリークエクラ」を展開するなど、幅広い年代に愛されるブランドに成長しています。

 

 

無印良品

無印良品は、西友のプライベート・ブランドとして出発した後1989年に「良品計画」のブランドとなり、現在は国内・海外で900店舗を展開しています。

 

企業理念である「自然と。無名で。シンプルに。地球大。」を軸としたブランドテリトリーによって、ブレない商品ラインアップを確立。冷蔵庫でも、Tシャツでも、ベッドや布団でも、レトルトカレーや消しゴムでも、すべて無印のブランドテリトリーに入ってくることができ、“無印良品らしい商品”として世に出ていきます。

 

企業理念に基づくブランドの統一感が独自の世界観を築き、国内外からファンを獲得しているという、ブランディングの好例です。

 

 

Apple

iPhoneに続きiPadやAppleWatchを生み出し、常に時代の先を走るAppleは、数々のブランド戦略によって熱狂的なファンを持つブランディングに成功しました。

 

中でも効果的だった施策は、自社製品を販売する専用店舗の「アップルストア」を作ったことでしょう。アップルストアは、商品を買った後も修理受付や新製品のデモなどでユーザーが自然と集まる場所となり、Appleファン同士のつながりも生まれて“仲間意識”が芽生えています。アップルストアで心地よい体験をしたユーザーは、「次もまたApple製品を買おう」といった忠誠心に満たされ、他社製品への乗り換えなどの裏切りは起こしません。

 

また、多くの人が集うアップルストアは非ユーザー層の目にも止まり、大いに関心を引き付けています。

 

こうしてアップルストアは単なる「販売店」の域を超え、ブランディング成功の立役者となったのです。

 

 

星野リゾート

「リゾート経営の達人」を企業のコンセプトに掲げる星野リゾートの強みは、徹底したブランドのコンセプト設計にあります。

 

圧倒的な非日常感を演出する、ラグジュアリーな大人向けリゾートの「星のや」、地域の魅力を再発見する、“和”にこだわった上質な温泉旅館「界」、洗練されたデザインと豊富なアクティビティを提供する高級ファミリーリゾート「リゾナーレ」と、3つのブランドそれぞれに明確なコンセプトを持たせ、客層を奪い合わないような設計になっています。

 

各施設ともコンセプト通りの質の高いおもてなしを実践することで、顧客満足度が上がり、企業全体のブランディングに成功しています。

【選ばれるブランドに必ずあるもの=人を集める期待感、期待を集める方法を学ぶ】

ブランド戦略の失敗例

ブランディングの成功の影には、残念ながら失敗してしまった事例も数多く存在します。失敗事例からその敗因を学び、自社のブランド戦略に活かしていきましょう。

 

Dr Pepper TEN

人気の清涼飲料水「Dr Pepper」の姉妹品として、 2011年に新発売した「Dr Pepper TEN」。カロリーを気にする男性向けに開発され、わずか10キロカロリーしかない同商品は大変な話題になりました。

しかし、テレビCMは「It’s Not For Woman(女性向けではない)」という差別的な内容で、さらに女性と認証されれば商品のFacebookページにアクセスすらできず、男性向け商品というアピールを徹底。女性の消費者から怒りの声があがり、「Dr Pepper TEN」事業は失敗に終わりました。

この事例は、いくら高いブランド力を持った商品でも、プロモーションを間違えるとたちまち人気を失ってしまうという例といえるでしょう。ブランドにふさわしいPR方法でなければ逆効果になってしまうことを学べます。

 

ファースト・リテーリング「SKIP」

ファストファッションの先駆けである「ユニクロ」を展開するファースト・リテーリングは、2002年に突然「SKIP」と銘打った野菜の通販事業に乗り出し、世間を驚かせました。しかし、この事業は初年度から売り上げ予測の半分にしか届かないなど業績が伸びず、わずか2年での撤退となりました。

敗因は、アパレル業界のノウハウを知り尽くしているという自らの強みを放棄し、まったく違う市場での勝負に打って出てしまったことに他なりません。強みこそが競合他社に対しての事業優位性をもたらし、ブランド力を誇っているということを改めて示してくれた好例です。

ファースト・リテーリングはその後、自社の強みを生かし新たなアパレルブランド「ジーユー」を展開して、大成功を収めています。

 

GAP

アメリカ発ファストファッションの代表格であるGAPは、日本でも広くブランドを展開し、多くの顧客を集めています。

そのGAPは、2010年に一度だけロゴマークを変更したことがありますが、それまで長年親しんできたロゴがあまりにも大胆に変わったことでユーザーに違和感を覚えさせ、まったく受け入れられませんでした。Facebook掲示板等の公式SNSには反対意見が殺到し、これを受けたGAP上層部は6日間という短期間で新しいロゴを撤回。ネイビーに白抜きのクラシックなロゴが早々に復活したことで、この騒動は終息しました。

この事例から、あまりにも定着したロゴマークがすでにある場合、その変更には慎重になるべきで、ユーザーに受け入れられない場合は早めに撤回する覚悟が必要であることがわかります。

【社員や顧客に愛されるブランドづくりに欠かせないことを学びたい方はこちら】

事例の共通点から学ぶブランド戦略成功のコツ

以上の成功例・失敗例から、ブランド戦略の成功のコツは以下のようにまとめられます。

 

●自社の強みを活かす
●ターゲットユーザーを明確にする
●コンセプトからブレない
●プロモーション・PR手法に気を付ける
●ユーザーを大切にし、意見を取り入れる

 

ブランド戦略を成功させるには、自社の強みを活かしたブランドにすることが欠かせません。そしてターゲットとするユーザーを明確にし、一度決めたブランドコンセプトは揺るがしてはなりません。

 

獲得したユーザーを大切にし、ブランドのコアなファンになってもらえれば長期間の売り上げが見込めます。そしてそのファン層を失望させないように、プロモーションの手法には細心の注意を払いましょう。

【2700社以上のブランディング実績からブランドづくり成功のコツを学ぶ】

まとめ

自社製品のブランディングを成功させるためには、徹底したブランド戦略が欠かせません。一度ブランディングに成功すれば、多額な宣伝費用をかけずとも、そのブランド自体が安定した売り上げと新規顧客を自ら引き寄せてくれるはずです。

 

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