企業寿命を延ばすには

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企業寿命を延ばすには




生物学者チャールズ・ダーウィンに代表される「進化論」をご存知の方は多かろう。ダーウィンが提唱する自然選択(自然淘汰)のエッセンスは、「生き残るのは、強いものではない、環境に対応したものである」とも表現される。
象徴的な例が恐竜である。繁栄を謳歌していた彼らは、隕石の衝突に起因するといわれる環境の激変に対応出来ず絶滅した。代わりに残ったのが、大きさは恐竜の何分の一でも環境に対応した生物達だった。

ビジネスでも同様のことが言える。絶えず変化するビジネス環境の下、生き残るための要素も、企業の強大さではなく、環境変化への対応力である。企業がその寿命を延ばすのは変化対応力が求められる。
良く引き合いに出させるのが、富士フィルムとコダックの例だ。

写真にフィルムが使われていた時代、店頭に並んでいたのは、黄色の箱(コダック)と緑色の箱(富士フィルム)のほぼ2種類だけだった。
その後、写真撮影のフォーマットが変わりフィルムへの需要が激減した。コダックはその変化に対応せず、今や歴史の一部となった。一方、富士フィルムは事業転換に成功し、今の製品群は、富士ゼロックスのオフィス機器事業の他は、半導体関連やセンサー等の産業機器、医薬品やサプリ等のヘルスケアで、フィルムが残っているのはその会社名だけである。

最近では日本の電機業界でも似たようなことが起きているように見える。韓国勢、中国勢に押され、日の丸勢は事業の方向性転換を余儀なくされてから久しい。それに対し、大手各社の対策、そしてその結果に差が顕著に現れ始めている。

情報通信、鉄道など社会インフラにシフトしている日立、自動車や住宅関連事業に注力するパナソニック、保険などの金融事業を拡大する一方でパソコン事業を切るなど事業ポートフォリオの見直しを継続するソニー、ソリューション提供型事業を強化する富士通、NECが健闘する他方、東芝、シャープは変化に対応出来ていないように見受けられる。

ところで、環境変化対応への事業転換時に武器となるのはやはり、差別化の源泉となりえる技術・ノウハウ、それと企業のブランド力であろう。前述の富士フィルムもそれまで培った皮膜技術を新しい製品の開発に活用している。また、製品プロモーションにあたり「富士フィルム」という信頼性の高い企業ブランドも大きな役割を果たしたはずである。
皮肉だがシャープにしても、フォンハイに対して、その技術力とブランドは、買収交渉時における武器となった。

変化スピードが加速する昨今、技術やノウハウの陳腐化は早く環境変化に影響されやすい。一方で、企業ブランドは一度確立すれば、自らの失策で損なわない限り、環境変化にも強い。水戸黄門の印籠みたいなものだ(笑)
現在の事業推進に寄与するだけでなく、今後の環境変化に対応する際の武器となるブランド力の強化が、何にも増して重要といえよう。

余談ながら、最後は国葬が執り行われたダーウィンも、その説は当時、相当の批判にあった。ガリレオの天動説などと同様、革命的進化の過程には苦難が伴い、それを克服する強さが求められる。
企業が変わる時にも相応の覚悟が必要だ。





■筆者プロフィール
鈴木一秀
コンサルタント

■略歴 
横浜国立大学 工学部卒
University of California Los Angels校及びNational University of Singapore 経営大学院修了(MBA)
モルガンスタンレー証券など日・欧・米系の投資銀行で約20年勤務
その後経営コンサルタントとして独立

■資格
中小企業診断士
証券アナリスト
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