デジタル時代の、あらたなブランドづくりの方法とは

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デジタル時代の、あらたなブランドづくりの方法とは



 今年2月、2017年版の「日本の広告費」が公開された。こちらは株式会社電通が年に1度、日本の広告費をまとめているものだ。

 2017年における国内の広告費は、全体で6年連続プラスに成長。総広告費は6兆3,907億円、前年比では101.6%と、景気回復も手伝ってか比較的好調な数字となっている。前年比100%を超えたものはラジオ広告費、衛生メディア関連(BS 、CS 、CATV)などがあるが、そのなかでももっとも大きな伸びを示しているのがインターネット広告における媒体費(ネット広告媒体費)だ。



 ネット広告媒体費が初めて1兆円を超えたのは2016年のこと。2017年の同数字は1兆2,206億円であるが、新聞広告費が5,147億円、雑誌広告費が2,023億円であることと比べると、その規模がどれだけ大きなものかわかるだろう(地上波テレビの広告費は1兆8,178億円)。
 その背景には、企業の「デジタル・トランスフォーメーション」の加速があると見られている。デジタル・トランスフォーメーションとは直訳すると、「デジタルへの変革」。企業経営全般に共通する概念ではあるが、マーケティング領域においては顧客とのコミュニケーション全般においてデジタル化が促進され、広告費にもそれが反映されている、という見方である。


 また傾向として、運用型広告をブランディング目的で活用する動きが活発化していることも挙げられる。通常、運用型広告といえば、Webを通じた商品に関する問い合わせや購入、もしくは申し込みの獲得など、直接的な反響を目的とすることが圧倒的に多かった。しかし現在では、マスコミ四媒体への広告を中心としていた自動車、食品、飲料といった企業も運用型広告を活用しており、反響とは別に見込み顧客への露出の増加、ならびにブランドイメージ形成に活用する傾向にある。

 少し前までは、デジタルマーケティングは直接的な反響の獲得、マスコミ四媒体はブランディング、といった形で目的が住み分けされる傾向にあったが、その壁はいずれなくなるだろう。ブランディングを目的とした企業のデジタルマーケティングの活用は、これからも加速していく傾向にあると考えられる。

 しかし、「デジタルマーケティングをブランディグに活用する」といっても、具体的に何をすればいいかわからない企業も多いのではないだろうか。
 単純に、広告予算をふんだんに計上し、「各種Webサイト・Webメディアにおいて自社広告の表示回数を増やす」という方法もある。だがこれではいずれ行き詰まってしまうし、潤沢な予算がなければ実現は難しいだろう。デジタルマーケティングを自社にあった形で効果的に活用し、顧客とコミュニケーションを深め、ブランド創造を実現する方法はないのだろうか。


 実際に、独自の視点でデジタルマーケティングを駆使し、顧客と効果的なコミュニケーションを実現している企業も存在する。
 例えば、アース製薬株式会社はそのひとつ。同社は害虫・害獣から人や植物を守る製品を主に開発しているが、以前より「『教えて!まもるくん』ガーデニングのお悩み解決ホットライン」と称して、ガーデニングの育て方を相談できるLINEアカウントを創設した。こちらはなんと、LINEを通して植物に関する相談内容や写真を送ると、クマのキャラクターである「まもるくん」が育て方についてアドバイスをしてくれるというものだ。


 例えば、「育てている植物の元気がない」といった漠然とした相談に対しても、植物の置かれている環境、水の頻度などに関して事細かな質問が個別に返信され、状況に応じた最適な対策を提案してくれる。害虫・害獣対策のみでなく、植物の育て方全般に対して、その時々に応じたアドバイスを提供してくれるのだ。
 現在、同社のLINEアカウント利用者数は2018年8月時点で56,000人を突破。ネット検索でわからないような個別の事例に応じてくれるため実用性にも優れ、ファンづくり、そして自社のブランディングの一助になっていることは確かだろう。
 
 またSNSをうまく活用しているという点ではキングジムも挙げられる。キングジムは2010年に自社のTwitterアカウントを解説。企業の公式アカウントとは思えない「ゆるい」コミュニケーションや、消費者の目線に立った発言(ツイート)が話題となり、フォロワー数は29万人を突破した。新商品情報など企業のPRに関する情報もTwitterから発信しており、Twitterを通して顧客が新商品を知る、またツイートから該当するURLに流入することも決して少なくないという。これまでは顧客が新商品情報を知るには、テレビCMか街頭の広告を通じて商品に触れることがほとんどであったが、現在ではSNSを通して多くの読み手にリーチできるようになったため、効果的な商品PRとファンづくりの両立が可能になったのだ。

 デジタルマーケティングは、企業の広告・ブランディング戦略において、非常に重要なものとなりつつある。とりわけ自社の顧客とこれまで以上に強いエンゲージメントを築くためには、取り組むべき活動であると言えるだろう。

 デジタル時代に、どのように顧客と関係性を築いていくか。これまでに何度も議論され、考えられてきたテーマではあるが、模索しながらも様々な手法を実践し、成果を生み出しつつある企業は数多くある。そのような企業を参考に、自社にとって最適な手法を探してみてはいかがだろうか。
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