〜成功企業のブランドストーリーとは〜 農家の台所株式会社

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〜成功企業のブランドストーリーとは〜 農家の台所株式会社



イマジナがお送りするメルマガ「ブランディングニュース」の配信100回を記念いたしまして、「成功企業のブランドストーリーとは」をお送りしています。
第2回目の成功企業のブランドストーリーは、農家の台所株式会社と国立ファーム有限会社が共同で運営している野菜レストラン「農家の台所」だ。農家の台所は「野菜」を中心としたメニューで成長を続ける飲食店。その背景には、どのようなブランドストーリーがあるのだろうか。

飲食店激戦区で、キラリと光る個性を持つ「農家の台所」


 農家の台所は、運営会社である農家の台所株式会社と、農産物の流通、販売、企画を行う国立ファーム有限会社が共同で展開する飲食ブランドだ。現在、都内に3店舗を展開しており、お客様は連日満員で賑わっている。
 農家の台所の特長は、様々な野菜を取り扱っている点にある。流通部門を担当する国立ファーム有限会社を通じて、全国300件を超える農家と直接取引を実施。旬や地方の特色を反映した農産物を店舗で提供しているのだ。

 現在は健康志向が高まり、野菜を中心としたメニューを取り扱う飲食店は多くある。特に都内、しかも同社が出店をしている新宿三丁目、銀座、立川は飲食店の激戦区だ。そのような場所で予約がとれないほどの人気を博しているのは、「野菜にかける想い」をブランドにまで高めているからだと言えるだろう。

 農家の台所は、独自の農法でオンリーワンの野菜をつくる農家を、農業の研究と実践に熱心な人という意味の「篤農家(とくのうか)」という言葉で呼んでいる。スタッフは篤農家と関係性を深め、農作物を理解するために研修を実施。篤農家のもとで農作業を手伝いながら、一つひとつの品種の違いを細かな部分まで理解するのだ。
 スタッフはここで、本などには載ってないような「生きた知識」を得る。その知識を店頭で来店者に伝えることで付加価値をつけ、篤農家の想いとともに、おいしい野菜を届けているのだ。

店舗における創意工夫が、野菜に付加価値をもたらす


 そのような知識を伝える役割を担うのが「語り部」と呼ばれる存在。農家の台所には、それぞれの野菜の特長や魅力を語るスタッフが常駐しており、文字通り野菜の語り部となって、細かな点までお客様に説明をしている。

 店舗では、人参ひとつをとっても市場に流通をしていないような様々な品種を取り揃えている。語り部は、その一つひとつを人参とは呼ばず品種で紹介をし、「他とはなにが違うのか」「どんな特長やおいしさがあるのか」を来店者に伝えている。「ルッコラは花もおいしいんですよ」「採りたてのカリフラワーは、生でもおいしく食べられます」等々。自分たちの新鮮な驚きや気づきとともに、野菜の面白さ、奥深さを伝えることが、農家の台所のブランドの根幹を形づくっているのだ。

 こちらの3店舗だが、野菜を中心としながらもそれぞれの店舗コンセプトが異なる。
 例えば新宿三丁目店では、「おいしい野菜に出会える店」として旬の野菜が楽しめる食べ放題のサラダバーを中心にコースやアラカルトのメニューを提供している。
 銀座店は「野菜80%以上のベジタブルビュッフェ」が大きなウリとなっており、旬の野菜、自慢の野菜を使った手作りおばんざいを堪能することができる。またディナーでは鍋やグリルを選ぶことができ、自分のスタイルで野菜を楽しむことができるのが特長だ。
 立川店は高島屋内にあり、「お腹も心も満たされる居心地よいレストラン」として、おいしい野菜、また食べ放題の卵かけご飯を多種多様なメニューとともに提供。くつろげる空間で、少し贅沢な御膳を楽しむことができる。

 語り部を通すことでそれぞれの立地にいる客層にあわせて野菜の魅力を伝えることができる。自分たちがどんな役割を担っていて、提供している価値を知っているからこそ農家の台所では、誰もが野菜を楽しめる。安心安全だけではなく、生産している農家のこだわりや想い、野菜の生まれたストーリーを付加価値として語り部が伝える。これらの取り組みは来店者に対して「新しい野菜体験」を提供しているといっても過言ではないだろう。

 このような他にはない方法で食の楽しみを提供している農家の台所だが、その背景には国立ファーム代表の高橋がなり氏の、農家への敬意と想いがある。
 高橋氏は農家の野菜づくりを「高度な技術を有したものづくり」と表現する。自然と対峙しながら、生産数や味の微妙な調整を繰り返し、高品質なものを市場に提供するさまが、表現を生んだ。

農家の台所が伝える、野菜一つひとつのストーリー


 また高橋氏は、以下のようにメディアで語っている。「付加価値のある商品・サービスを提供することはビジネスの基本中の基本です。新鮮で安心な野菜をできる限り安く売るのではなく、野菜そのものにどうやって付加価値を付け、高くても喜んで買ってもらえる商品にできるか。そのためには流通や販売方法にも付加価値を付けることが国立ファームのミッションと考え活動してきました」。このような想いが、店舗におけるコミュニケーションに凝縮されており、一貫性を持ったブランドストーリーを生み出しているのだろう。

 農家の台所のホームページには「お客様へ食(野菜)を通して農業を知るきっかけを作りたい」「農家のものづくりの熱意を伝えたい」といった言葉が書かれている。これらは、「農家の台所が野菜一つひとつのストーリーを伝える役割を担っていく」という決意の表れだと捉えられる。単なる料理の食材としてみたら、野菜はすべて、ただの野菜。しかしその背景にあるストーリーを発信することで付加価値をつけ、他にはない食の体験の提供、そして新たなファンの創出を実現する農家の台所は、価値を語り部を通して発信することで、自らのブランド価値を高めているのだ。

 農家の台所は、これからも農家と消費者の架け橋となり、野菜の魅力を伝えることで、篤農家のファン、そして自社のファンを生み出していくだろう。そこにあるのは、「野菜の個性を伝えることで、野菜と農家のことをもっと知って好きになってもらいたい」というブレのない想いだ。その想いは今日も、買い付けの姿勢から店頭に並ぶまでに、1本の切れ目ない物語となって来店者のもとへと届けられていく。
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